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ヒーローショーの怪人着ぐるみのまま川で溺れる子供を助けずぶ濡れのまま上司に怒られた俺だけどその様子が動画配信されて奇抜な動画で再生数が上がった事で、ヒーローリア充にジョブチェンジしました

作者: ぐうのすけ
掲載日:2021/11/06

「くらえ!バルゴン!ヒーロースラッシュ!」


「ぎゃあああ!」


 俺は怪人の着ぐるみを着ながら音声に合わせて倒される。



 テレビシリーズがとっくに終わったヒーローショー。

 落ち目の遊園地ではこれが限界なのだ。

 プロのヒーローショーは金が無くて呼べず、すべて遊園地の従業員が役をこなす。


 2月の寒い日でまだ良かったのかもしれない。


 夏はマジで地獄だ。

  

 大学2年で年齢イコール彼女無しの鈴木朝日(すずきあさひ)は清掃から怪人役、案内まで何でもやる。


 ショーが終わり休憩室まで歩く。


 遊園地の設計が古い為休憩室まで遠い。


 息苦しいが、休憩室に入るまで着ぐるみは脱がないルールなのだ。


「子供が落ちたの!助けて!」


 女性の声に俺は駆けよる。


 女性の視線を追うと、そこには川で溺れる子供。

 工事中の川のガードをすり抜けて落ちたか!

 昨日は大雨!増水して危ない!


 俺は怪人の着ぐるみのまま飛び込み、無事子供を上に引き上げた。


 子供を助けて俺が川から上がろうとすると、水が入って重い!


 手が滑る。


 あっぶね、俺が死ぬところだった。


 俺はなんとか上に上がってあお向けに寝ながら息を整えた。


 遊園地の上司である毒島(どくしま)が駆け寄り、女性に口封じの封筒を渡す。

 金で無かったことにするムーブか。

 腐敗してるな。


 母と思われる女性は大丈夫ですと言ってすぐ帰っていく。

 封筒よりまずタオルと温かい飲み物とシャワーと着替えだろ?


 その後俺は仰向けのまま毒島に腹を蹴られ、裏に呼ばれる。

「着ぐるみを脱いでから飛び込め!着ぐるみの毛が駄目になってもう使えねーだろーが!」


 俺は上半身だけ着ぐるみを外し、びちゃびちゃのまま震えながら30分程怒られ、着替えが無い状態で服を絞って着て家に帰る。


 2月の風は冷たかった。


 俺は風邪を引いてしばらく大学を休んだ。


 遊園地のバイトは辞めよう。

 毒島に電話するが、また怒られた。

「礼儀がなっていない!」

「根性が無い」

 と同じようなことを繰り返して言われる。


 風邪を引いてなければ直接会って話をしたが、今はしんどい。


 言い訳は聞いてもらえないだろう。


 電話を切ると、俺はため息をついた。


「惨めだ。俺、カッコ悪い」

 バイトで怒られ、風邪を引き、また怒られる、か。


 そこに幼馴染の(さくら)から連絡が来た。


 桜からは一か月に1回必ず連絡が来る。

 今桜は高校3年生だが、しばらく会っていない。

 俺の事を【あさにい】と言って昔から俺について来ていた。

 最近会ってないけど。


『ひさしぶり~』


「ああ、そうだな」


『元気ないね。あさにい何かあった?』


「風邪を引いたから寝てる」


『今すぐそっちに行くね』






 桜が制服姿のまま俺の部屋に来た。


 玄関を開けると、美人になった桜がそこに居た。


「桜、美人になったな」


「えへへ~」そう言ってくるっと一回転する。


 あとちょっとでパンツが見える。


 惜しかった。


「ってそうじゃないよ!風邪ならベッドに行こう」


 俺は速やかにベッドに寝かされ、おでこを撫でる。


 桜、優しくなったな、いや、前からこんなだった。


「食べられる物はある?ヨーグルトとフルーツは買って来たけど」


「湯豆腐にうどんが入ったやつ、食べたい」


「すぐ買ってくるね」





 そう言ってすぐに出ていき、鍋に湯豆腐とうどん、ネギが入れられた物に薬味のショウガが添えられて出て来た。


 俺のわずかな情報から最適解を導き出したか。


 これ絶対旨い奴。


「どうかな?口に合うと良いけど、ふー、ふー。はい、あーん」


「旨い。風邪でも食べられる」


 フーフーして食べさせてもらえるプレイいい!

 良きかな!


「どやあ~~~」

 桜が胸を張った。


 桜の体もいい感じで育ってる。

 でも黙っておこう。


 俺は紳士あさにいなのだ。表面上はね。


「これ走馬灯?幸せすぎる。俺死ぬの?」


「違うよ。日常だよ。私と付き合えば日常だよ」


 桜は周りを見回す。


「全部掃除しちゃっていいかな?」


 そう、俺は掃除が嫌いなのだ。


「助かるけど、よく考えたら桜に移して風邪を引かせてしまう」


「気にしないで」


 桜は掃除だけでなく、洗濯機も回し始めた。




「家事代行を超えたな。桜はいいお嫁さんになれるぞ」


 桜は顔がピンク色になった。


 桜満開、なんてね。


 擦れてなくて、素朴な感じもいいよな。


 癒される。


 桜のおかげでゆっくり休めそうだ。






 その頃、怪人役の朝日が川で溺れた子供を助け、上半身だけ着ぐるみを外してTシャツで震えながら上司に怒られる動画が話題になり、そこからネットニュースになって遊園地の場所はあっさり特定された。


 風邪が治り大学に行くと、教授から連絡が入る。

「遊園地のオーナーがお詫びをしたいそうだよ。夕方以降空いているかな?」


「大丈夫ですよ」





 夕方になると俺は黒塗りの車に乗せられる。


 怖いんですけど?

