翌朝、王宮にて ~正座する猫たちと騒がしい始まり~
朝日が差し込むベルナン王宮の一室。
「こらっ、昨日のこと、ちゃんと反省するのです!」
ミーナの可愛らしい声が響き渡る。
その前には、きちんと正座をしている猫たちの姿が。
しっぽをたらりと垂らし、耳を伏せた猫たちは、どことなく神妙な面持ち。
それはそれは見事な正座姿──というより、どこで覚えたのやら。
「……猫が、正座……? まさか、この国の教育はそこまで……?」
呆気にとられていたのは第一王女ミリーナ。朝からティーカップを手に、ぽかんと立ち尽くしている。
「ミーナちゃん……昨日は本当に、ありがとうね? 舞踏会がとても楽しくなったわ」
「えへへ、猫たちも反省してるのです。しろ以外は」
「しろは許されてるのね!?」
◆セレナは通常営業
その隣では、セレナが優雅に紅茶をこぼしながら平然とした顔でナプキンを広げている。
「うっかりですわ。昨日の湖の水が少々冷たかったせいでしょうか」
「まだずぶ濡れドレスの名残を引きずってる……」
ルークは朝から疲れた顔だ。
◆ミーナ、王宮で騒ぎを起こす!?
そんな中、ミーナはふと、王宮の広い中庭でなにかを見つけた。
「お花がいっぱいいるのです! しかも、ちょっと見たことないやつです!」
それをきっかけに、猫たちを引き連れ、庭園内の探索が始まった。
一匹が枝に飛びつき、もう一匹が噴水に突っ込む。
「ミーナさま!?」「あっ、待ってください!? 猫たちが噴水に──!」
やがて騒ぎは屋敷の奥へと続き、最終的には禁足区域とされていた古い倉庫へ。
「この鍵……開いてるのです?」
無邪気に扉を開けるミーナ。中には──王宮の一角に潜んでいた密偵たちの隠れ家が。
「な、なんだお前らっ!?」「まずい、見つかったぞ!」
しかし──
「しっぽアターック!!」
「ねこぱぁぁんち!」
「にゃーーーー!!!」
猫たちの本能と暴れっぷりが炸裂し、あっという間に密偵たちは捕らえられた。
◆結果オーライ!
「……なんと。まさか、ミーナちゃんたちが王宮に巣食っていた密偵を一網打尽に……?」
ミリーナ王女が目を見開く。
「これは……我が王国にとっても大きな成果よ。ありがとう、ミーナちゃん」
「えへへ、なにがなんだかわかりませんが、えらいのですっ!」
「……もう、好きにしてくれ……」
そうぼやくルークの横で、セレナはこっそり猫に足を踏まれていた。
「ちょっ、そこ踏まないで!? ……痛っ、……あ、笑いましたわね!?」
──今日もまた、ミーナと猫たちは元気いっぱい。
グランフィード家の騒がしくも心温まる旅は、まだまだ続く。
(つづく)
ちょっと違うお話も書いてみました。
『不運な転生令嬢は、恩返ししたいのに家族が溺愛しすぎて周囲がざわつく!?』
作者マイページ から飛んでいただいて暇なときにでも一読お願いします。