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「静かなる来訪──ベルナン使者、謁見を願う」

王都の正門が静かに開かれたのは、まだ朝靄が残る秋の朝だった。

銀と黒の礼装に身を包んだ数騎の使者たちが、音もなく王都へと足を踏み入れる。


「隣国ベルナンよりの使節団、国王陛下に謁見を賜りたく、参上いたしました」


王宮に届いたその報せに、王と重臣たちは即座に反応する。

だが、謁見はすぐには許されなかった。


「……まずは、使者たちを客人として迎えよ。話はその後だ」


外交上の慎重さか、それとも──




数日後:謁見の間にて

静まり返った謁見の間に、ついにベルナンの使者たちが通された。


「陛下、並びに王宮の皆々様。我が国ベルナンは、今年度の作柄に大きな被害を受け、

隣国の助けを──特に、“王都にて実を結び始めた特別な農作物”に、関心を寄せております」


使者の代表がそう述べたとき、玉座のそばに立つ一人の女性に目をやった。


「……まさか……あの方は……っ」


驚きとともに使者が言葉を失う。


「……レイナ様……第五王女……いや、今は──」


レイナは、まっすぐに彼らを見据え、微笑んだ。


「私は今、王都の一農家の母です。しかしベルナンのことを、想わぬ日はありません」


その場にいた者たちが、ゆっくりと息を呑んだ。





一方そのころ──

「やきいも〜〜〜っ! にゃふぇ、あっち持ってって〜〜!」


裏庭では、麦わら帽子のミーナが、猫たちを引き連れて小さな芋祭りを開催中。


「へへっ、このおいも、かりかりほくほく〜っ♪ 王都いちばんだよ〜っ!」


「にゃー(しっとり甘みの黄金比)」


メイドたちや見回りの騎士が次々と足を止め、焼きいもをつまみながら和やかな空気に包まれていく。


と、その中に──一人の見知らぬ訪問者。


「……あれが……王妃様の“ご親族”だと……?」


裏庭で焼きいもを見つめる男は、先ほどの使者団の一人だった。


「この空気の差よ……本当に、ここが隣国の危機と同じ大地なのか……」


「ミーナ〜っ! 帽子ずれてるってば!」


「えへへ〜〜〜〜っ」



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