ミーナと裏返しの国 ~逆さまの森で、ミーナ大暴走!?~
◆◆◆「鏡の向こうに落ちたのです!」
グランフィード家の朝。ミーナは猫たちと仲良く“紅茶ごっこ”をしていた。
「次は、しろのミルクティーですのっ!」
「にゃー(それはただの牛乳)」
そこへルークがふらりと現れる。
「お前ら、朝から騒がしいな」
「にぃにっ、今日もイケメンなのですー!」
「……な、なんだそれは」
ミーナは今日も絶好調。
その日の午後――
ミーナは居間の古い鏡の前で、しろ(白猫)とたわむれていた。
でもその鏡、どこか様子がおかしい。
「……なんか、鏡の中のミーナ、ちょっと動きがズレてるのです……?」
触れようとしたミーナの指先が、鏡の表面にすっと沈んだ。
「へっ……えっ!? にゃああああああああああっ!?」
次の瞬間、ミーナとしろは――鏡の向こう側に吸い込まれていた。
◆◆◆「裏返しの国は、へんてこだらけ!」
気づけばそこは、色が逆転した森だった。
空は紫、木は真っ赤、草は青。
猫たちは口をきかない(代わりに筆談)し、ミーナの声は逆再生みたいになる。
看板には「ようこそ、さかさまのくにへ!」と書かれていた。
「う、うわーっ!? 何もかも、へんてこなのですっ!」
そこへ現れたのは、裏しろという黒い猫。
「この国では、正しいことが間違いで、間違いが正しいのだよ、ミーナ」
「つまり……宿題しないのが正しい!?」
「……ちょっと違う」
すべてが「裏返し」に動いていく世界。
左に歩けば右に進み、上にジャンプすれば地下に落ちる。
でもミーナは、めげない。
「これは……探検なのです! にぃにへのおみやげ話にするのです!」
◆◆◆「裏王さまの試練!? ミーナ、勝手に挑戦状!!」
森を抜けた先にあったのは、反転王国のお城。
そこでは「裏王さま」が国民をぐーたらにさせていた。
「動くな、考えるな、逆らうな」
「な、なにそれ! 全部だめなのですっ!!」
ミーナは、ついに叫ぶ。
「わたし、そんなのイヤなのですっ! 裏王さま、勝負するのですっ!!」
「……ほう、お前が挑戦者か。ならば、三つの試練に耐えてみせよ」
◆◆◆「ぐるぐる迷路と、笑うヒント」
第一の試練は、「終わらない迷路」だった。
出口は常に反対側に移動し続ける迷宮。看板には「さがせばさがすほど迷う」とある。
猫たちは困惑。ミーナは走り出す。
「さがすと迷うなら、探さなければいいのです!」
結果、ミーナはただ歩くだけで出口に着いてしまう。
「……やっぱりバカかわいいのです」
裏しろがポツリと呟く。
◆◆◆「裏王、即退位!? ミーナ、やっぱり自由だった!」
第二の試練は「ウソつき裁判」
ミーナは被告として「王のパンを勝手に食べた罪」で裁かれる。
「食べてないのですーっ! むしろ裏王が食べてましたの!」
裁判官はウソしか言わず、証人は逆のことしか言えない。
でも――
「ほんとは食べたんだろう?」
「……ほんとは食べてないのです!」(逆のことを言えば正解)
ミーナ、まさかの逆手ロジックで勝訴!
第三の試練は「なにもしないこと」
「……む、無理なのですっ!!」
「ミーナ様、30秒で脱落です……」
でも王国の規則では、「三つのうち一つでも破れば王位は譲渡」
「じゃあ、わたしが王になるのですっ!!」
「え、マジで!?」
「まずは、お昼寝とおやつを推奨するのです!!」
◆◆◆「おかえり、ミーナ。ここがいちばん!」
裏返しの国は、ミーナの自由すぎる治世によって楽しくなっていった。
けれど、銀の靴がまた光り出す。
「……にぃにに会いたいのです」
猫たちに見送られ、ミーナは鏡の中を戻っていく。
ぱちん、と音を立ててミーナが帰ってきたのは、グランフィード家の居間。
「……にぃにっ!!」
「なんだ、どうした。急に泣くなよ」
「ちょっと、王様になってきたのです……。でも、にぃにがいいのですっ!」
「……お前は、世界で一番自由だな」
「えへへーっ!!」
そしてまた、ミーナの日常が始まるのでした。
元ネタも読んでみてください。