表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/277

「おかし会、ひらくのです!」

ある日の午後。


ミーナは、森からもらってきたはちみつの瓶を机に並べて、腕を組んでいた。


「にゃふぇ……わたし、これを“おかし”にしたいのです……!」


にゃふぇ「にゃふ?」


「おにぃのお野菜と、お花と、果物と……このはちみつ! ぜんぶ使って、“すてきなおかし”作るの!!」


にゃふぇ「にゃふぇえ……!(まさかの構想力)」


 


それを横で聞いていたルークは、ちょっとだけ笑う。


「また急に言い出したな。……で、誰が作るんだ? お菓子」


「……え?」


 



そして数時間後──


 


村の広場。小さなテーブルに並ぶ、焼きかけのクッキー、こねかけの生地、謎の材料たち。


ミーナ「みんなで作れば怖くない!!」


猫たち「にゃあああ!!」


 


なぜか猫たちまで小さなエプロンを身につけ、やる気満々。


 


その中に、こっそりと──


「……まさか本当に、呼ばれるなんて……」


フードをかぶった小柄な少女。


セレナだ。


「はちみつ入りの焼き菓子……作るのははじめてだけど……楽しそう」


 


にゃふぇが彼女にタオルを差し出し、そっと尻尾を振る。


 


 


◇「おかし会」スタート!


 


ミーナは、生地をこねては砂糖をこぼし、はちみつを入れすぎて猫の毛にくっつけ……


「うにゃあ!? にゃふぇがねっちょりになったああ!!」


 


セレナは、そんなミーナを横目に、静かに作業を進める。


「……このくらいの火加減で、じっくり焼けば……」


 


ルークはというと、後ろでボウルを洗いながら、


「……俺は手伝いじゃない、保健要員だ。あくまで…(怪我すんなよ)」


と、言いつつ、気づいたら甘さ控えめの“にんじんケーキ”を仕込んでいる。


 


猫たちは、途中でクッキー生地を運び、完成品を整列。

まるで一流のパティスリー。


 


 


◇夕暮れ、小さな“おかし会カフェ”が完成。


 


村の子どもたちが集まり、大人たちも覗きに来る。

テーブルの上には、ほんのり温かいはちみつクッキー、花の香るゼリー、にんじんケーキ、ハーブティー。


 


「これ……本当に手作り? おいしい!」


「ミーナちゃん、すごい!」


 


「えっへん!」


ミーナは手を腰に当てて胸を張る。

隣でにゃふぇも誇らしげ。


 


セレナは、小さく笑って──ふと、言った。


「……また、やろうね。こんどは“ミーナカフェ”って名前にして」


 


ミーナの目がまんまるになる。


「ほんとっ!? じゃあ次は、ふわふわパンケーキにしよう!」


 


 


ルークは、静かに座って子どもたちを眺めていた。


(……ま、悪くない。こんな日も)


 


その手には、はちみつとミントの効いた一杯の温かいお茶。


──少しずつ、“のどかな革命”が始まっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