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ハナビ君を救うために

 実は、ハナビ君は結構なグルメなのです。

 フードだってかりかりは決まっていたし、(他のフードは絶対食べない)そして水はほとんど飲まない。

 だけど水道水は美味しくないのかなぁなんて考え、試しに軟水のミレラルウォーターを与えてみました。

 ミネラルウォーターは軟水、硬水とありますが、硬水だと猫に与えた場合尿路結石のリスクもあり、よくありません。なので硬度60くらいより低いものが望ましいです。私の場合はいろはすを与えていました。

 それで、いろはすを容器に入れて与えると、いぶかしげな顔で水のにおいを嗅いでから、ちょっとだけ、ぺろぺろとなめました。

 それから様子を見ていると、気が向いたときにときどき、水をぺろぺろとなめていました。

 それで、水の量を測ってみると、一日で20ccほど飲んでくれているようでした。


 やっぱりこの仔は相当なグルメです。

 水道水はダメ! ミネラルウォーターは少しくらいなら…

 ともあれこれで、皮下点滴は1日60ccに減らすことが出来ました。

 合計で80ccになりますから。ともあれ60ccなら点滴は一回で済みます。

 ともあれ、口からもっとたくさんの水を飲んでくれれば、皮下点滴が減らせる。そして皮下点滴休みの日とか、できたら一日おきとかになったらいいな♪


 そう考えて、それで、水をたくさん飲めるようなフードとして、尿路結石の治療のためのフードを与えてみました。

 尿路結石を考慮し、PHをコントロールしてある一方、塩分が少し多くて、水が飲みたくなるというからくりがあるのです。腎不全のハナビ君には本末転倒かもしれないけれど。

 それで試しに与えてみると、フードを少し食べてから、「これ違う!」と、ひとつの目で私に厳しい視線を送りました。

 やっぱりいつものかりかり意外は、絶対に食べたくないようです。

 ハナビ君は右目しかないのだけど、実はその右目一つで、自分の心を表現してくる。

 とにかく! ハナビ君の一つの目は、「このフードは絶対に食べたくない!」と言っていたのです。

 それで仕方なく、いつものかりかりを与えると、ぷるぷるっと首を振ってから、かりかりと食べ始めます。

 実は猫が食べる直前にぷるぷるっと首を振るのはきっと「美味しそう♪」と言っているのです。

 それは私の猫飼いの経験で知ったことです。

 ともあれそんな状態で、一日60ccの皮下点滴をして、ミネラルウォーターを20cc飲んで、いつものかりかりを沢山食べて、そうやってハナビ君は、とりあえず元気に過ごしてくれていました。

 こぽっこぽっっと吐き始めたのが10月で、皮下点滴とミネラルウォーターで、それから11月、12月、1月、2月、3月と、そこそこ元気に過ごせたのです。

 とにかくハナビ君はそれから5カ月も生きた!

 余命あと一週間と言われた頃の状況を考えると、奇跡に近いです。


 だけど毎日皮下点滴をしたため、首の後ろの毛が抜け、露出した皮膚は赤くなり、小さなカイヨウも出来始めてしまいました。

 もちろん毎日毎日、針を刺す場所を変えたけれど、それでも限界があったのです。

 だから皮下点滴も、もう無理かな…

 私はそう考え始め、それじゃほかに何か、口から水分を摂らせる方法はないものかと考えていました。

 ウエットフード!

 だけどハナビ君ってグルメだから、なかなかお口に召すようなものもないのです。

 実際、たいていのウエットフードもなかなか食べてはくれなかったのです。

 しかもウエットフードは栄養的には偏っています。あれは本質的には「おやつ」です。

  だけどある日。それは3月。

 私がウエットフードを物色していると、スティック状のパッケージで、中身は一本14グラムのまぐろ味というものがありました。

 中身はジェリー状みたいです。

 見てみると水分が91%! つまり一本で水分約13cc摂取できるのです!

 で、ダメ元で買って帰り、小皿に出して与えたら、あらあらびっくり。

 豪快に首をぷるぷると振ってから、ぺろぺろぺろぺろと一気食べしてしまいました。

 よほどお口に召したらしいのです。

 それでもしかして…、と思い、試しに小皿に30ccのミネラルウォーターを入れ、それにそのウエットフードをちゅるちゅると出して、何というかスープに入った麺類みたいな感じのものにして与えたら、やっぱりぺろぺろぺろぺろと水ごと食べてしまいました。

 実はこのフードは、猫缶みたいな硬いのではなく、ジェリー状で、マヨネーズくらいのやわらかさです。

 ともかく、これは何を意味するかと言うと、つまりこの30ccのミネラルウォーターと合計で、43ccの水分摂取となるのです!

 そしてこれを一日2回与えると、86ccの水分摂取となる!

 そうするとこれで、水分摂取は完全にクリアできるということになる!

 ちなみに、ハナビ君がそのウエットフード+ミネラルウォーターを食べて(飲んで)いる様子を観察すると、まず、フードの周りの水から飲んでいました。

 それで、私が思うにハナビ君は、ウエットフードが食べたいが故、「邪魔な」水を取り除くためにウエットフードの周りの水を「飲んで」いるみたいです。

 いや、飲んでいたのではなく、邪魔な水を「取り除いて」からウエットフードを食べていたのです。

 とにかく理由はどうあれ、口から水を飲んでくれたのです!


 それでその日から皮下点滴は中止しました。

 どのみち首の後ろの皮膚はひどいことになっていたし、これ以上の皮下点滴は不可能だったし。

 だけどそれからハナビ君は、3月、4月、5月…、そして翌年、令和の時代になった現在も元気に暮らしています。

 ウエットフード水と、いつものかりかりでばっちり生き長らえているのです。

 そして現在、元気いっぱいで、首の後ろにもすっかり毛が生えそろっています。

 だからもし、あまりにも水を飲まない猫がいて、その仔が腎不全なんかになったら、試しにその仔が大好きなウエットフードを水に沈めてから与えてみて下さい。

 とにかくその仔が大喜びするようなウエットフードを使えば、もしかすると!


 そして今、私はハナビ君を引き取ることになったいきさつを思い出しました。

 あのときハナビ君は、私のバスケットをハイジャックした。

 他の仔を引き取ると決めていたのに、ハナビ君は実力行使で私の所へ来ることになった。

 そしてもし私でなかったら、そのウエットフード水なんてものを「発明」しただろうか?

 このことに関しては、私は自信があります。

 試行錯誤の末に、もう考えて考えて思いついた、特別な方法ですから。

 ともかくハナビ君は、保護施設で私のバスケットをハイジャックし、実力行使の末に私の所へ来て、そしてそのウエットフード水で命を救われたのです。


ちなみに、そのウエットフードはチャオチュールのまぐろです。


 左目は失っていますが、かわいい茶トラの仔です。

挿絵(By みてみん)


ハナビ君の里親募集時の貴重な写真(2013年撮影)が見つかりましたのでアップします。

当時ハナビ君は生後8か月でした。

 (みやざき動物のいのちを守る会 さんより許可を得て掲載)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


       猫カフェでみんなと爆睡中

挿絵(By みてみん)


これからも沢山のエピソードアップします。

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