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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
1話 魔法少女誕生
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魔法少女と魔法少女と蛙と猫

 朋のバトルコスチュームは解除された。

 美由は学校の制服に戻った朋を抱きながら

 「大丈夫?」

 と、言った。うつろな顔をしながら朋は

 「はい。でも、力が抜けちゃって、体に力がはいらないです。」

 「待ってて、今、力を少し分けるから。」

 バトルコスチュームのままの美由の両手が緑色の光で包まれ、朋の(ほほ)に触れている左手と朋の手を握っている右手から力が注がれる。

 朋の顔が、うつろな表情から、だんだん、ハッキリした表情へと変化する。

 「立てそう?」

 「はい、だいぶ、力が入るようになりました。」

 そういって、朋は起き上がる。それを確認して美由も学校の制服姿(すがた)に戻った。

 後ろから声が聞こえてくる。

 「派手な音が聞こえたと思って来てみれば、魔法少女がもう一人増えてるとは。」

 それは蛙主だった。蛙なのに二本足でぺたぺたと、二人に歩み寄ってくる。

 「持久走大会の時の蛙さん・・・・。」

 「おう。お嬢ちゃん、お久しぶりだの。それより、かなり、大きな音がしたから、こっから逃げろ。先生達がくるぞ。話は学校が終わったら、またここに集まればええじゃろう。」

 朋はコンクリートに叩きつけられ、伸びている猫を見つめ

 「猫さんはどうするんですか?」

 と、言った。

 「ひとまず、わしが、こいつを動けない様にしておく。」

 「それは困りますね。」

 二人と一匹の背後から声がする。彼女等は声がした方を向く。

 そこには、黒い傷だらけの大き目の猫がいた。

 「その猫は、私達、猫に渡して貰います。」

 「お主、ここら辺を縄張りにしているボスか?」

 「いいえ、私は使いっぱしりです。」

 「それで、何故、この猫を引き渡せと?」

 「猫には縄張りがあります。こいつは勝手な事をしました。こいつがやった事は我々化け猫を危険にさらします。落とし前をつけないと我々の身も危ないんですよ。」

 「しかたないのう。」

 『何がしかたないんだろう?』と朋は思ったが、『落とし前』という言葉の方が気になった。

 「いじめるんですか?」

 「少しは(ばつ)を与えないといけませんが、殺しはしません。我々化け猫社会を守るためには必要なので。」

 「この子は、ただ、怯えていただけなんです。」

 「わかってますよ。こいつは、この学校の生徒が餌を与えるもんだから、ここら辺を根城にしていた猫なのですが、今日、突然、化け猫になったらしく。どうして良いかもわからず、学校内を彷徨(さまよ)っていたら、いつも、餌をくれる女子を見かけて飛びついたみたいなんですよ。それだけで、あれだけの事件になる。だからこそ、こいつに化け猫社会のルールを教える必要があるんですよ。」

 「あんまり、酷い事をしないのなら渡します。約束して下さい。」

 「約束しましょう。」

 二人と二匹は、その場を離れる。

 去り際に、傷だらけの黒猫は二人の魔法少女に対し捨て台詞を吐く。

 「そうそう、魔法少女のお二方(おふたかた)、以後、お見知りおきよ。」

 朋も美由も猫の捨て台詞に無言のまま、歩き続ける。

 美由は朋と一緒に歩きながら、朋の顔を見る。

 「朋ちゃん。存在を薄くできるよね?」

 「え?・・・・・。」

 朋はそんな事知らないと思ったが、何故か知っている事に気づく。

 「はい、わかります。」

 「だったら、先生に見つからない様に、存在を薄めて。」

 「え?はい。」

 朋は歩きながら目を閉じ、力を集中する。そして、普通の人では認知できないぐらいまでに、存在を薄めることが出来る。

 『この子・・・。私より姿を薄く出来るのか。私は集中してもここまで出来ない。』

 朋は美由を見つめる。

 「こんな感じでいいでしょうか?」

 「いいわよ。とっても。私より上手かも」

 「そんなぁあ。」

 「私も消えるわ。」

 そう言って、美由は存在を薄める。美由は朋を見つめる。

 「私の事、見えてる?」

 「はい、なんとか。」

 大きな音がした事を確認しにきた先生が、向こうから歩いてやって来るのが見えた。

 朋は先生の姿を見て一瞬びっくりするが、美由が背中を「ポン」と、叩いてくれたので安心することが出来た。

 二人は、先生をやり過ごす。

 「ありがとうございます。かなりドキドキものでした。」

 「そう、それより、授業に遅れちゃったわね。そっちの言い訳の方が大変そうだけど。」

 「そうですね。」

 「こう言いなさい。3年の教室に行っていたら、突然女子生徒が倒れるの偶然見て、救急車で運ばれる生徒を見ていたら、気分が悪くなってトイレの中にいたと。」

 「わかりました。でも、私、嘘が苦手で」

 「後は、ひたすら謝って、沈黙を通しなさい。」

 「はい。」

 「後、話が在るから、放課後さっきの階段の処まで来なさい。」

 「わかりました。」

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