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12 特訓

「さて、これから1時間ほど1年と2年1人ずつのペアで魔法について学んで貰う。2年から教わる事になっているが、1年から学ぶこともあると思う。しっかり学び合ってくれ」


ナナシが話した後、イフも話し始める。


「どんな感じで学べているのか、見にいくから頑張ってくれよ」


生徒たちで拍手を送る。


「先生、今度は草原ですが、スクオーラにはワープ機能でもあるんですか?」


ペンタの言うように、次に連れてこられた場所は見渡す限りの草原だった。

先ほどまでスクオーラの中にいたとは思えないほど、場違いな空間。


「機能ってより、魔法だな。移動魔法を使う先生がいるんだよ。その人の魔法を全員共有できるように全ての扉に魔力を込めてるんだよ」


「物凄い魔法使いがいるんですね……」


「先生!ペアはどのように決めるのでしょうか!」


カールが聞く。


「火種の数が近い者同士にしたい。全員火種を出せるか?」


イフが自身の胸元に火種を出す。

火種は9。


「余裕だな」


そう言ってギースたち2年も火種を出す。

モネ以外の胸元には8つの火種、モネの胸元には9つの火種が出る。


(さすが2年生。火種が皆んな多い)


「では、僕たちも」


ペンタたちも火種を出す。


「お前ら、簡単にやってるけどいつの間にできるようになったんだ?今日教えたばかりだろ」


ナナシが驚く。


「なんとなく?」

「そこまで難しくないです」

「勘ですね!」

「……」


「本当変わったやつらだな……」


「ナナシ先生。今年の1年生はとても優秀ですね」


「イフ先生。俺たちだって優秀だぞ?」


ギースが言う。


「はは、そうだね。色んな意味でね……」


ナナシがペンタたちの前で悩む。


「そうだな……、ベクター以外が7か。火種を参考にペアを決めるのは難しそうだな。魔法の相性で決めるか……。良いか?俺が適当に選ぶから、お前らは俺が指名したやつのとこに行け。カールはギースと。リンリンはサナと。ベクターはユーリンと。ペンタはモネとだ」


「よろしくな。カール」

「はい!よろしくお願いします!」


「え〜、女の子?しかも喋らない方?残念」

「……」


「優等生くん、よろしくね」

「よろしくお願いします」


「あ、よ、よろしくお願いします……」

「よろしくね。分からない事があれば何でも聞いてね?」


(この人で良かった……)


「早速始めて貰うが、被害が出ないようにお互いしっかり距離とってやれよ〜。んじゃ、解散」


「私たちはあっちの方に行こうか?」


モネが奥を指差す。


「は、はい!」


(まずい、なんだか凄く緊張しちゃう)




「じゃあ、まずはペンタちゃんの魔法を見せてもらっても良いかな?」


(あ、そうか。魔法についての勉強って事は、見せなきゃいけないのか)


「はい!……あ、でも」


ペンタは空を見上げる。


「夜空じゃないと私の魔法は使えないです……」


「そうなの?もし、ペンタちゃんが良ければ、何の魔法か聞いても大丈夫?」


「はい……」


━━━━━━━━


「なるほど、星魔法ねえ。ひとつ、気になった事があるんだけど、それって本当に星を降らせるだけなの?」


「え?」


「願いが叶うとか、どこでも照らす事ができるとか」


(あ……)


        ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


「かっこいいじゃない!お願い事何度も言えるって事よね!???」


「………へ?」


「ちょっと、もう1回流して!お願い!」


ペンタは言われるがまま星を流す。


「自由!自由!自由!」


サルビアは願い事を3回唱える。


「ね!これでお願い叶うかな?」


そう言ってペンタを見るサルビアの目は、星空のようにキラキラ輝いている。


「さあ?した事ないから分かんないや」


「流れ星といったらお願い事でしょ?」


(そうなのかな?)


