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アニーとミーナの“野菜でスイーツ大作戦!”

グランフィード家の朝は、いつも静かな鳥のさえずりと、畑をなでる風の音から始まる。


……の、はずだった。


「にゃあああああっ!?」

「こっちは甘いのか辛いのか分からないのですっ!!」

「ひぃいいい〜〜〜〜!!!」


この朝、調理小屋は、叫びと粉まみれの大騒ぎだった。




「きゅうりで……ケーキ、つくれますか?」

アニーがそう言ったとき、ルークは無言で固まった。


「つ、作れるのです!! ミーナにまかせるのですっ!!」

自信満々なミーナの後ろで、猫たちはすでにサンドイッチ用の食パンを山ほど持ってきていた。


「おまえら、それはケーキじゃないぞ……」




ことの発端は──


数日前、村にやってきた新しい住人、赤毛のみつあみ少女アニーと、その家族。


アニーはしっかり者のように見えたが、ミーナにとっては「おともだち」枠。すでに仲良しである。


「この前、ルークさんが“野菜の甘みを活かせばスイーツになるかも”って言ってて……やってみたくて!」


「それなのですっ!!」


二人はお互いに手を取り合い、すでに“野菜スイーツ研究会”を発足させていた。




【第1実験:スイートにんじんケーキ(のようななにか)】


「まずはにんじんをすりすりして……」

「まぜて、まぜて、猫の毛がっ!!」

「にゃーっ!?(失礼な!これは飾り毛だ!)」


泡立て器の中でにんじんが粉とともに舞う。

なぜか途中で猫のしろが中に飛び込み、粉まみれになる。


「ふわふわなのです……でもなぜしろが……」


とりあえず焼いてみる。見た目は……まあまあ?


味は……「うん、甘い。野菜っぽい……でも微妙!」


ルーク「正直でよろしい」




【第2実験:トマトジャムのカップケーキ】


「トマト、煮詰めて甘くしたら美味しいかも?」

「にゃ!(その発想はなかった)」


トマトと砂糖を鍋に入れ、グツグツ。

猫たちが鍋の周りに群がる。


「焦げ臭いのですっ!ああああ、にゃにゃが鍋に手を!!」


結果、トマトは“べっこう飴のような焦げジャム”に変身。


「……カップケーキが真っ黒です」


「にゃあ……(香ばしい)」←前向き




【第3実験:コーンとミルクのプリン……?】


「これはいける気がするのです!コーンは甘い!ミルクも甘い!」


混ぜて、加熱して、冷やして──できあがったのはぷるぷるの……謎。


「見た目はプリン。でも、匂いが味噌汁っぽいのです」


ルークが恐る恐るスプーンを口に運ぶ。


「……あれ?意外とうま……いや、やっぱり変だな」


「にゃ……(これには賛成できない)」




夕暮れ。畑の風がやさしく吹いていた。


しょんぼりするミーナとアニー。


「やっぱり、むずかしいね……」

「うぅ、ミーナ、スイーツ職人にはなれないのです……」


そこへ、ひょこっと現れたのはレイナ(ミーナ母)だった。


「ふふ。ふたりとも、よくがんばったわね。でも、スイーツって“甘くてやさしい気持ち”が一番の材料なのよ」


「やさしい気持ち……?」




【そして──】


ミーナたちは、最後の挑戦を決めた。


野菜はほんの少しだけ使って、リンゴやミルク、はちみつなども足しながら、

“食べやすく、かわいく、美味しく”を目指すことに!


できあがったのは──


「“にんじんとりんごのしゅわしゅわゼリー”!」


野菜はすりおろしでちょっぴりだけ。でも、ほんのりした甘さと、しゅわっとする舌触りがミーナらしい。


猫たちも大満足。


「にゃー!(これは売れる!)」


「にゃーにゃー!(次はお店出す!?)」


「うふふ、にぃににも食べてもらうのですっ!!」




ルークは夕飯前に、そのゼリーを一口食べて、言った。


「……これは、ちゃんと甘くて……ちゃんとミーナらしいな」


「えへへ、そうなのです〜〜!!」


アニーも笑ってうなずいた。


こうして、ミーナとアニーの“野菜スイーツ大作戦”は、ハチャメチャながらも成功に終わったのだった。



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