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試飲会と、猫の暴走!?                  ~レーヴェンクロイツ分家のイザベル参上、ギャリソン奮闘!~

◆招かれた豪華ゲスト


グランフィード家の庭先に、再び王都の馬車がやってきた。

今回は、セレナと共に黒い飲み物の噂を聞きつけたレーヴェンクロイツ分家の令嬢、イザベル・フォン・レーヴェンクロイツ、そして彼女に付き従う執事ギャリソンの姿があった。


「ルーク殿、あの黒い飲み物とは、焼き豆を挽いてお湯で抽出したとか……? ぜひお見せ願いたく存じますわ」


イザベルは美しい微笑みを湛えつつ、好奇心いっぱいにルークを見つめた。ギャリソンは静かに佇み、ルークの手元を確かめるような視線を送っている。


セレナが小さく口を開いた。


「イザベル嬢、はじめてじゃありませんこと?」

「ふふ、確かに。ルークさんの“あの味”は、前にも試して…ん? 思わせぶりな笑みですら?」


ルークはちょっと慌てて俯いた。


「いや、たまたまな」


ミーナは、きらきらと目を輝かせてゲストをお出迎え。


「イザベルお嬢さま、いらっしゃいましなのです! 今日は美味しいもの、いっぱいありますのです!」


◆試飲会の始まり──まずは準備


ルークはさっそく焙煎・挽き・淹れの段取りを見せ始めた。

ネル布をセットし、焙煎豆をミルに挽いて、ネルドリップへ。傍らの猫たちも興味津々で足元に群がる。


「お嬢さま、この方法で淹れると、苦みと香りのバランスが絶妙になりますの」


ミーナは自慢げに語る一方、猫たちの邪魔によるポット落下も折込済み。ギャリソンが影から静かに受け止める度に、ミーナはぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。


「おっと危ない」

「さすがギャリソンさん、鮮やか!」


イザベルも感心の表情。


◆第一の杯──セレナブレンド


まず最初に、ルークが淹れたのはセレナブレンド。

香りをかいだイザベルが、そっと口に一口含む。


「……ふむ。奥行きがあり、苦みの中にほのかな甘み。はじめて飲む味ですわ……」


セレナは満足げに笑い、イザベルも嬉しそうに小さく頷いた。


「見事ですわ、ルーク殿」


場が一気に和んだところで――猫たちが一斉に飛びかかる!


ボトル&カップが倒れ、微妙に焦るルーク。セレナが慌ててコップ群を押さえ込む。イザベルは笑いながら邪魔しないように猫をまとめ、ギャリソンがこぼれたコーヒーをタオルで拭く。


「こ、これが……“試飲会での洗礼”なのですっ!」


ミーナは慌てながら猫を追いかける。その仕草がまた可愛くて、皆、思わずくすり。


◆第二の杯──セレナ・クリスタルブレンド


次に、セレナが選んだ名前のブレンドを淹れてみる。

深煎りと中煎りの混合ブレンドで時間をかけて淹れたこの一杯。


イザベルはその奥深い味に驚きつつも、一口ごとに表情が和らぐ。


ギャリソンも「これはうまい」と静かに呟き、セレナも「素晴らしいですわ」と頷いた。


ミーナは小さなカップに砂糖とミルクを入れて、「ミーナブレンド」を自作。カラフルなティースプーンで丁寧に混ぜながら、たしなめられない魔法少女のように振る舞う。


「猫さんたちもどうぞですの」


カップには薄めのミルク入り。猫たちは顔をくんくんさせながら近寄り、小さくなめる。ぺろり。


ミーナは満足そうに胸を張り、「ね? かわいいでしょ?」とウインク。ルークは「あぁ天使」、そんな光景を思い出深く見つめた。


◆第三の杯──イザベルブレンド?!


そして最後に、イザベルに一杯淹れてもらおうということで──ルークがミルを譲る。


「お任せします、ルーク殿」

「緊張しますわ……」


イザベルが緊張しつつ豆を挽き、丁寧にネルドリップを行う。ギャリソンが背後で見守る。ミーナも「がんばってなのです」と小さく応援。


その香りと味は──


イザベルが「……!!」と唇を閉じたまま、ほんの少し口角を上げた。満足の表情。


「これは……私が選んだ一杯ですわ。苦くて強いけど、どこか優しい……まさに“わたくし”のようですわね」


皆が思わず笑顔になる。セレナも頬を染め、「さすが分家の令嬢」と褒める。ルークもガッツポーズ。


猫たちはその瞬間、なぜかまんまると整列ポーズ。ミーナが笑いながら「ホラ、また正座ですの」と抱き上げる。


◆大団円とミーナの一言


試飲会の終盤、穏やかな時間が流れる中、ミーナがぽつりと言った。


「にぃにぃ、今日はいい香りと、かわいいお友達と……とっても楽しかったのです」


思わず皆がその言葉に目を細める。イザベルはやさしく頷き、ギャリソンもほんの少し微笑んだ。


ルークは深呼吸して、皆に杯を向けた。


「──ありがとう、みんな。これからも、もっと美味しいものを一緒に探そうぜ」


猫たちが一斉に「にゃー」と小さく返事をして、お開きムード。



このところなんか 桃が食べたくて食べたくて・・・桃で書いていたら

 『ももたましい!〜桃の王国と十二品種の姫君〜』

こんな話になってしまった。相変わらず、乗りと勢いで書いています。

もし桃が食べたいと思ったら(食べたくなくても) 一度読んでみてください。



[ボソッと、また桃狩り行きたいなぁ 中込○園とか…]

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