 その筋の方ではないですよね?


「緊張しなくても大丈夫。謝りに来たんだ。私は不動という者だよ」


 シュッとしたスマートな感じの男性が声をかける。


「高級料亭だと緊張するかな?」


「そうですね」


 料亭なんかに行ったらマナーも分からず、緊張して味なんてわからないだろう。


「では、リーズナブルで個室のある店にしよう」







 メニューが1品2000円か。

 これはリーズナブルなのか?

 絶対高い奴!


 俺は不動さんのリーズナブル発言を疑う。


「本当にすまなかった。お詫びに大学卒業までの学費と生活費を全て保証しよう」


「それは悪いですよ」


 びしょ濡れになったくらいでそんな大金を用意してもらうのは悪い。


「君を理不尽に怒った毒島君には懲戒解雇を受けてもらい、払わなかった分の退職金を君に払うと考えてもらえればいいんだ」


「毒島さんは首になったんですね」


 俺は毒島さんが嫌いだ。

 前からおかしな怒り方をしてくるし人の話を聞かない。


「毒島君は他にも従業員に手を上げたり、セクハラをするなど他の件も浮上していてね。犯罪者として罰することも出来たが、懲戒解雇を受け入れるなら不問にするという事で訴える事はしなかったよ」


「さて、早速だが、大学に近くて良い物件を紹介しよう」


「え?」


「生活費を負担する一環として、君にはもう少し良いマンションに住んでもらうよ。これが資料だ」


 こうして素早く引越しの手続きが決まり、高級賃貸に引っ越す事になった。


 明日の午前中には荷物の移動まで終わるらしい。


「すまないが今日だけはホテルに泊まって欲しいのだ。それでは失礼するよ」


 そう言って不動さんは立ち去り、隣に居た女性が俺をホテルに案内してくれて、次の日には新しい部屋に案内された。





「奇跡が起きている」


 桜から連絡があった。


『風邪はもう大丈夫?』


「桜のおかげで今は元気だ。安い所なら後でご飯をおごるぞ」


『今日のお昼をおごってもらうのは駄目かな?』


「いいぞ、行こうか」


『今から家に行くね』


「最近俺引っ越したんだ」


『見に行ってもいい?』


「いいぞ、飯の前に見に来るか?」


『行く』






 幼馴染が俺の部屋を見て回る。


「広いね。これならわたしも住めるよ~。私ももう少しであさにいと同じ大学だからちょうどいいよ!」


「それだと俺と付き合ってるって思われるぞ、桜ならいい人と付き合える」


「あさにいが私と付き合ってよ」


 桜は真面目な顔で俺を見た。

 冗談じゃないのか。


「お前が良ければ付き合おう。確認するけど冗談じゃないよな?」


「ほ、本気だよ」







 俺は幸せが向こうからやってくるように生活が良くなっていった。


 その頃会社を解雇された上司は運送業で暴力事件を起こして警察沙汰になったようだ。






 家で桜が俺の隣に座って寄りかかって話をする。


 桜は甘えん坊なのだ。


「あさにい、遊園地で子供を助けたんだね」


「バレたか。カッコ悪いとこを見せてしまった」


「そんな事無いよ!かっこいい!」


「小さい頃に犬に追われて泣きながら逃げてた時、庇ってくれたよね?」


「助けようとして、結局俺が噛まれてカッコ悪い所を見せたな」


 俺は噛まれてその後飼い主に助けられたんだった。


「カッコ良かったよ」


 俺の目をじっと見つめた。


「怖いのに震える手で前に出て私を守ってくれたよ。自分より弱い犬を抑えるなら誰だって出来るよ。怖いのに守ってくれたのがカッコ良かったよ。あの時からあさにいは私のヒーローだよ」


 考え方が大人すぎるだろ。


 昔から桜はそうだったな。

 根の性格はどこか大人だ。



 この先俺はたくさん助けられて、感謝で頭が上がらなくなるよな気がする。


 俺は桜の頭を撫でた。


「えへへ~~」


 嬉しそうに笑顔になる。


「桜、俺の事を名前で呼んでくれ。あさにい呼びじゃ付き合ってないように見られる」


「そっか、そうだよね。あさひ、う~ん、違和感があるよ」


「それでも朝日って呼んでくれ。桜を取られたくない」


 大学全部に俺と桜が付き合っている事をアピールするのだ。


 俺は桜をしっかりとホールドして唇を引き寄せた。


 俺と桜の生活は始まったばかりだ





最後までお読み頂きありがとうございます!少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!


今タイトルの決め方を練習中です。


短編を何個も書いてますが難しい。

タイトルが決まっても恋愛系の本文も難しいです

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