「セレナと秘密会議──王都のおことわり、大作戦」
風が冷たくなってきた午後。
黄金色に色づいた畑の向こう、納屋の裏にこそこそと設けられた、**ひみつの集会所(※ただの干し草の陰)**で、二人の少女がひそひそ声を交わしていた。
「……つまり、こうなの。
“赤い宝石のとまと”、もうぜーんぶ使い切っちゃったの。にゃふぇたちの冬ごはん分まで出荷しちゃったし……」
「うんうん、それは聞いてるわ。でも、王都の人たちがまだ“追加出荷してほしい”って……」
セレナは膝を抱えて座り、マントの裾をちょんと摘んだ。
ちょっぴり困った顔。でも、口調はどこか楽しそう。
「だからっ!」
ミーナは腕をぶんぶん振って、どこかの軍議風に言い放つ。
「ここは――**“トマトがもうありません作戦(オータムver)”**でいくべきだと思います!」
「なんか強そうね、その作戦……!」
「ふふーん。作戦の要は、あの“空っぽになったトマト畑”を、どーんって王都に見せること!
でもって、秋らしく“さつまいも祭り”とか“くりパフェ大会”とか開いちゃえば──」
「“今はそっちの季節だからごめんね~”って、自然に断れる……ってわけね?」
「そうそうっ! さすがセレナちゃん、話が早い!」
二人は見つめ合って、くすくすと笑う。
木の葉が風に舞い、猫たちがその間をふらりと歩いてくる。
にゃふぇが葉っぱをかぶって「かくれたつもり」になっているのを見て、ミーナが思わず吹き出した。
「ほらね、秋って……こういうのんびりが似合うんだよね~」
「うん、あの王都の人たちには……ちょっと静かにしてもらわないと」
「猫たちも、いま“おひるね期”だしね!」
「……それ、作戦に入れるの?(笑)」
「もちろんっ!」
こうして、“王都のおことわり・秋の陣”は静かに幕を開けた。
でも、それはただの断り方じゃなくて、
妹と仲良しの友だちが、“この村の秋”を大切に守る、小さな決意でもあった。




