「ミーナ、外に家をほしがる」
「兄っ!!」
天気が回復した朝、ミーナは玄関から飛び出すように走ってきた。
「お外、晴れてる! 空、青い! ミーナ、もふもふ要塞をおそとに作ってほしい!!」
「お、おそと!?」
「そと秘密基地!! 外拠点がいるの! すぐに!」
なんというスピード感。
おやつを食べるより速く、ミーナは要求をぶちかましてきた。
「わかった。兄が本気出すしかないな……!」
俺はガッと握りこぶしを作り、前世のDIY動画知識を総動員した。
とはいえ、材料は藁と木の枝と紐。
そして、俺の「なんとなくこんな感じだった気がする」だけを頼りに、作業が始まった。
—
数時間後——
「……できた!」
「おおお!!」
畑の脇に立つ、それらしき何か。
枝をフレームにして、藁と布を被せて作ったA型のテント風構造物。
見た目はまあまあ……遠目ならギリいける。
だが。
「……兄」
「うん」
「これ……風ふいたら……飛ぶね?」
「……飛ぶな」
「それに……天井、ちょっとチクチクするね?」
「……藁だからな」
「あと……中に虫いた」
「……うん、ごめん」
—
ミーナは、秘密基地(予定)にしばらく黙って立っていた。
そして……
「……これはこれで、すき!」
「えっ」
「だって、兄ががんばって作ってくれたもん!」
ミーナはニコッと笑って、ギュッと俺の袖を掴んだ。
「次は、いっしょに作ろ!」
……俺のHPが全回復した音がした。
—
なお、この日から畑の脇には「ちょっと傾いた藁の謎構造物」が常設され、
村の子どもたちに「グランフィード家のアレ」と呼ばれるようになった。