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「ミーナのお見送りと猫たちの旅支度」
出発の日の朝。王都の門前には、麦わら帽子を深くかぶったミーナが立っていた。
「お兄〜〜……はやく帰ってきてねぇ〜〜っ!!」
その目には、涙がいっぱいにたまっていた。
ルークはしゃがんでミーナの頭をポンポンと撫でる。
「ミーナ、緋陽草のこと、任せたぞ」
「うんっ! まかされたーっ!」
猫たち:「にゃー!(任務了解)」
その様子を見守っていた王妃がそっと声をかける。
「ルークさん、ミーナちゃんのことは安心して。王宮のみんなで見守っていますわ」
「……助かります。ほんとに」
王妃はふっと目を細め、ミーナの手をやさしく握った。
「ミーナちゃん、ルークさんが帰ってきたら、たくさんお芋でお祝いしましょうね」
「うんっ! “いもまつり”にするーっ!」
猫たち:「にゃー!(いも祭り……!)」
そして──小さなかごに詰められた芋を背に、猫たちも特製のマント姿で同行準備万端。
ルークとセレナ、そして猫たちは、風にゆれる門をくぐり、ベルナンへと向かうのだった。




