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妖怪天国と地獄の双子ちゃんの呟き――幸福を喰らう「手渡し遊び」

作者: Fos B
掲載日:2026/07/12

 私たち、天国と地獄っていう妖怪なの。

 人間の喜びと絶望。それを見るのがとっても楽しい。まるで絵本をめくるようなのよ。

 私たちが生まれたのは、人間の幸福と絶望の落差に反応したからみたい。私たちの本当の姿は、半分が黒くて半分が白い影なんだけど……人間に見える時は、そっくりな一卵性双子の女の子に見えるらしいわ。

 髪型はお揃いのおかっぱ。白い髪の私と、黒い髪のあの子。

「ネェ」「ネェ」。

 私たちはいつも、二人で声を合わせるの。気が合うから、返事だってぴったりよ。

 私たちはね、幸福の絶頂にいる人のところに遊びに行くの。

 だって、そんなに幸せなんだから、私たちと遊んでくれたっていいでしょう?

「ネェ」「ネェ」。

 あ、いた。このお姉さん、すっごく光り輝いてるわ。

 満タンの幸福感ね。澱なんて全然ない、最高のおもちゃだわ。

 ちょうどいい。私の「白の手」から、あの子の「黒の手」へ。スペシャルな『手渡し遊び』をしてあげましょう。

「ネェ」「ネェ」

「お姉さん、私たちと遊んでよ。えっ、遊んでくれるの? うれしいなぁ」

 あの子の手が、お姉さんの背中にふれる。

 無事に手渡し遊び、完了! 楽しいなぁ、楽しいなぁ。

 光り輝いていたお姉さんが、あの子の黒い手に吸い寄せられて、みるみるうちに真っ黒に染まっていくわ。

「ネェ」「ネェ」

「そんなに絶望しなくたっていいじゃない。楽しかったんだから。また幸福になればいいのよ」

 さあ、遊びはおしまい。

 またお姉さんが幸せになったら、いつでも二人で遊びに来てあげる。

 その時まで……またねー。

「ネェ」「ネェ」



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