「甘さは、畑から始まる」
にゃみカフェの小さなテーブルに、今日もミーナと猫たち、そしてセレナが並んでいる。
メニューはもちろん、ミーナ渾身の“とまとスイーツ”──いや、正確には**「なんかすごく甘いトマトを使った謎おやつ」**だった。
「やっぱりこのトマト、あまーい!」
「にゃふぇ! ねこ舌でもぺろりにゃ!」
「すごいね……これ、トマトの甘さだけなの?」
セレナが目を丸くする。ルークは畑の様子を見に行っていたが、ふと現れてぽつりとつぶやく。
「……なんか、糖度上がってきてるみたいなんだ。普通の育て方じゃないからな」
ミーナがぱっと顔を輝かせる。
「にーちゃんのトマト、スイーツになるトマトだったの!?」
ルークは首をかしげる。
「いや、そんなつもりはなかったんだけどな……」
◇「スイーツ適性、高すぎ問題」
その後、村のパン屋が試しに**“ルークのかぼちゃ”でパイを焼いたら大人気。
ハチミツ農家が、ルークのクローバー畑で蜜を取ったら濃厚さが倍に。
卵農家がルークの育てた飼料ハーブ**で育てたニワトリの卵は、黄身が黄金のように……。
そしてにゃみカフェでは、ミーナがどんどん“とまスイーツ”を拡張。
トマトチーズタルト
トマトの冷やしゼリー
トマト×バジルアイス(!?)
旅の商人も立ち寄るようになり、ある日ぽつりと一言。
「……王都の宮廷菓子職人が、あの“赤い果実”を探してるらしい。新しい“スイーツ革命”になるって」
ルークはスコップを片手に、ポリポリ頭をかく。
「……俺、ただの農家なんだけどな……」
◇「そして今日も、畑は豊作」
ミーナはスイーツ試作に夢中で、にゃふぇと一緒にトマトをこねている。
セレナはカフェの会計を手伝いながら、笑顔で見守る。
ルークはというと──今日も静かに、土を耕していた。
彼の育てた野菜は、どうやら**“スイーツ適性”もチートレベル**だったようだ。
けれど本人は、それをまだ「ちょっと甘く育ちすぎてるかな」と思っているだけで……。
──にーちゃん、気づいてないの。
──あなたの畑、すでにスイーツ界の革命起こしてるよ?




