「ベルナン青空市、芋と笑顔と始まりの鐘」
ベルナンの中央広場。
かつては戦と嘆きの噂ばかり流れていた場所が、いま──人々のざわめきと笑顔に包まれていた。
「さあさあ! 今日は初めての“再生市”だよーっ!!」
ミーナの声が、芋の山と一緒に響き渡る。
小さな台に立った彼女の前には、緋陽草の花をあしらった特製の木箱と、ふっくら蒸された“おいも”がずらりと並んでいた。
「このおいも、あま~いよっ! おにいが育てた、ぜったいおいしいやつ! ……でも、ミーナもお水あげたから、たぶんもっとおいしい!」
子どもたち:「わあ~! 食べたい!」
老夫婦:「まるで昔の味じゃ……いや、それ以上かもしれんのう」
商人:「この香り……市場でもいけるぞ、仕入れたい!」
ルークは少し離れたところから、その光景を見守っていた。
「……すげぇな。ほんとに、笑ってるわ。ベルナンの人たちが」
「お兄~っ! こっち来てぇ~! 芋切れそう~っ!」
「あーい、はいはい。追加の焼き芋持ってくぞー!」
王族たち──ミリーナ、エレナ、そしてレイナも、それぞれ市場の片隅で農産物や手作り加工品の販売を手伝っていた。
「お姉さま、見てください……これが、民の笑顔……」
「……これが、民の力。あなたが信じた“土の力”ね、レイナ」
市の終盤、広場の中央に設けられた鐘楼に、人々の視線が集まった。
緋陽草で飾られた鐘に、ミーナが近づく。
「えへへ……ミーナ、鳴らしていいの? ほんとに?」
ルークは少しだけ照れながら頷いた。
「お前がいなきゃ、今日この日もなかったからな。鳴らせ、ミーナ──始まりの鐘を」
「うんっ!」
──カァーン……!
空に響く一音が、ベルナンに広がる。
その音に重なるように、花のような拍手と笑い声が沸き起こる。
それは、再生した畑のはじまりを告げる音。
そして──
小さな妹と芋が、国を照らした音だった。
「おいも……すごいっ!!」
「お前がすごいんだよ、ミーナ」
──兄妹の“農業ライフ”、ベルナン編。
ここから、本当の本番が始まる。
かもしれない…




