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みー太郎の「ざわざわ発作」

 ある日、私が猫部屋へ行くと、みー太郎が激しく毛づくろいをしていて、そして「困った困った」という顔をして私を見て、それから突然、飛び上がるようにして走りだし、少し走ってまた立ち止まり、ぱたんと座り、それから体中を気にするように、それはもう激しく体中を毛づくろいしていました。

 見てみると背中から腰、しっぽの付け根あたりがの皮膚がざわざわと波打つように動いています。

(なんじゃこら?)

 そしてしばらく毛づくろいをすると、また飛び上がるようにして走り出し、またぱたんと座って毛づくろいをして…

 そういうことの繰り返し。

 なんだか体中に、ぴりぴりと激痛でも起こっているのかな?

 そしてみー太郎はというと困り果てた様子。

 それからネットでそんな症状を検索したら、「知覚過敏症候群」というのがヒットしました。

 どうやら体中に、得体の知れないぴりぴりとした変な感覚が起こり、それが気になってしょうがない状態のようです。

 獣医さんのHPとかを見ると、まず皮膚病とかの病気を除外し、そしてその得体のしれない感覚が「心の病」であると結論付ける必要があります。

 で、その症状は発作的に起こり、しばらく続きます。数十秒とか数分とか。

 その間、つねに背中の皮膚がぴくぴくと動き続け、手足をぶるぶると振るわせたりします。

 手足に着いてしまった異物を取り除こうとしているような動作です。

 本当に辛そうです。


 それから私は、みー太郎のその発作を、「ざわざわ発作」と名付けました。

 ちなみに、獣医さんなんかのブログでは、好発年齢は4歳くらいの雄。

 ぴったりみー太郎です。

 そして原因不明!

 治療法は薬物療法、環境の改善なんかです。

 心が落ち着くようなサプリなんかもないことはないですが…

 つまり対症療法です。

 原因不明な以上、根本的な治療法ないらしいのです。


 実は私は子供の頃、突然体の中に、「いやぁ~~~~なイメージ」が湧いて、それがどんどん広がり、そして何とも不安になり…

 そんな時期があった記憶があります。

 それが何だったのか、今ではよく分かりません。

(いやいや、それはパニック発作だったのかも)

 だけど突然、心の中にさざなみのように変なイメージがわき、不安とか恐怖にさいなまれる。

 そういうことって、時々だったら、誰にでもあると思います。

(本当か?)

 こういう類の「発作」は、有名人でも、あるいはプロ野球選手でも、記事で読んだことがあります。

 また、テレビで「目撃」したこともあります。


 それはある日。

 野球中継を見ていると、試合中、とある選手が突然、タイムをかけて、そして不安そうな顔をしてベンチに戻りました。

 そしてその様子を見た監督は、にこにこしながらその選手の肩をポンとたたいて、それからその選手は交代しました。

 それを見ていて私は、(あ、もしかして何か、みー太郎みたいな、心の発作が起こっちゃったのかな?)などと思ったけれど、解説者は、

「どうしたんでしょうねえ。どこか傷めたのでしょうかねえ」なんてことを言っていました。

 だけどもしかしてそれは、そういう心の発作なのではないのかと、私は勝手に想像しています。

 後にその方は自分がパニック障害であったと公表されています。


 話が思い切りそれました。

 みー太郎の話に戻します。

 それで、みー太郎にざわざわが出たときに使うためと、獣医さんに抗不安薬をごく少量処方してもらいました。

 量が多いと呼吸が止まったりして危険なので、必ず獣医さんの指導の下…ですよ。

 それと多頭飼いの猫部屋から個室へ移動しました。個室の方がいいみていです。

 実はみー太郎は、ざわざわ発作が出ているとき、目を見てもそれがすぐにわかります。

 何だか物に取りつかれたような、きつい目になるのです。

 だけど薬を混ぜたウエットフードを食べて10分もすると、いつもの優しい目にもどります。

 薬が効いたのです。

 そして私に近寄り、寄りかかるようにして座り、ゆっくりと毛づくろいをして、それからごろんと寝そべって、ごろごろいって、ふみふみして、そして私の体に頭をうずめて眠り始めます。

 それで私は、「みーちゃん、ざわざわ止まったね。よかったね」と言ってあげることにしています。

 そしてしばらくするとその発作も起こらなくなりました。

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