蛙とウサギの相撲
山の中、蛙主とウサギ主は、地面に円を描いただけの簡易的な土俵の上で見合っていた。
二人の横には猿の化け物がいる。
土俵のまわりには、化け物の若い蛙やウサギが何匹か見学をしていた。
どうも、蛙主とウサギ主は相撲をとろうとしているらしい。
猿は行司役の様だった。
「さあ、みやって、みやって。」
猿がそう言うと、二人は地面に両手をつける。
その時、蛙の鳴き声が回りに響き渡った。
蛙主は地面から両手を離し、後ろを振り返る。
「ちょいまっとくれ。何かメッセージのようじゃ。」
ウサギ主も両手を地面から離し、土俵脇に移動する。
「カエルよ。ワシが勝負を待たされるのが嫌いと知っておろう、はよせんか。」
「ええい、まっとれ。」
しばらくして、カエルの鳴き声がやむ。
蛙主は、返事の鳴き声をあげた後、全体を見渡す。
「皆のもの聞け。魔法少女その1から伝言が今、あった。昨日、クロ犬が街へ抜ける道を塞いでおったじゃろ?あれは、どうも退魔師の犬のようじゃ。その退魔師がワシ等を無差別に捕まえようとしているようじゃ。魔法少女が言うには、しばらくそいつは街にいるみたいなので、近づくなという話じゃ。わかったか?」
「ほーい。主どの了解しました。」
「後、魔法少女がどうも、その退魔師に目をつけられたらしい。ずっと、マークされているみたいなので、自分処に来るなと言っておったぞ。」
「大丈夫か?あの娘?」
ウサギ主が、蛙主にそう聞く。
「なあーに。何とかするじゃろう。ワシ等が行っても何も出来ん。それより、相撲じゃ相撲。」
ウサギ主は大きな両腕を振る。
「そうれもそうだ。あの娘のことは、あの娘にまかしておこう。」
そう言って、両者は土俵に手をつけぶつかり合う。