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ぶん殴りたい

前回のあらすじ

俺はレックスとの楽しい最後のデートをしようとしていた。

なのに、本名すら怪しい「モニモニ」とかいう女が邪魔をしてきやがる。

女が好きでも嫌いでもない俺だが――こいつだけは別だ。

ぶん殴りたいランキング堂々の一位、それがモニモニだ。

レックスが気まずそうに店員を呼び出した。

「すみません、俺のトマトスープなんですけど……もっと安い料理ありませんか?」


――優しすぎない!?

明らかに一万以上頼んだモニモニが悪いのに、俺の負担を減らすために自分の料理を変えようとするなんて。

やばい……男好きじゃなくても惚れるやろ。


だがレックスのトマトスープは、すでに店で一番安い「500テリー」。

これ以上安いものなんてあるのか?


店員は真顔で答えた。

「でしたら、トマトスープ水割りがありますよ」


……トマトスープに水割りってあるんだ。

まじで?どういう店?


「だったら、トマトの比率1で水9でお願いします」

それ、実質もう水だろ!!


「承知しました。水9割なので……300テリーになります」


9割減らしてるのに200しか安くならないの!?

ーーーー

モニモニがトイレに立った瞬間、場の空気が一気に澄んだ。俺はチャンスとばかりに、レックスへ話を振る。


「なぁ、あの子とは仲いいのか?……もう付き合ってるとか?」


レックスは慌てて顔を伏せ、両手で耳まで赤くしながら答えた。

「ち、ちがうから!! 女とか興味ないし!!」


――この反応。完全に脈アリだな。

だが言い訳が中学生レベルで、逆に俺の母性をくすぐる。

その健気さ、たまんねぇ。


さらにレックスは続けた。

「それに……あいつ嫌なところ多いし!基本的に失礼だし、バカ高い料理頼むし、虫を混ぜたジュースを大人に飲ませて反応を見て笑うし……あと、定期的に暴力振るってた。子供の頃なんか、近所の男グループを全部従わせてたし。全然いいとこねぇんだよ!」


……おい、想像以上にヤバいやつじゃねーか。

“嫌いなところ言いつつも本当は好き”って思春期男子の定番パターンかと思ったら、これただの人格否定じゃん。


俺は内心で拳を握りしめる。

レックス、ほんまにあの女でええんか?

好きな男を女に取られるのは慣れてる俺でも――

よりによってあんな地雷女に取られるのは絶対に許せない。

ーーーー

料理が先に運ばれてきた。

だが――レックスはモニモニが戻るまで食べようとしない。


好感度のために、俺もスプーンを握らず待機。

……待って、10分。20分。30分。


いや、女がトイレで時間かけるのは分かるさ。分かるけど――

お前、今までの行動考えろよ!?

俺のいら立ちは、サンドウィッチのパンよりもどんどん膨らんでいった。


結局、モニモニが戻ってきたのは1時間後。

さすがにブチ切れ案件だが、俺にはプランがあった。


――そう、料理の特性だ。

•レックスのトマトスープ → 冷めたら絶望的。

•モニモニのドラゴンピザ → 伸びたら不味そう。

•俺のサンドウィッチ → 多少時間が経っても安定のうまさ。


つまり、俺が急いで、サンドウィッチを残り二つにして、

「レックスに分け与える → 好感度UP」

「モニモニには冷めた料理 → 天罰」

完璧な二重構造!


俺は大食いスキルを駆使し、サンドウィッチを残り2つになるまで一瞬で平らげた。

よし、これで計画通り――


その瞬間。


「私の料理、冷めてておいしくないからぁ♡ マコマコのサンドウィッチちょーだい♡」


……は?


当然のように、俺の残りを強引に奪い取っていくモニモニ。


背後でハイドルとルーズリールもギラリと目を光らせる。

あいつらの顔は、俺の心をそのまま鏡写しにしたかのようだった。


――俺たち3人の想いは、この瞬間、ひとつになった。


「この女を潰す」

ーーーー


レックスが俺の方を、うらやましそうに見ていた。

しょうがない――残りのサンドイッチを渡してやるか。


そう思った瞬間。


「レックス~、もしかしてトマトスープ冷めちゃっておいしくない?だったら、私の半分あげる♡」


……は?


その女は、俺から奪ったサンドイッチをレックスに渡していた。

しかもレックス、めっちゃ嬉しそうな顔してやがる。


おい待て。冷静に考えろ。

そのサンドイッチは俺が注文したやつだからな!?

何を「いい感じのムーブ」かましてんだ、この女。

レックスもレックスで、まんまと騙されてんじゃねぇ!!


「お前が言ってただろ! 失礼で、暴力的で、厚かましいって! 気づけよ!」

心の中で必死に叫ぶ。

それに、あいつは、俺のサンドイッチを、あれ?そういや

俺は姿勢を正し、女に詰め寄った。


「……お前、何者だ?」


「何って、モニちゃんだよぉ~♡」


ふざけんな。その答えでごまかされると思うか。


「とぼけるな。なんで俺からサンドイッチを奪えたんだ?

それにルーズリールを倒したのは昨日のはずだ。なのに、どうして今日、この村に入ってこれてる?

お前、本当にただの一般人か?」


レックスが驚いた顔をして俺を止めに入る。

「やめろよ、そんなこと言うなよ! 確かにこいつはふざけてるけど、ただの――」


そのときだった。


幼なじみだと名乗っていた女の顔が、ぐにゃりと歪み、別の女の顔に変わっていった。










500 pv超えました。ありがとうございます。

昨日は、勉強が忙しくて投稿することができませんでした。

もしよろしければ、感想・レビューなどしていただけると創作活動の励みになります。

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