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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「人」と「生」きる

作者: うららか

人生ってなに?生きるってなに?死ぬってなに?


ずっと胸の内にある疑問。作業療法士として働き始めてから、もやっとすることが増えた気がする。

最初は、なんだったか。


「仕事、行きたくないな」


ぽつりと、独り言が溢れる。もう目の先に見える仕事場を車のフロントから眺めながらため息を吐く。

目の前の赤信号が青にならなければ。…そんな事はありえないけれど。ぼんやりとしているうちに信号機が青に変わる。仕事場…あまそら病院までの道で信号機はもうない。車の発進とともに気分がさらに沈んでいく。


駐車場に到着し、制服やお弁当の入ったカバンを持つ。

病院の規則では制服は持ち帰り禁止、必ずクリーニングにと決まっているがクリーニングに依頼すれば返却は1週間後、4着しかない制服では間に合わない。同じ制服を数日着続ければいいと分かっているが、衛生的に避けたいところだ。そうなれば、もう自宅の洗濯機に放り込むしかない。


「糸瀬さーん」


降車してすぐ、後ろから声をかけられる。振り向くとやや駆け足で近づいてくる後輩が目に入る。


「おはようございます!糸瀬さん、今日早いですね!」

「おはよう、稲生君。そうねぇ、早く起きちゃって。せっかくなら昨日残しちゃった仕事でもって思って」

「へぇ、でもそっか。最近リハビリ単位多く回らないとできついのに、残業禁止とかなって皆仕事が終わらなくなりましたもんね」

「いつも時間足りないよね。仕方ないんだろうけど」

「ですね〜、そういや昨日いました?」

「昨日?休みよ」


何かあった?と首を傾げる。稲生君は少し目を泳がせている。

ああ、なんとなく察してしまった。


「私の担当の誰かが転倒でもした?」

「…です」

「あらら…なら早めに来て正解ね。単位調整しなきゃ」


会話をしているうちに男女別の更衣室に到着し、また後で、とお互いそれぞれの扉に入っていく。

さぁ、働きますか。

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