満月の夜、ミーナ・バオア・クー秘密結社、冒険再開!
再び……。――それは満月の夜。
村はずれの畑の奥、奇妙に見える建物が建っていた。
藁と木片で作られ、ミーナが一生懸命組み上げた「猫専用ハウス」。
※[いやいや、ルークが作ったはずである]
その名も―― ミーナ・バオア・クー。
内部では、干し草の上に猫たちが集まっていた。
「……にゃん」
「にゃおん」
「ふしゃーっ」
リーダー格の黒猫・クロを中心に、白猫のシロ、三毛のミケ、ふてぶてしい灰色のブチ、その他もろもろの猫たちが円座になって座り込む。
まるで秘密結社の会合のようである。
冒険へ出ていた猫たちと、留守番していた猫たちの話し合いが行われていた。
「幻の猫じゃらしは、なかったにゃ」
クロが低い声で告げると、シロが「にゃー……」と残念そうに耳を垂らした。
「だが――代わりに黄金の猫草を見つけたにゃ!」
ブチが自慢げに毛づくろいをする。
「にゃっ!? ほんとにゃ?」
「すごいにゃー!」
ざわめく猫たち。ミケが尻尾をぶんぶん振りながら言った。
「つまり、この世界にはまだまだ色んなものが隠れているにゃ! もっと、楽しいところがあるに違いないにゃ!」
「……いや、まて」
クロが前足を上げて制した。
「忘れてはいけないにゃ。我らの使命は――ミーナの幸せにゃ!」
「にゃおおおお!!」
ミーナ・バオア・クーの天井が抜けそうなほど、猫たちは声をそろえて鳴き上げた。
「このバオア・クーを見よ! ミーナが我らのために作ってくれた最高の猫ハウスにゃ!」
「にゃ! ふかふかの干し草にゃ!」
「にゃ! 爪とぎし放題にゃ!」
※[猫たちは勝手に占領して住み着いたよね]
「つまり……我らは珍しいものを探し、持ち帰り、ミーナに捧げるのだ!」
「にゃああああ!」
クロがしっぽを大きく振り下ろす。
「いざ行かん、冒険の旅へ――!」
満月の光が、ミーナ・バオア・クーの小さな窓から差し込む。
猫たちの瞳はきらきらと輝き、どこか神々しい……いや、ただの好奇心に満ちた輝きであった。
そして――翌朝。
ミーナが目を覚ますと、猫たちの姿はきれいに消えていた。
残されていたのは、干し草の上に並べられた「猫印の足跡書状」。
『いってきますにゃ。 ミーナ・バオア・クーを守っててにゃ!』
――猫たちの新たな大冒険が、再び始まろうとしていた。