妖怪天国と地獄の双子ちゃんの呟き――幸福を喰らう「手渡し遊び」
私たち、天国と地獄っていう妖怪なの。
人間の喜びと絶望。それを見るのがとっても楽しい。まるで絵本をめくるようなのよ。
私たちが生まれたのは、人間の幸福と絶望の落差に反応したからみたい。私たちの本当の姿は、半分が黒くて半分が白い影なんだけど……人間に見える時は、そっくりな一卵性双子の女の子に見えるらしいわ。
髪型はお揃いのおかっぱ。白い髪の私と、黒い髪のあの子。
「ネェ」「ネェ」。
私たちはいつも、二人で声を合わせるの。気が合うから、返事だってぴったりよ。
私たちはね、幸福の絶頂にいる人のところに遊びに行くの。
だって、そんなに幸せなんだから、私たちと遊んでくれたっていいでしょう?
「ネェ」「ネェ」。
あ、いた。このお姉さん、すっごく光り輝いてるわ。
満タンの幸福感ね。澱なんて全然ない、最高のおもちゃだわ。
ちょうどいい。私の「白の手」から、あの子の「黒の手」へ。スペシャルな『手渡し遊び』をしてあげましょう。
「ネェ」「ネェ」
「お姉さん、私たちと遊んでよ。えっ、遊んでくれるの? うれしいなぁ」
あの子の手が、お姉さんの背中にふれる。
無事に手渡し遊び、完了! 楽しいなぁ、楽しいなぁ。
光り輝いていたお姉さんが、あの子の黒い手に吸い寄せられて、みるみるうちに真っ黒に染まっていくわ。
「ネェ」「ネェ」
「そんなに絶望しなくたっていいじゃない。楽しかったんだから。また幸福になればいいのよ」
さあ、遊びはおしまい。
またお姉さんが幸せになったら、いつでも二人で遊びに来てあげる。
その時まで……またねー。
「ネェ」「ネェ」




