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Soul Brave〜魂の勇者〜  作者: GOLTAS
旅立ち編
3/4

発症

3話目です。ここからちゃんと鬱要素書いたつもりだけどできてるかな...

昨日はあまり眠れなかったせいで瞼が重い。今日は成人式なのにこんな顔で行くのは流石にまずいので、洗面所の冷たい水で顔を流す。この村では15歳でギフトを受け取ると同時に成人して、戦士として村に仕えるのだ。誕生日が違っても、皆等しく15歳の霊魂の日に異能が発症する。俺にももう発症しているはずなのだが、体の変化は感じなかった。


「おはよう」

「お、おう」

「どうしたんだ、緊張してるのか?」

「あ、当たり前だろ?どんな異能か楽しみじゃねえか!」


笑った彼の顔には不安がへばりついていた。


「今年の成人はお前ら2人だけで確かだな」

「「はい」」

「では、力を見せたまえ」


村長がそういうと友人は前へ連れ出された。


「では、使ってみせなさい」

「はっ!」


そう言ってからは表情を変えて力を込める。


「む...何も起こらないのか」

「申し訳ありません!今すぐにお見せします!」

「もう下がってよい」

「いや、僕はできます!」


頑なに下がろうとしない彼を見て、数人の戦士が駆け寄る。


「下がれっつってんだろ!」

「僕はできる!」


その時、

戦士の体が宙を舞った。


「っっっ!」ゴッ


戦士は壁に体を強打した。その時起きた一瞬の静寂のうちに、彼と目が合う。彼の目には悲壮が浮かんでいた。



「キャャャャャ!!」

「異端よ!」

「神の反逆者が!」

「殺せ!」

「野蛮なやつだ!」

「異端を許すな!」



彼のギフトは肉体強化系であった。それを見た村人達は皆、口々に好きなことを言う。


「っ.......」


その時、俺は己の弱さを憎んだ。ここで友人としての声も上げられない自分の弱さを。彼の瞳はずっと俺を見ていた。俺は、目を合わせることができなかった。


「村長、どうされますか」

「教会に引き渡しましょう」

「いや、儂の村から異端者が出たのならば儂等の立場も危うくなる。恥を晒す前に殺せ」

「しかし、彼はまだがくs」

「儂の言うことが聞けんのか!こやつは大罪を犯した!儂に恥をかかせるつもりか!もしや貴様も異端か!反旗を翻そうというのか!」

「いえ、申し訳ございません」


俺は、村長によって行われる暴虐を立って見ていることしかできなかった。その時だった。


「許してくれ!」


群衆から一人の声が聞こえた。彼の父親だった。


「俺は妻を亡くしてから、こいつと2人で生きてきた!こいつといつか酒を酌み交わす約束もした!妹もいる!許してくれないか!なんだってするから!」


いい歳した大人が泣き喚く様はひどく滑稽だった。ただ、それだけ切実な思いがそこにはあったのだ。


「なら、貴様が殺せ」

「は?」

「今貴様が殺したなら、今の無礼を許そう。だが、殺さぬならその妹とやらがどうなるかはわかるな?」

「なんで妹がでてくるんだ!」

「そういえば、貴様の妻が死んだのはいつだったかな、確かこの異端の兄も異端だったことが判明した直後ではなかったかな?」

「なっっ...!きさm...」

「もうやめてくれ!」


友人の大きな声が響く。


「父さん、俺が死ねば、妹は助かるんだろ?」

「そんなの、お前が死ぬなら意味がない!」

「俺の命で、妹が助かるんだ...

俺を殺してくれ、せめてかっこいい兄で終わらせてくれ!」

「ほら、貴様の息子もそう言っているぞ?」

「お前は黙ってろ!」

「父さん...」

「.......わかった.....」


彼と彼の父はずっと涙を流していた。彼らの声はぼろぼろだった。


「最後に聞かせてくれ」

「なんだ」

「俺の命じゃダメか?」

「無論。ただ、貴様も異端と申すならこいつもろとも葬ってやろう」

「父さん、いいから...」

「っっっ...」

「いいから早く殺せ」


そこで行われていたのは、処刑ではない。ただの権力者による余興だった。しかし、そこに哀愁の声はなかった。


「やっぱりあそこの親は異端だったんだわ」

「妹もどうせ異端だろ」

「先に俺たちで殺しとくか?w」


そこには、人間へ向けるような感情は感じられなかった。


「うわぁあああぁああぁあああああああああああぁぁぁぁあああ!!!!?!!!!??!!!!!!!!!」


その刹那、彼の父親は奇声をあげ、処刑用の斧で村長に襲いかかった。しかし、すぐに取り押さえられてしまった。


「お前も異端だったのだな、ころせ」

「アギッ」ボトリ


その一言で彼の父親の首が落ちた。光の失った瞳はいつまでも、友人のことを見ていた。


「父さん... 」

「そいつももういい、殺してしまえ」


彼の首に剣が当てられる。そして高く掲げられた剣は光を反射しながら振り下ろされた。その時、彼と目が合った。彼の目は俺の情けない顔を映していた。


俺はその場で立ち尽くし、青白くなった、友人であった肉塊をずっと見ていた。


「貴様の番だ、お前は異端ではないだろうな」

「...」

「力を示せ」

「...」

「聞こえなかったのか!力を示せ!」

「...はい...」

「暇じゃないんだ、手を煩わせるな」


腕に力を込める。何も起きない。村長を呪うつもりで睨んでみる。何も起こらない。戦士に村長を殺すことを頭の中で命じてみる。何も起こらない。俺の異能は発症しなかった


「...はぁ、今年は不作だな。もう下がれ」

「...はっ...」


どうやって家に帰ったのかも覚えていない。両親は友人が異端だったことを慰めてきた。


「可哀想に、よく唆されなかった」

「ギフトなんかなくても、それだけで十分よ」


俺の両親は本心から、俺の友人が異端だったことを慰めたのだろう。ただその時の俺には、この2人が狂っているようにしか見えなかった。その日も眠れなかった。


後日、友人の妹が亡くなったことを聞かされた。事故死ということで処理されたらしい。

なかなか長くなってしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございます。

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