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34.霧に覆われた街

 呪いの王が眠る場所は、王都から西へ向かった大陸の果て。

 そこに太陽の光が届かない場所がある。

 一日中真っ暗で、暗闇に支配されたその場所で、呪いの王は復活を遂げようとしていた。


「片道でも馬車で二十日かかる距離です。最短ルートで行きましょう」

「そうですね。なるべく早く決着をつけなくては」


 一台の馬車に、六人全員が乗っている。

 馬を操っているのはグリアナで、隣には団長アレクセイ。

 後ろの座席に俺たち四人がいる。


 呪いの王がいるという場所は、レオナ姫のスキルによって暴かれた。

 と言っても、大まかな地点までしかわからない。

 話を聞いている限り、以前に倒された場所らしいから、あとは俺の持つ記憶を辿るしかなさそうだ。

 残された時間はあまりない。

 呪いの王が完全復活すれば、すでに受けている呪いも強化される。

 そうなったら、レオナ姫の命が予想より早く尽きてしまう。

 聖女の力で肉体を強化し、進行を抑制しているとはいえ……もって四週間くらいか。


「時間との勝負だな」


 馬車は進み、王都から一番近い大きな街へたどり着く。


「霧でしょうか?」

「そうみたいだが……変だな。この街には何度も訪れているが、霧がかかっていることなど初めてだぞ」


 グリアナとアレクセイの会話が聞こえてきた。

 俺は馬車の窓から街を見る。

 すると、街全体を濃い霧が覆い隠していた。

 完全に隠されていて、入り口らしい門がチラッと見える程度。

 中の様子は外からではわからない。


「迂回していきますか?」

「……そうだな。日没までには時間もあるし、次の街に向ったほうが――」

「待ってください」


 ルートを変更しようと考えている二人に、俺は進言する。


「異変が起こっているのなら、何があったのかは確認すべきです」

「しかしユーストス殿、我々は先を急がねば」

「そうですが、放置も出来ませんよ。もしもこれが、呪いの王と関係しているなら」

「本当ですか!?」

「あくまで可能性ですよ。ただの自然現象だと分かれば問題ないですし」


 時間が限られているとは言え、呪いの王と関係がありそうな異常は放っておけない。

 呪いの王の力は、人の恐怖や悪感情によって強化される。

 だから奴は、そういう場面や状況を作り出そうとする。

 無関係ならそれでいい。

 逆にもし、呪いの王と関係してるのなら、放置すると後々大変なことになる。


「念のために馬車へ結界を、個人に加護を付与します」


 聖女の力を行使し、魔よけの加護を発動させる。

 あの霧に身体を害する効果があった場合、聖女の力で守ることが出来るように。

 そうして、俺たちを乗せた馬車は街へと入る。

 入り口には兵士が立っている。


「おかしい……なぜ門番がいない?」


 はずだった。

 アレクセイが気付き眉をひそめる。

 入り口を警備しているはずの兵士がいない。

 本来なら、街へ入る者を見定めるため、積み荷や身分の確認をしている。


「誰もいないね」

「ああ」


 俺とアリアも窓から確認してみた。

 門はすでに半分開いた状態で放置されている。

 この時点で、俺たちは最悪の予想を連想し、ごくりと息をのむ。


 馬車は門を潜り、中へと進んでいく。

 倒れた看板には、この街の名前『クーレリア』と書かれている。

 グリアナの話では、ここは王都の次に栄えている街らしい。

 だが、目の前に広がっている光景は、とてもそうとは思えないものだった。


「誰もいませんよ?」

「お店もやってないね」


 ティアとマナが反対側の窓から外を眺めてそう言った。

 俺とアリアも確認したが、街の通りには人が誰も歩いていない。

 お店らしき建物もチラホラみえるのに、営業している様子はない。

 まるでゴーストタウンだ。


「一体何が起こっているというのだ……?」

「あれは! 誰かいるぞ」

 

 運転席の二人が前方に男性を見つけた。

 馬車を停め、急いで駆け寄る。

 俺たちも馬車から降りて、二人に続いた。


「そこの方、何があったのか事情を説明して頂けるか?」


 アレクセイが声をかけた。

 しかし、返事はなく立ち尽くしている。

 首を傾げたアレクセイは、男性の肩を叩こうと手を伸ばす。


「団長!」

  

 その瞬間、男性は振り向いた。

 同時にアレクセイに襲い掛かろうとして、グリアナが蹴り飛ばして止める。


「グゥ……ウオ……」

「な、何だこれは……」


 倒れた男性は起き上がる。

 およそ人の動きではなく、それは一言で表すならば生きた死体。

 屍のようになった男性が、よだれをたらし、白目を向いて立ち上がる。


「二人とも下がってください!」


 それを見て、俺は確信した。

 俺の中にある記憶に、同じ状態の人間を見ている。


「それはもう人ではありません!」


 間違いない。

 この街には、呪いの王の眷属がいる。

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