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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
7話 鬼
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バス

 放課後になり、美由は逃げ出す様に席を立ち、カバンを取る。

 桐野と須王寺(すのうじ)が今日ウチに来ると言っているので、それから逃げるつもりであった。

 だが、桐野に呼び止められる。

 「桜間さん。待ちなさい。今日は絶対、一緒に帰るんだから。」

 美由はバツが悪そうな顔をした。

 『あの、赤服の女の人に尾行されたら、猫が学校に来なくなった意味がないから、直接は案内したくないんだけどなぁあ。』

 携帯で電話していた須王寺(すのうじ)が、話の途中で携帯を耳元から放す。

 「お二人さん。お待ちになってくれるかしら。今、迎えの車へ事情を伝えている処だから。」

 そういって、須王寺(すのうじ)は携帯を耳元に戻す。

 「はいはい。」

 桐野がそう返事をする。

 「彼女の車で行くつもりなんですか?」

 「さあ。私は知らないわよ。」

 須王寺(すのうじ)は、電話を切り、ポケットにしまう。

 「さあ、お二人さん行きましょうか?」

 「行くって、まさか、須王寺(すのうじ)さんの車で行くつもりなんですか?」

 「いいえ。車には待機してもらうように伝えました。桜間さんと一緒に歩いて行くのよ。」

 「うちは、遠いですよ。普通にあるけば30分ぐらいかかりますけど。」

 「あら、気にしなくてよ。」

 「そんなに遠いなら、自転車かバスにすればいいのに?」

 そう桐野が言う。

 「個人的な問題なので・・。今日はバスで帰りましょうか。」

 「あら、良いわね。私、実はバスってはじめてなの。楽しみね。」




 三人は仲良く校門へと向かった。

 その時、朋と加奈が3人を見かけた。

 「見てみて、朋ちゃん凄いよー。」

 と、加奈が朋に語りかけた。

 「何が?」

 朋は、加奈の指差す方を見ると、向こうの方に美由と桐野と須王寺(すのうじ)が仲良く歩いているのが見えた。

 「美由先輩と須王寺(すのうじ)おねぇえ様だ。後、一人は誰だろう?」

 「ん?知らない?ウチの三年全体で一番の桐野さんよ。お嬢様嫌いで有名な。」

 「へぇえ。でも、須王寺(すのうじ)おねぇえ様と一緒だよ。」

 「これは、事件ね。」

 「何でそうなるかな?」

 「ウチの三年女子の1位2位3位がそろって、仲良く3人で下校よ。既に事件よ。」

 朋は美由を視線で追いかける。その先に今朝、自分に吼えた大きな黒犬と、自分を連れて行こうとした赤服の女がいた。一頭と一人のペアは、明らかに存在を薄くして美由を見ていた。





 美由は校門前に、赤服の女と、大きな黒犬がいて自分を見ている事に気づく。

 このペアは明らかに消えていた。そして、自分に顔を向け、満面の笑みを浮かべている。

 『まいったなぁあ。最悪の事態だな。今日は一緒に帰る人がいるから、言葉をかけるわけにもいかないし・・・。』

 美由はこのペアを無視してすれ違った。

 赤服の女は美由達から少し距離を取り、尾行をはじめた。

 『もう、何なんだろう。』

 3人は校門近くのバス停に辿りつき、時刻表を見る。

 「もうすぐ、来るみたいですね。」

 美由がそう言うと、バスが入ってきて、入り口を開けた。

 「私がいつも使っているバスね。一緒の方角なのね。」

 そう桐野が言う。

 「バス楽しみですわ。」

 「須王寺(すのうじ)さん。バスの入り口に紙が出ているでしょ。あれを取るの。」

 「何でですか?」

 「何処で乗ったか証明するためよ。」

 そういって、桐野バスに乗り込むが紙をとらない。

 美由は紙をとる。それを見て、須王寺(すのうじ)も紙をとった。

 「何で桐野さんは紙をとらないの?」

 そう須王寺(すのうじ)が質問する。

 「ああ、私は定期があるから。」

 二人がそう話している間に、赤服の女と黒犬も乗り込んでくる。

 当然、彼女等は紙を取ろうしなかった。

 「さあ。座りましょ。奥の方が開いてましてよ。」

 そう須王寺(すのうじ)が言う。

 「ああ、私のウチはバスだったら直ぐですから、立ってましょう。」

 そう言って、美由はつり革と掴んだ。

 「これ、人が触っているんですよね。」

 そう、須王寺(すのうじ)が言う。

 「気にする事は無いわよ。後で手洗えば問題ないわよ。」

 そういって、桐野もつり革を掴んだ。

 須王寺(すのうじ)はハンカチを取り出し、つり革を掴む。

 「須王寺(すのうじ)さん。目立つ上に変に思われるわよ。」

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