「ほら、ペンタも!」


        ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


(懐かしいな……)


「願い事は分からないです。ただ、どこでも照らす事ができるっていうのは、試してみたいかもです」


「んー、そうね。じゃあ、やってみようか」


「やってみる?今昼ですよ」


すると、モネが手を上に伸ばし目を閉じる。


「ん?これって……梅の花?」


ヒラヒラとペンタの目の前に落ちてきた花びら。

上を見ると、沢山の花が空を覆っていた。


「へ?!モネさんこんな事できるんですか?!」


「すこ〜し派手だからあまりやらないんだけどね〜」


ふふと笑いながらどんどん花を大量に出していくモネ。

あれだけ明るかった草原も、花に覆われて暗くなる。


「なんですか!これは!」

「気にしなくて良いモネの魔法だ」


遠くの方でカールたちの声が聞こえる。


「そろそろできるかな?ペンタちゃん、やってみて」


「は、はい!!」


あの丘でしていたように、手を伸ばし集中する。


「モネさん、どうですか?」


「あ!光った!今、少しだけどあっちの方で光が流れていったよ!」


「本当に、できた……」


今までとは違う魔法の使い道に、ペンタは感動する。


「でもモネさん、これができたからって私はどうすれば……?」


「ふふ。魔力の質を高めるのよ」


「質を?」


「そう。魔力の量は火種で分かるでしょう?けど、実は火種が多いからって強いって訳ではないの」


「え?そうなんですか?」


「火種を増やすんじゃなくて、ひとつひとつの火種の質を磨くと、魔法の幅が広がるのよ。今流せた光は少しだけだったでしょう?だから、ペンタちゃんにはこれからその光を無限に出せるように頑張って欲しいの」


「無限に!?」


「そこまでできたら、魔力が磨かれてきっと強くなれると思うの」


「私にできるでしょうか……」


「とりあえずやってみる!ね?」


「はい……あ、その前にさっきからいるあの猫は何なんです?ここのペットですか?」


「ああ、あの子は気にしなくて大丈夫よ」



━━━━━━━━


「ギース先輩!この頭上の花たちはいつまで出ているのでしょうか!」


カールは空を指差す。


「ああ、薄暗くてちとやりにくいかもな」


そう言うとギースは胸元に両手を出す。

すると、ブワッと音を出して炎が上がる。


「火魔法……かっこいいですね!」


「だろ?」


ギースは笑って炎を操る。

花に当たらない程度の位置に持っていくと、急に炎の威力が上がり、カールたちの周辺が照らされる。


「凄い……。先輩は何故Kクラスなのでしょうか?」


カールが聞く。


「お前普通に話せるのな。そうだな……最初はこれほど魔力は無かったが普通ならJだったよ。でも、俺自身がKに入りたかった。だから上に頼み込んでここにいさせて貰ってるんだよ。俺たち2年はそういう奴らの集まりだ」


「そんな事ができるんですか。でもそれで言うと、2年生はKクラスが存在しなかった事になりますが?」


「そうだよ。誰もいなかったんだ。だから、俺たちにとっては都合が良かった」


「恐ろしい学年ですね……僕も負けていられない!」


「何故Kクラスに入りたかったのか聞かないのか?」


「この世界では最低限の事が分かっていれば良いんです!魔法もそうですが、知られたくない事を抱えている人は山ほどいますから!まあ、これも今日ナナシ先生から教わった事ですが!」


「良い性格してるな……。よし、じゃあカールの水魔法を見せてもらおうか」


「はい!……先輩!水がないと僕何もできないです!」


「あ〜、じゃああれ使うか。ちょっと待ってろ」


そう言って何処かへ行ってしまう。


「ん?君、どこから来たんだい?」


気づくと、カールの足元に白猫が1匹座っていた。


「あ……」


声をかけると何処かへ行ってしまった。


「お待たせ!」


戻ってきたギースの右手には水の入ったバケツが握られていた。

左手には小さな機械のようなもの。


「先輩、それは?」


「ああ、これはシャボン玉が出る機械だ」


ギースが息を吹きかけると、大小さまざまなシャボン玉が出てきた。


「シャボン玉は何か関係あるのですか?」


「まあ、見てろ」


そう言うとギースはバケツを置き、シャボン玉を吹く。

そして、出てきたシャボン玉に手を伸ばす。


ボンッ!!


