表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

154/261

王都のマダムを救え! 〜野菜が世界を変えるのです〜 その五

【最終話】「王都の祝宴と、ミーナの夢──“やさい姫”爆誕!?」

王都・エルデン城。

秋の祝宴を迎えた宮廷は、貴族や市民の活気であふれ返っていた。


城門前の広場では、各地の名産品がずらりと並ぶいちが開催され、そこに――


「ようこそ! グランフィード農園特製・秋の“やさい御膳”ですのっ!」


「にゃー!」 「にゃにゃっ!」


満面の笑みを浮かべて立つ少女――そう、ミーナと猫たちの出店が、ひときわ目立っていた。



◆王都の“やさい御膳”旋風!


メニューは、野菜たっぷりの焼きパイ、カブのポタージュ、キャロットケーキ、そして名物“しゅわしゅわ野菜ソーダ”。


猫たちがきゅうりをトッピングしたサンドイッチを自信満々に出すたび、客は苦笑しながらも笑顔で口に運んだ。


「これが……今、王都で話題の……!」


「うちの奥方も、“肌が明るくなった”って大騒ぎでしたぞ!」


人々の間に、ミーナたちの野菜の評判はすでに広がっていた。



◆ルークと王妃の再会


ルークは、王宮の庭園の一角にて控えていた。

ほどなくして、上品な足音が近づいてくる。


「お久しぶりね、ルークさん」


「……王妃様」


静かに現れた王妃エリザベートは、ミーナと遊んだ日々を懐かしむように、微笑んだ。


「この子が育てた野菜で、王都の婦人たちが救われたのだとか。とても……素敵なことだわ」


「はい。ミーナが……本当にがんばりました」


その言葉に、王妃は軽く目を細め、ひとつの箱を差し出した。


「これは、王宮からの感謝の印。ミーナ嬢に贈らせてちょうだい」


「ありがとうございます」



◆やさい姫、誕生!?


その日。

宴の中心で行われた“秋の恵みの感謝祭”にて、サプライズが発表される。


「続いて、“王都に笑顔をもたらした野菜の精霊”として――」

「グランフィード農園の……**ミーナ嬢を“やさい姫”に任命しますっ!」」


「へっ!? えっ!? えええぇぇぇぇ!??」

ミーナ、困惑。


王都の中心で、冠を頭に乗せられ、緑色のリボンのかかったドレスを着せられるミーナ。


猫たちは即興で「やさい舞」を始めるし、ギャリソンは横で祝賀の飲み物をふるまっている。


「にゃーにゃー!(我らが姫に忠誠を!)」


「にぃにぃ……これは夢なのですか……?」


「夢じゃないよ。お前が、自分の手で叶えたんだ」


ルークがそっとミーナの頭をなでると、ミーナの目にうるっと光が差した。


「ミーナ……ほんとうに、うれしいのですっ……!」



◆宴のあと


宴が終わり、村に戻る帰り道。


馬車の中、ミーナは“やさい姫”の冠をぎゅっと胸に抱いていた。


「ねえ、にぃに」


「ん?」


「ミーナ、もっとすごい野菜、作りたいのです」


「……ああ。お前なら、きっとできるよ」


「やさい姫ですからねっ!」


ルークは小さく笑い、夜空に向かってつぶやいた。


「……やれやれ、これから王都中の健康まで、背負うことになるとはな」


「にゃっ(野菜の未来は俺たちに任せろ)」



◆◆◆


こうして――

一人の少女と、猫たちの愛情こもった野菜が王都を変えた。


笑顔の根っこには、いつもミーナの“だいすき”がつまっている。


これから先、どんな未来が待っていようとも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