表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/279

「ミーナの料理チャレンジ」

その“お肉パーティー”の翌朝。


ルークは朝の畑作業をしながら、まだ満腹感の余韻にひたっていた。

「いやー……昨日の肉、最高だったな……。まさか罠にかかるとは……」


そんな折、ミーナが腕を組みながら現れた。

なぜか自信たっぷりで、後ろには猫たちを従えている。


「お兄、ミーナ、きめたの!」

「ん? 何を?」


「ミーナも、料理する!」


「えっ、まじで!?」


ルークは目を輝かせた。

妹の成長の兆し。こんな嬉しいことがあっていいのか。


「すっごくおいしいお料理、つくるからねっ!」


ミーナは言い放つと、猫たちを引き連れて台所へと駆けていった。

後ろから「ニャア」と頼もしい鳴き声が響く。


◆はじめての料理(猫つき)


――数時間後。


「お兄〜! できたよぉ〜!」


ルークは呼ばれて食卓へ。

そこには、色とりどりの……何かが盛られた皿が並んでいた。


「これ、なに?」

「お野菜いっぱいサラダと、お肉ミックスと、スパイシー炒めだよ!」


スパイシー……炒め?


正確には、細かく刻んだ野菜と肉が雑然と皿に盛られている。

炒め、というより“切って盛った”に近い。

調味料は……ほとんど使われていないようだ。


スパイシーとは…!?、ミーナはスパイシーと言ってみたかっただけであった。


猫たちもテーブル脇で期待に満ちた目をしている。


(……これは……)


「ミーナ、天才だっ!!」


ルークは笑顔でスプーンを取り、ためらいなく口へ運んだ。


「う、うまい! いや、ほんとに! この素朴な味が……こう、なんかこう……!!」


──素材の味そのまま、というか味がしないというか。


だがルークは、ミーナの努力とそのかわいさだけで食べ切った。

「ごちそうさまっ!!」


「ほんと!? えへへ〜!」


◆母のまなざし


それを台所から見ていたレイナは、ふんわりと微笑んだ。


「ミーナ、今度は一緒にスープ作ってみる?」

「ほんと!? やるやる!」


そこから、母レイナによる“やさしい料理教室”が始まった。

包丁の使い方、火加減、味見……。


ミーナは何もかもが新鮮で、目を輝かせながら学んでいった。

猫たちも、なぜか一緒に鍋をのぞいていた。


◆第二の試練、父への料理


数日後。


「今日は、ミーナが作ったおかずだってさ」

と、ルークが目を輝かせる。


アベルは「おっ」と頷きながら、皿を見た。

そこには焼かれた肉の切り身と、にんじん、ハーブ……だが、何かが“多すぎる”。


「……ミーナ、これ何味?」

「おいしくなるように! いろんなスパイスとおしょうゆと、おさとうと、塩もたっぷり!」

「……なるほど」


アベルは静かにひと口、そしてもうひと口。


「……うぐっ」


青ざめた顔で口を押さえると、静かに立ち上がり、奥の部屋へと姿を消した。


「……父さん?」


その場に残された猫たちは、なぜか一斉に同じ顔をしていた。


──チベットスナギツネ。


「……なんでそんな目するの、ティノ……」


◆数日後の夜


そして、しばらく後のある夕食どき。

ルークとアベルは、スープを口にして顔を見合わせた。


「……ん? なんか今日のスープ、違う?」

「うん、だが悪くない。むしろ……うまいな」


レイナはふふっと微笑んで、言葉は何も言わない。


そのとき、ミーナが胸を張って宣言した。


「そのスープね、ミーナが作ったんだよ!!」


「おおっ!? ほんとに!?」


猫たちまでが揃って胸を張るようなポーズ。


「……器用だなお前ら」


「すごいぞ、ミーナ!! おかわり!」


ルークは何度もおかわりをし、アベルも頷きながらスープを飲み干す。


「……うん、ちゃんとした味になってる」


「えっへん!!」


その日、ミーナは誇らしげに笑っていた。


──そしてその夜、彼女はこっそりとルークの耳元でささやく。


「次はね……お肉料理、がんばるんだ!」


ルークは笑いながら、力強く頷いた。


「任せろ、材料なら俺が最高のを仕入れてくる!」


こうして、ミーナの“料理の旅”が始まった。


次なる目標は、“みんなが笑顔になるお料理”!


果たしてその味は……!? 乞うご期待!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