「わっ!!!」


シャボン玉が大きな炎になって消えてしまった。


「今から俺がこうしてシャボン玉を燃やしていく。それをカールがバケツの水を使って、最低3個守ってくれ」


「3個……。僕に水が操れるでしょうか?ここに入学する前は、水面を揺らすくらいしかできなかったですが」


「火種が7あってそれくらいか……」


ギースが手を顎に当て考える。


「やはり僕は底辺なのでしょう!」


「いいや、多分カールは火種の質が悪いだけだ。この特訓を続ければきっと良くなるはずだ」


「え……」


ギースがカールの肩に手を置く。


「任せろ。カールが魔法界の天才と呼ばれるまで、付き合ってやるからな」


カールは目を擦る。


「……ありがとうございます!」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「……」


「……」


「……」


「……」


「……ああ!もう!一体どうすれば良いのよ!何も喋らないじゃないこの子!教えるにも、何も教えられないじゃない!」


サナはリンリンとの会話に悩んでいた。


(大体なんで男の子じゃないのよ!私イコール男の子ってナナシ先生知ってるくせに!絶対私に対する嫌がらせよ……)


「……!」


リンリンがサナの袖を引く。


「なによ?」


「……」


「……」


「……なによ、あなた。他の女みたいにうるさくなくて、ちょっと可愛いじゃない」


上目遣いでサナを見つめるリンリン。


「まあ、良いわ。あなたの魔法自体何も分からないけれど、特別に私の魔法を見せてあげる。それを見て学びなさい」


そう言うと、地面に咲いている草をいくつか豪快に引き抜く。


「良い?私の魔法は毒魔法。これは結構危険なものなの。例えば、この草に私の魔力を込めると……」


サナが集中して草の塊を見つめる。

すると、毒の影響かすぐにしなしなになり枯れてしまった。


「で、これをここに置くでしょ?」


枯れてしまった草を地面に置く。

その時、その草の周辺の、触れていない草まで枯れてしまった。


「こんな感じ。毒が効いてる間はその周り、半径1メートルは同じように毒の影響を受けるの」


リンリンは思わず後ろに下がる。


「危機感あって良いじゃん。そう、これは人間にも効くから要注意ね……あ、ちょうど良いところに」


サナがこちらを眺めていた猫を見つける。

歩いていき、ためらう事なくその猫を捕まえリンリンの前まで連れてくる。


「私の毒魔法にはもうひとつ使い道があって、この猫に毒魔法をかけると……」


「……!」


サナの手をリンリンが必死に止める。


「……ああ、大丈夫。この子を傷つけるような事はしないから」


そう言って再び猫の頭に手を置き、じっと見つめる。


ボンッ!!!


「僕を便利に使わないでくれよ……」


「……!?」


黒猫が突然煙を出したかと思えば、イフがそこに立っていた。


「イフ先生は変身魔法が使えるの。超レア魔法ね」


「ははっ。そんなに褒められると嬉しいな」


「……」


「ん?何故変身が解けたかって?私の毒を先生の魔力の中に無理やり流す事で、魔法を強制的に解除する事ができるの。毒によって魔力を麻痺状態にさせてるって感じね」


「……!」


リンリンが手を叩く。


「ふふん。凄いでしょう?私もこれの習得には時間がかかったからね」


「2人も上手くできてるみたいだな。後はあの2人かな」


「先生ったら、普通に見にくれば良いのに。趣味悪〜い」


「猫の姿で皆んなに癒しを与えているだけだよ」


そう言ってさっさといなくなるイフ。

その後ろ姿を見ながらサナが言う。


「イフ先生の魔法ね、ただの変身魔法じゃないの。何にでも変身できる訳ではなくて、自分が変身したい対象になった姿を想像できたら、上手くできるらしいの。難しい魔法よね」


