学校の見張り役の猫
1匹と1頭と一人はひとまず、公衆電話がある校舎を出て、裏口の方へと向かう。
「私は家に帰りたいの。」
ブルドッグがワガママを言う。
「よわったのう。」
「あうー。でも、あそこの坂道、犬さんが塞いでて通れないのです。」
朋も蛙主も弱りはてていた。
そこに、誰かが声をかけてきた。
「困るにゃ。私の持ち場にこんな化け物さんがぞろぞろとこられては。」
3人が振り返ると、そこには茶トラのメス猫がいた。
朋は一瞬ビックとする。
自分が魔法少女になったきっかけの猫で、2度襲われた経験があったからだったからだ。
「魔法少女さん。その説は迷惑をかけたにゃ。ごめんなさい。」
「いいえ。元に戻られたんですね。良かったのです。」
この猫は暴走して、大型犬ぐらいの大きさになって本当の化け猫の様な姿になった時、朋を襲った事があるのだ。ここにいる朋と、もう一人の魔法少女と蛙とウサギの活躍で、何とかこの猫を元に戻すことが出来た。
「この通りピンピンですにゃ。」
朋の頭に乗っている蛙主が猫に話しかける。
「処で、学校のすぐそこに居る犬について聞きたいのじゃが。」
「今朝からずっと居るにゃ。化け物は襲うけど、人間は襲わないにゃ。」
「私はさっき、襲われかけたのです。」
朋が口を挟む。
「それは、私を抱いてたからじゃない?」
ブルドッグはそう答えた。
「役所の人間がやって来たけど、その時はすぐに隠れたにゃ。」
「ところで、あれは何じゃい?」
蛙主がメス猫に聞く。
「数日前からこの周辺に退魔師が来ているという情報は来てて、どうも、その退魔師の犬みたいにゃ。特殊な訓練をつんだ対化け物用の犬みたいにゃ。上の命令で、関わるな。会ったら逃げろとしか聞いてないにゃ。」
「弱ったのう。倒すわけにはいかんようじゃな。」
「ずっと、あそこにいて、化け物に会っても追い払っているだけみたいだから、近寄らなければ問題無いにゃ。」
「何が目的なんじゃろう?」
「知らないにゃ。近づかなければ、そのうちいなくなるんじゃないかにゃ?」
「まあ、他の連中には知らせておくかの。」
犬が割って入る。
「ちょっと、私が困るじゃない。さっきから言っているように私はウチに帰りたいの。」
「むー。だったら、陽動作戦でもするか。魔法少女頼むぞ。」
「ええ。」
朋は蛙主の発言に驚いた。