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「妹がバカかわいくて平凡な農家ライフが崩壊しそうなんだが!」  作者: やまちゃぁん


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ルークとミーナの冬そり大冒険! ~森の中で雪と遊ぶ日~

冬の朝、グランフィード家の屋敷はいつもより少しだけ静かだった。雪が屋根にうっすらと積もり、庭の木々も白く霞んでいる。暖炉の前では、猫たちが丸くなり、静かに毛を膨らませて眠っていた。トラが大きく伸びをすると、ぽかぽかとした温かさが猫たちに心地よく伝わる。


一方、家の隣の作業小屋では、ルークがせっせと木材を並べていた。手にしたノコギリを軽やかに動かし、板を切る音が小屋にこだまする。木くずが床に散らばり、ルークの足元には小さな雪だるまのように集まっている。


「よし、ここまでか……」


ルークは作業台に置かれた小さな木製のそりを見つめ、慎重に組み立てを終えた。そりの滑る底面はしっかりと磨かれ、木の香りがほんのりと漂う。小屋の奥には、丸くなった猫たちが興味津々の目でこちらを見つめていた。


「にゃ、できた……まだなのにゃ」


トラがぴょんと跳ね、爪をそりの底に引っかけてみる。ルークは笑いながら、「お前たち、触るなら優しくな」と声をかける。猫たちは興味はあるが、まだ遊ぶ段階ではないと理解しているのか、そっとそりから距離を置く。


その頃、庭ではミーナが村の子供たちと雪合戦を楽しんでいた。小さな手で雪玉を作り、友達に投げつけるたびに歓声があがる。ミーナの髪には雪の結晶がふんわりと舞い、赤く冷たい頬がさらに愛らしさを増していた。


「にぃに、早く来てほしいのですー!」


と小さな声が雪の中に響く。しかしルークはまだ作業中。小屋の中で最後の調整を終えると、満足げに立ち上がった。


「よし! できた!!」


完成したそりを両手で抱え、ルークは外へ向かう。冷たい空気に木の香りが混ざり、冬の朝の凛とした気配が広がる。ちょうどその瞬間、雪遊びを終えたミーナが家へ帰ってきた。


「にぃに、それなんなのです?」


目を丸くしてそりを見つめるミーナ。小さな手でそっと触れてみるが、その滑らかな木肌に感動しているようだった。


「これはソリだよ。乗って雪の上を滑るんだ」


ルークが説明すると、ミーナの目がキラキラと輝く。


「ミーナも乗って遊びたいのです!」


「もちろんだ。だけど雪道はちょっと滑りやすいから、一緒に行こう」


ルークはそりに付けたロープを引き、ミーナの手を取り、森の少し開けた場所へと歩き出す。道中、猫たちが後をついてくる。トラはルークの近くを歩き、チビはミーナのすぐ後ろで跳ねながら雪を蹴散らす。



森の開けた場所に着くと、雪は深く柔らかく積もっており、木々の間から朝日が差し込む。ルークはそりを慎重に雪の上に置き、ミーナを座らせた。


「じゃあ、行くよ!」


ルークが後ろからそりを押すと、ミーナの顔に風が当たり、頬がピンク色に染まる。


「きゃあぁぁ!!」


雪を蹴るようにそりが滑り出し、ミーナの歓声が森の中に響く。猫たちは追いかけるように駆け、足跡が雪に点々と残った。


「わぁ、にぃに、速いのです!」


「もっとバランスを取れ! 足をこうして……」


ルークは後ろから叫びながら、ミーナが安全に楽しめるように目を光らせる。しかし、そり遊びは想像以上に速く、ミーナが小さく叫ぶたびに猫たちも「にゃー!」と反応する。


途中でそりが小さな雪の隆起にぶつかると、ミーナは思わずひっくり返る。ルークが素早く駆け付けそりを起こす、二人で雪の上に転げながらも笑いが止まらない。チビはその雪を見て大興奮、トラは背中を丸めてそりの周囲を駆け回る。


「にぃに! もう一回なのです!!」


「もちろんだ。今度は僕も乗ってみるか?」


ルークがそりに座ると、ミーナは後ろに抱きつき、二人で一緒に滑る。猫たちはその速さに驚いたのか、雪を蹴って追いかけるが、すぐに追いつけず転げる。すると雪の中で小さな雪だるまができあがり、猫たちもその上に顔を突っ込み、遊びながら雪まみれになる。


「にぃに、トラもチビも楽しそうなのです!」


「ほんとだな。でも気をつけろ、雪が冷たいから風邪ひくなよ」


ミーナの手を握りながら、ルークは何度もそりを押したり滑らせたりして遊ぶ。その間にも猫たちは小さな雪の山を作ったり、枝に登ったりして、まるで雪の精たちが集まったかのような賑やかさだった。


やがて、そり遊びに疲れた二人は森の縁の倒れた大木に座り、雪に埋もれた足をさすりながら息を整える。ミーナはルークの膝の上で、猫たちを眺めた。


「にぃに、今日も楽しかったのです……」


「ああ、楽しかったな。雪の日は、こうして遊べるからいい」


猫たちは暖かい毛並みを膨らませて丸くなり、雪の中に寝そべる者もいれば、ミーナの膝の上で小さく丸まる者もいる。雪景色の中で、家族の笑い声と猫たちの小さな声が静かに森に溶けていった。


「さあ、帰ろうか」


ルークがそりを引き、ミーナと手をつなぎながら、家へと歩き出す。猫たちも追いかけながら、時折雪玉を蹴散らし、遊び心を忘れない。屋敷に戻ると、暖炉の火が温かく迎えてくれた。


「にぃに、また明日も遊ぶのです!」


「もちろんだよ、ミーナ。次はもっと速く滑れるように工夫しよう」


その日の夜、雪は静かに降り続け、屋根や木々を白く染める。ルークとミーナ、そして猫たちの小さな雪の冒険は、静かな冬の夜にほのかな温かさを残しながら幕を閉じた。

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