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第13話「帝王学(という名の屁理屈)」

毎日17時に更新します,

完結まで、継続いたしますので、最後に【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、毎日追って頂けたら幸いです。


「おのれギルドマスターめ……」


「我が可愛いアリスを、ゴミ拾いなどという下働きに使っているとは!」



その日、ギルドに激怒した領主(アリスの叔父)が、護衛の騎士団を伴って乗り込んできた。


視察に訪れた彼は、街角でほうきを持ってゴミを掃いているアリスの姿を見て、卒倒しそうになったのだ。


「責任者を出せ! 姪は次期騎士団長候補だぞ! すぐにアリスを連れて帰る!」


領主の怒鳴り声に、ギルドのロビーは凍りついた。


執務室から出てきたルークは、領主の前に進み出た。


「領主閣下」


「誤解でございます。アリス様は下働きなどしておりません。」


「彼女は現在、当都市における『最高環境責任者(CEO)』として、マクロな視点から都市防衛を学んでおられるのです」


「寝言を抜かすな! 剣を振らずして、何が防衛だ!」


領主がルークを睨みつけた、その時だった。


「お言葉ですが、叔父様(閣下)!」


ロビーの入り口から、アリスが堂々とした足取りで入ってきた。


その顔には、以前のような戦闘狂の面影はなく、知的で落ち着いた「できるビジネスウーマン」の風格が漂っていた。


「アリス! お前、そんな薄汚れたほうきを持って……!」


「これは『都市の基盤を正すための杖』です。叔父様、剣を振るうだけが防衛ではありません」


アリスは領主の前に立つと、ルークの受け売りを、100倍の情熱を込めて語り始めた。


「私はルーク殿から学びました。」


「剣は敵しか斬れません!」


「ですが、5Sは都市を救います!」


「整理!」


「整頓!」


「清掃!」


「清潔!」


「躾!」


「……」


「これこそ最強の防衛です!」


「な……」


領主は絶句した。



「ルーク殿は、私に『人を動かすシステム(コンプライアンス)』と『予防的防衛リスクマネジメント』という、真の帝王学を授けてくださったのです!」


「 このような素晴らしい教育環境を、手放すわけにはいきません!」


領主は震える目で、ルークとアリスを交互に見た。


そこにいたのは、剣しか知らなかった少女ではない。


国を語る為政者の顔だった。


「……ま、まさか。」



「国家を統べる理を教えたというのか……!」



(違う。俺はただ、怪我をさせたくなかっただけだ)


ルークは引きつった笑みを浮かべ、黙って一礼した。


――その沈黙は、領主には「肯定」と受け取られた。


「……なるほど」


「本物の賢者とは、自らを語らぬものか……」


(違う。本当に違う)


そして、その勘違いは王都へと運ばれていくことになる。


最後までお読みいただきありがとうございます。


もし「日本では当たり前になりつつ倫理観で無双するのも面白いな」「憧れのホワイト経営の先が気になる」と少しでも思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】から評価や、ブックマークをいただけると大変励みになります。

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