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英雄集結 中編

劉備たちが戦闘を開始した頃、僕陽に向けて攻め寄せる軍があった。

曹の旗を掲げ城壁を登る将兵に指示を与えるその姿は紛れも無く曹孟徳だった。

「進め!敵の主力はすでに居らず残るは雑兵ばかり、一気に攻め落とすのだ。」

たいした統率の執れていない黄巾賊だが、見張りを怠るほど戦を知らなくは無い。

ではなぜ曹操の軍が迫ってくるのに気付けずに主力を出陣させたのか、

実は二日ほど前に僕陽に到着した曹操だったが城の守りが堅いのを見て

近くの森で身を隠していた。

そして、友軍としてやって来る義勇軍と公孫サンに主力の相手をさせ、自分達はその隙に

攻め寄せるという策を講じ、今まで力を温存していたのだ。

曹操は城攻めが順調に進むのを見て笑顔を漏らすと隣の男に話しかけた

「見事に決まったなおぬしの策。さすがは筍イクじゃな。」

それほどでもと、謙遜するように筍イクは言った。

彼は元々洛陽の付近の村に住んでいたが、洛陽に董卓らが攻め寄せてきたとの話を聞くと

素早く一族と共に村を抜け出し逃れた。

その後曹操と出会い軍師として使えた、この策も彼が考えた策であった。


おおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーー


一際大きな歓声が上がった、二人が見上げると城壁の上に曹の旗が立てられていた。

それを見た曹操は再び筍イクを帰り見て

「さて、城外の賊はどうする?すでに城が落ちそうなのは奴等も分かっておるだろうな。

 義勇軍はかなりの戦功を挙げておるようだがさすがにあれだけの数はどうしようも

 あるまい。」

僅かに考え込むような仕草をした後

「では、待機している李典殿の部隊を懐柔した賊たちを先方にその義勇軍と挟撃させる

 というのはいかがで・・・・」

筍イクはそこまで言ったところで驚きの表情で曹操の後ろを凝視していた。

気になった曹操が振り向くと、そこには

 

完全に戦意を失いただ逃げ惑うばかりの賊軍と勢いのまま追撃している義勇軍の姿があった。


「おらおらおらー、道を空けろ!こいつの様になりたくなかったらなー!」

そう叫びながら張飛は一合で討ち取った波才の首を蛇矛に下げたまま次々と賊軍を

血に染めていった。

その後ろから青龍エン月刀を振るう関羽と槍を振るう周倉が張飛の攻撃を回避した者を

残さず討ち取っていき、さらに後ろから寥化と投降した劉壁が大刀で戦意を見せる賊を

雌雄対の剣で切りまくる劉備を護衛しながら突き進んだ。


程なくして僕陽は曹操・劉備両軍の前に陥落した。




ー僕陽・船乗り場ー

荒い息使いの男は地面に座り込み声には出さずに悪態をついていた。

(畜生、なんであんなとこに曹操がいるんだよ、んな報告受けてねえぞたくっ。

 義勇軍だって全然つえーしよ、波才は討たれる劉壁は裏切るし、ロクな事ねえぜ。)

そこに一人の兵士が寄ってきて、船の用意が出来たと告げた。

男はニヤリと笑うと立ち上がって二十人ほどの部下と共に船に乗り込んだ。

出航する船の上で男はまた座り込むとまた声にださぬ悪態をついた

(あーあ洛陽が落ちたから官軍の力が落ちてるって聞いたのに僕陽落とすのに時間がかかるは

 俺のやり方に反対する奴もいる、やんなっちまうな。)

そこで一旦思考止めた男は立ち上がると離れていく僕陽を見つめながら

(まあいい、今はそうやって勝利に浸るがいい。どうせ洛陽へは行けんのだ、てこずっている

 所を徐州で同士を集めたこの孫仲様が背後を突いてやるぜ)

声を上げて笑おうとしたが声が出なかった、後ろを見ると自分に付き従っていた兵が全員

矢を受けて血泥みになっていた。

僅かに視線を落とすと喉に矢が刺さっているのが見えた、同時にこっちの船に

誰かが飛び移ってきたのも。

(ば・・・・ばかな・・・・・この俺が・・・孫仲様がこんな所で・・・死ぬわけが・・・

 なぜ・・ばれた・・・・俺しか知らない筈の・・・・・船が・・・・)

刀を抜きながら考えていたが、それも止められた。

船から放たれた矢に全身を射られ最後にその男に両断されたためだ。

激しく血を噴出しながら倒れると即死しなかった生命と僅かに残った思考とぼやける視界に

映ったものを見て最後に思ったのは”お前もお前の一族も呪ってやる”だった。


彼の間違いはその船は待ち伏せていたのではなく僕陽に向かっていたこと、

そして徐州はすでに官軍に制圧されていること、

それから、逃げずにその男孫堅に戦いを挑んだことである。

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