英雄集結 後編
僕陽にて合流した劉備、曹操、孫堅、公孫サンは一気にエン州に侵攻したが、
敵の姿はなかった
「曹操殿、これは一体どういう事なのでしょうか。」
「うむ、おれも気になっていたのだが分かるか?」
劉備と孫堅は曹操に質問した。
今の布陣は被害の最も少ない公孫サンを先頭に孫堅、曹操、劉備というように並んでいた。
「おそらくはあやつが大方終らせたのだろう、誰かはすぐに分かる。
それより周囲を警戒しておけ、もしかしたら残っているやも知れんからな。」
それだけ言うと曹操は馬の足を速めた。
劉備と孫堅はいまいち分からないまま自分の部隊へと戻っていた。
劉備が戻ってくると寥化が近づいてきて小さな声で話しかけてきた
「劉備様、大変です。張飛殿と周倉が。」
溜息をついた劉備は寥化と共に二人のもとへ向かった。
着いてみると馬上で二人が睨み合っている、これは僕陽攻略時からで周倉が
関羽に手柄を立てさせようと教えた将を、隣で聞いていた張飛が討ち取ってしまったため、
周倉は怒ったが自分が力で勝てないことを知っているので言葉で倒そうとしたが、
これはどっちもどっちで決着が付かず、睨み合っているのだ。
劉備が二人を説得して、次の戦で一人だけ関羽に将を譲るという条件で和解するのには
もう少し時間が掛かった。
孫堅の部隊ではすでにこれからの戦闘について話し合いが行われていた。
「ここまで来て敵が襲ってこない所を見るとやはり若君達が予定より早く来たのでは?」
と孫堅軍の中で最も年上で力もある黄蓋が意見を出すが、隣の韓当が首を振った、
「ありえん、確かに若君は飛び出したがる癖があるが今回は殿からもしっかりと言い聞かせて
おりましたし、周喩も付いておりますから。」
その言葉に前を歩く程譜が反応した
「周喩が若の行動を止めるどころか自分の計略を試すため一緒に突撃して行った事があるが、
さすがに今回はせぬとわれも思うが。」
韓当の意見を支持する言葉に黄蓋はまた思案するように目を閉じた。
そこへ孫堅がやってきて韓当から議論の内容を聞くと手を顎に当てて
「ふむ、曹操殿は何かを知っているようだったが、教えてはくれなかったな。」
うーんと、四人が考えていると物見が帰って来たとの報告が来た。
「殿、5里の間に敵兵の姿は見えません、ですが戦闘の後のようなものは多数ありました。」
そう報告したのは朱治である、他の三人と比べて腕力は劣るものの智謀に長けている。
さらにもう一人が飛び込んできた、
「分かりましたぞ殿!エン州一帯の賊を退けたのは袁紹で今は陳瑠にいるそうです。」
全員の疑問が解けた、
(なるほど、袁紹か。たしかにやつの力ならこれ位は出来るかも知れない)
そう納得した孫堅が前を見据えると、遠くに目指す陳瑠が見えた。
陳瑠に付くとそこでは袁紹が待っていた
「皆よく来たな、すでにここいらの賊は全てこの袁紹の前に平伏した!
これで存分に洛陽へと軍を進められるぞ。感謝するがいい。」
高笑いする袁紹だが公孫サンは自分の白馬陣の調整でおらず、
曹操は欠伸をしてそうかそれは手間が省けたと如何でも良さそうに言い、
孫堅は終ったのかと一言言うと壁に寄りかかって鼾を掻き始めめ、
劉備は終ると軽く会釈をして、自分の部隊のもとへ走っていった。
・・・・・袁紹は少しの間その場で立ち尽くしていた・・・・・・