「芋の便りと、姫たちの茶会──緑の国の、ほんとうの始まり」
王宮の庭園。
秋の陽に包まれた芝生の上で、姫たちが小さな円卓を囲んでいた。
「……本当に、これが“あの芋”なの?」
陶器の皿に盛られたふかし芋を手に、第四王女エレナが目を丸くする。
「うん! 王都の裏庭でね、ミーナちゃんが育てたの。それに、ルークさんが魔法のたいひを混ぜたって──」
セレナがにこやかに説明すると、第一王女ミリーナも頷いた。
「……甘いわね。芋なのに、香りが華やか。……これは、お菓子にもなる」
「民に配っても喜ばれるでしょうね。子どもにも、お年寄りにも……あたたかくて、やさしい味」
そして、レイナは微笑んでいた。
三人の姫が、同じ皿から芋を分け合いながら、どこか穏やかな時間が流れていく。
その時、離れた庭の一角で──
「にゃー(手紙にゃ!)」
黒猫クロが、小さな封筒を口にくわえて飛び出してきた。
「それは……王都の緋陽草便!?」
封を開けると、中から出てきたのは──
「“おいも いっぱいできたよ! またあそびにきてね ミーナより”」
ちいさな字と、芋のスタンプが押された手紙だった。
ミリーナは静かにそれを見つめ、にこりと笑う。
「……この子が、私たちに“国の未来”を送ってきたのね」
「芋ひとつ、されど芋……か」
「ええ。なら、私たちはこの畑で──民の笑顔を育てなきゃね」
姫たちの茶会は、やがて“農政と未来”を語る会へと姿を変えていった。




