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飛将対奸雄

〜エン州 陳瑠〜

曹操は机で書類に目を通して偶に来る配下の者に指示をしながら湧き上がる喜びを抑えていた

十数日前、エン州牧劉岱が賊軍に襲われて討ち死にした。

その後継として曹操が選ばれたのだ。

つまりは、今曹操はエン州の刺史から牧へと就任したのだ。

これにより戦力を大幅に増強させ、多くの賢人・猛将を集め

さらには内政にも力を入れて以前よりも圧倒的に良くなっていた。

(これだけの力があれば天下も取れるのでは?王朝は形だけ残っているがそれは

 何進の名前とその配下の活躍が外側を固めているからだ。

 内側は空洞のよう・・・いや空洞のほうがまだましであろう。)


「取れませぬよ、現状では。」

そんな考えに耽っていた曹操は突然の言葉で現実に戻された。

「・・・程イクかなぜ取れぬと?」

一枚の紙を持ちながら扉の前に立っていたガッチリとした体格の男、程イクに問いかけた。

「いまだ王朝に忠誠心を持っている者は少なからず居ります。

 殿は袁紹と孫堅と劉備に3方から攻められて対処出来ますかな?」

曹操は唸った。

確かに黄州の袁紹と女南の劉備、長沙の孫堅に攻められたらかなり厳しいかもしれない、

そう思ったのだ。


「して、何用だ?」

「呂布が徐州、青洲を制圧しさらに4万の軍勢でこの陳瑠を目指して進軍中です。」

曹操は立ち上がると

「急ぎ戦の仕度をしろ兵は6万だ、将はホウ信らを連れて行く。」

程イクは一礼して退出し、曹操も遅れて出た。





曹操は小高い丘のふもとに布陣し、呂布は正対するように布陣した。

「呂布は明日丘の上から逆落としを仕掛けて来ようそこで策を使う、旬ユウ。」

曹操の隣にいた少年は喋りだした。

「丘のふもとの近くに落とし穴を掘ってあります。

 そこで敵を足止めしてさらに弓で狙い撃ちます、最後に混乱した所に

 突撃をかければ勝利するのは難しくは無いでしょう。

 さらに何人かは埋伏し敗走する呂布軍の背後を突いてください。」

曹操軍の誰もが策の成功を疑わなかった。






深夜、丘の上に月に照らされた軍勢があった先頭の男は馬に跨り檄を持っていた。

その隣の男が右手を振り上げると大量の石が坂を転がっていった。

石は次々と穴に落ち埋めていった。

そして完全に落とし穴が無力化すると雄叫びと共に坂を駆け下りていった。


石の転がる音に驚き曹操らが飛び出し状況を知るまでの間に呂布は、

その騎馬隊は曹操の陣を急襲していた。


「進めー!敵は浮き足立ち我らの敵ではない!全てを薙ぎ倒すのだ!」

うおおおおおおおおおおーーーー

呂布の言葉に全軍が雄叫びを上げ勢い付く曹操軍も果敢に抵抗するが、

次々に討たれて行った。

「殿!お逃げください、ここは私達が。」

李典と楽進は曹操を典イに頼むと呂布軍を食い止めるため奮戦した。


迫り来る呂布軍を必死に防ぐ李典と楽進は殺気を感じその方を向いた瞬間、

檄を構える呂布の姿を見た。


馬で戦場から脱出を図る曹操が振り向くと


呂布の一撃で李典と楽進は宙に浮き、血を撒き散らしながら地面に叩きつけられ

動かなくなった。


曹操の姿を捉えた呂布は檄を回転させ投げた。

高速で回転する檄に敗走中の曹操軍の兵士は体を両断され血に染まりながら死んでいった。


曹操に当たる寸前で典イが槍で叩き落すと呂布は今度は槍を一直線に投げつけてきた。


これも、大勢の兵士を貫きながら曹操へと迫った。


そして槍は止まった。


旬ユウの体を貫いて・・・・・















混乱する曹操軍の中でホウ信は必死に防戦していた。

しかし、一人二人と味方がやられていく中で限界を感じたホウ信は離脱しようと

馬を走らせたが、後ろから刀と槍で貫かれ地面に落ちた。

ホウ信を刺した魏続と候成は止めは刺さずに再び逃げ惑う兵士を追い始めた。


ホウ信は傷を抑えながら馬に乗った、

そこでホウ信の首は地に落ちた。

ホウ信の首を討ち取った宋憲は首を拾い上げた。

「無様だなホウ信。かつては名将と言われたキサマも落ちたものだ。

 あの世で見ているがいい、呂布様が曹操を倒しその首級を挙げるのを。」

ホウ信の首に吐き捨てた宋憲も候成らの後を追って馬を走らせた。



この戦で曹操は3万の兵とホウ信らを失うことになった。

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