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虎牢関決戦 5

関羽と張飛は己の武器を戟に当て素早く後退するが、劉備はそれが遅れた。

呂布は渾身の力で振りぬく。


二人は義兄の死を予感した。


だが劉備は剣を戟に打ち下ろし避けると首目掛けて突き出した。

呂布はそれをすんでかわすと、張遼の投げた方天画戟を掴み目の前の敵を消そうと、

すでに劉備が射程から外れてるのを知りながら振った。


三人の体に裂傷がはしる。


劉備は動揺したがすぐさまその正体を知った、

音速を超える速さで出される戟から発生した風の刃が自分達の体を切り裂いたことに。


「うおおおおおおおおおお!」

関羽が再び呂布に飛び掛る、先ほどよりさらに速い一撃を放ち続ける。

さらに張飛と劉備もそれに続く。

四人はさらに激しく打ち合い続けたが、劉備らはしだいに劣勢になっていった。

このままでは討たれる、そんな考えがよぎった瞬間、呂布の動きが止まった。


三人の攻撃を受け止めながら呂布は笑った。


あーーーーーひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。ひゃーーーーひゃひゃひゃひゃ。

ひゃは、ひゃはははははははははははははは。


気味の悪い笑い声に動きを止める三人を尻目に呂布は背を向けると赤兎馬に乗った。

「面白かったぜ、おまえらとの勝負。このまま終らせるのは勿体ねえ。

 だから次に会うときはもっと強くなってろよ。さもなけりゃ、死ぬぜ。」

それだけ言い残し呂布は来た時の様に張遼と高順を左右につけ去っていった。


座り込む張飛と膝をつく関羽を無視して劉備はふらふらと陣に戻って行き自分の寝床に

つくと倒れるように眠りについた。





ー翌日ー


長安に向けて出陣しようとする連合のもとに南から袁術の軍が来ているとの報告が来た。

戦力の増強のため合流ようと待っていると程なくして袁の旗を掲げた軍がやってきて、

先頭にいた男が醜い笑顔を振りまきながら諸侯に近づいた。

「やあ、ごくろうごくろう。この袁公路の到着を良くぞ待っていた。ぐひゃひゃひゃ。」

袁術の態度に袁紹は怒りを顕にして怒鳴った。

「公路!キサマ戦いに参加しなかったくせに何を偉そうに!そもそも待っていたのは

 キサマではなくキサマの兵のみだ!とっとと指揮権を私に寄越し南陽に帰るがいい!

 この袁家の面汚しめが!」

袁紹の言葉を聞いても袁術は顔色一つ変えずに、先ほどよりも気味の悪い笑い声を上げた。

「ぐひゃひゃひゃひゃ、ぎゃは、ぎゃーはっはっはっはっ。

 お前は誰に物を言ってるのだ?我こそは反董卓連合新盟主袁公路なるぞ。

 ほれ、きちんと大将軍様の許しも頂いておる。我に逆らうのは朝敵ぞ。

 ぐひゃひゃひゃひゃ。」

劉備はその証書が本物か怪しんだが、袁紹の顔がみるみる青くなっていき最後に崩れ落ち

左右から顔良と文醜に支えてもらっている様子で本物だと分かった。

袁紹はもともと大将軍何進の部下で、何進が大将軍になった時に南皮の刺氏としての地位を

与えらたのだった。

その袁紹が何進の書状を見極めれない訳はないのだ。

「な・・・なぜだ・・・・なぜ公路などが・・・・・・」

唖然とする袁紹に袁術は楽しそうに話す

今までずっと許昌で献帝と何進の護衛を勤めていたこと

攻めてきた董卓軍と黄巾賊を何度も退けたこと

それらの功から連合の盟主になるよう言われたことを。

話し終えるとすぐさま出陣するように命令を出し、長安へと進軍した。


ドウ関前に到着すると袁術は軍議を開いた。

「袁紹、曹操の二人は正面からドウ関を攻めよ。

 孫堅は水軍でイ水を渡りドウ関の背後を突くのだ。

 劉備はあの山を越え孫堅と共に背後に回れ。 以上だ。

 なお、反論は許さん。

 それと、すでに何進様は我らの援護のために来てくださっている。

 もし退けば何進様の軍に逆賊として討たれるであろうな。」

その言葉で何かを叫ぼうとした袁紹と劉備の口を塞ぎ、曹操の敵意の篭った視線も止めさせ、

変わりに醜い笑みをさらに深くした。


「猛徳。」

早足で陣に戻ってきた曹操を夏候惇が呼び止めた。

「やつは何を考えている。なぜこのような策を・・・いや、策とも呼べんか。」

曹操は鼻で笑った後振りむかずに

「奴の策よ。力のある我等と袁紹の力を削ぎ、劉備に危険な悪路を行かせ手柄を立てさせず、

 自分に恩があり逆らえない孫堅のみに手柄を立てさせ、さらにその手柄も自分の物に

 しようとしとるのだ。」

曹操はそこで言葉を区切り、悪意のある笑いを見せると

「だが、その策はすでに見破っておる。おそらく劉備もな。

 その手前を見せてもらおうか。劉備。」

その視線はドウ関を囲む山の一つに向けられていた。


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