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よく分かんない作品集

異声

作者: 七宝

 借金を苦に首を吊って死んだ家主の霊が出ると噂の廃墟に、友人のかつやと2人で夜中に行った帰りの出来事だった。


「なんにもなかったな。幽霊どころか、嫌な臭いすらしなかったな」


「んだんだ。ありゃ眉唾だべ」


 暗い道を歩きながら、廃墟への不満をこぼしていた。


「なぁまつや、あの場所誰に聞いたんだ?」


「んー、誰だったっペかなぁ〜」


 俺様が記憶の引き出しを右端から順に開け閉めしていると、かつやのスマホが鳴った。


「あ、よしのやからだ」


 そうだ、俺様があの廃墟の話を聞いたのはよしのやからだった。なぜ忘れていたのだろうか。


「もしもし〜? うん、今まつやと帰ってるとこ。えっ! まつやにあそこ教えたのお前なの!? 何も出なかったぞ! 嘘つきめ! 死ねー! 死んで償え! あばよ!」


 そう言ってかつやはスマホをブン投げた。


「怒りすぎワロタ」


「わ゛ら゛い゛こ゛と゛し゛ゃ゛ね゛ぇ゛よ゛」


 電話を切った途端、かつやの声がおかしくなった。絶対にこいつの声とは違う、普通ではないしゃがれた声だった。


「う゛う゛っ゛! な゛ん゛た゛こ゛れ゛!」


 全ての文字に濁点がついているような、不自然な喋り方だった。


「でぇじょうぶか!? どうしたっぺよ!」

 

 心配して駆け寄ると、かつやが苦しみ始めた。


「ゔっ! ぐぐっ! ゔぎゃあ゛〜〜! がぁ〜〜〜!」


 苦しそうなかつやの姿を見て俺様は思い出した。あの廃墟の主人は、首を吊って死んだんだ、と。

 これは霊の仕業に違いない!


 パニックになった俺様は、とにかくかつやの背中を叩いた。


 すると、どデカい痰が出て声が治った。


「いやー助かった助かった。痰が詰まって死ぬ人もいるって聞くからなぁ。今日死ぬのかと思ったよ」


 終電を逃した俺様達は、この近くに住んでいるやまおかやの家に泊めてもらい、翌日帰宅した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここいちも入れてあげてください(*´ω`*)
[一言] 死んだ家主がすきやということでいいでしょうか。カレーは喉につまるからねw
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