「……!」


リンリンがサナの袖を引く。


「なあに?」


「……!」


「私の毒魔法をあなたの魔力に?……確かに。それが上手くいけばあなた喋る事ができるかもね。ただ、私が魔力操作に失敗したらあなたは毒にやられて死んでしまうわよ?それでも……?」


「……!」


リンリンは大きく頷く。


「分かった。失敗しても恨みっこなしよ」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「いやあ。それにしても火種が11の1年生なんて、初めて聞くよ」


「何故か僕は増えやすいみたいです」


「そんな事ある!?」


「ユーリン先輩は確か、土魔法でしたよね?」


「うん。そうだよ。1度見せてあげようか」


ユーリンは地面に手を当てる。

すると、ゴゴゴと大きな音を立てて地面が盛り上がる。


「……とても凄い事は分かりましたが、先輩、これは一体?」


ベクターとユーリンの目の前には、大きな緑色の建物が出来上がっていた。


「これはね、スクオーラだよ!結構上手くないかな?」


「………………トテモジョウズデス」


「あれ!?それあんまりな反応だよね!?」


「ん?先輩が土魔法って事は、水魔法のカールと相性が悪いって事でしょうか?」


「おっ、良いところに気がついたね。そうだよ。魔法にもそれぞれ相性があるように、弱点も存在するんだ。どれだけ強い魔法でも、それに対抗できる魔法は必ず存在するんだよ」


それを聞き、ベクターが前のめりになる。


「じゃ、じゃあ、誰にも負けない最強の魔法使いは存在しないという事でしょうか?」


「そうだね。確か……スクオーラの図書館の本に書いてあったよ」


「それは初耳でした……。てっきり最強には敵わないものかと。貴重な情報ありがとうございます」


「ははっ。ベクターくんは丁寧だねえ。何でも教えたくなっちゃうよ」


「では、もうひとつ」


そう言うと、ベクターは下を向く。


「さっきから僕の足に頬ずりしているこの犬は一体?」


白い犬がベクターの脛に頬ずりしていた。


「あー……はは。先生、おちょくるのはやめて下さい」


「先生?」


ボンッ


「ベクター君にはシンパシーを感じるのでね。少し、試してみたんだよ」


「なるほど。イフ先生は変身魔法が使えるんですね」


「そんなに便利なものでも無いんだけどね」


「おーい。そろそろ時間だぞー」


遠くの方でナナシの声がする。


「あちゃ、モネ達の魔法を避けようとして遠くまできたのがダメだったか。ベクターくんごめんね。君の魔法について何にも教えてあげられなかったよ」


「大丈夫ですよ。また次の機会によろしくお願いします」


「きみ、優しいね〜」


「さ、戻りましょうか」


3人はナナシの元へ向かう。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「皆んなお疲れ〜。それぞれが良い学びを得たみたいだな。1年と2年はこれからも頻繁に会う事があると思う。次に会う時までに、今日学んだことをしっかり復習しておくように!」


生徒たちはバラバラに返事をする。


「では、そろそろ解散しますか」


「そうだな。じゃあ、1年はこれから教室に戻るぞ。付いて来い」


「ギース先輩!今日は水を浮かすことすら叶わなかったですが、次は必ず!」


「そうだな。次会えるのを楽しみにしているよ」


「ベクターくん、今日はお疲れ様。って言っても全然教えてあげられなかったけど。次は今回の分も沢山教えてあげるからね!」


「はい、またお願いします」


「……」


「……まあ、喋れなくてもあなただけは可愛いから許してあげる。毒が効かなかっただけ良かったわ。次回までに私も毒魔法をもっと学んでおくから」


「……!」


「ちょっと!抱き付かないでよ!」


(あの2人仲良くなってる……。リンリン凄いなあ)


「ペンタちゃん。今日は結構成長できたんじゃないかな?でもあまり頑張り過ぎないでね?上手くできてるから」


「はい。次こそ、無限に出して見せます。今日はありがとうございました!」


1年は挨拶をして草原の部屋を後にする。




























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