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虎牢関決戦 3

劉備軍が苦戦を強いられている頃、曹操軍はその精鋭と将の活躍により勝利は目前であった。

先方の夏候惇は恐怖しない兵を大剣で容易く葬りながら前進していた。

「なんだなんだ?この程度かよ。つまらねーな、どうした!もっとこいや!」

その雄叫びに兵たちの動きが止まる、夏候惇はその一団を切り捨てようと構えたところで

その”影”に気付いた。

見上げるとそこには一体の人馬がいた。

夏候惇は反射的に大剣を振り上げ身を守る動作をした、同時に周囲の兵も同じ動作をする。

猛者である夏候惇は相手の攻撃を上回る攻撃で身を守る、そんな夏候惇が防御の構えを

したのを見て兵士達もその影が危険だと知った、この動きが直ぐに出来たのも訓練の

賜物だといえる。

その影の持ち主は味方であろう兵を数人踏み潰して降りてきた、同時に夏候惇の体に強い

衝撃が入る。

それは夏候惇の持つ大剣から伝わってきたものだと気付くのに少し掛かった。

それほどの速さの一撃だったといえる。

「へっ、面白そうな奴が出てきたな。」

そう言って武器を構えて一歩踏み出した時、滑りを感じて下を見て気付いた。

自分の周囲にいた兵士の大半が持っていた武器ごと頭や首を砕かれて死んでいたのだ。

夏候惇は改めて目の前の敵を見つめ直す、その武器には僅かに血が付いていた、

量から考えてこれほどの兵を殺した量とは思えないが、自分が見えないほどの速度の攻撃なら

すぐに振り払うの容易かもしれない。

さまざまな思案を続ける夏候惇にその影の持ち主は言った

「テメーやるじゃねえかよ、この俺の一撃を止めるなんてよ。久々だなこんな奴と殺りあえる のは、楽しませてくれよ。」

その言葉に思案を止めた夏候惇は油断無く聞いた。

「俺は曹操軍の将夏候惇、字は元譲。貴様の名は?」

にやりと笑う男は楽しそうに口を開いた

「俺か?俺は呂布だ、呂奉先。こいつは俺の愛馬赤兎だ。」

呂布、その名を聞いて夏候惇は曹操から聞いた話を思い出した。


(何でもそ奴はたった一人で数万の軍勢を全滅させながらも傷一つ負わなかったらしい。

 逃げようにもそ奴の赤兎馬は並の馬では無い、直ぐに追いつかれて討たれる。

 できれば戦いたくは無いな。

 む、そ奴の名か?それはな惇、呂布だ。呂奉先。)


たった一人で数万の軍勢を倒した男、そいつが今目の前にいる。

夏候惇は付近の兵に離れるように言い、さらに曹操に伝えるように言うと大剣を振り上げ、

最強に挑んだ。



孫堅は前線から少し離れた所で戦場を見ていた、真っ先に戦場に行きそうな彼が後退してる

理由は目の前に合った。

数人の兵の首が飛ぶ。

現在孫堅軍に突撃をしてきているのは華雄という猛将で剣を激しく振り回し、

すでに程譜と韓当が挑んで敗れている。

そんな将を如何止めるか、それが孫堅を悩ませていた。

そんな孫堅を華雄はすでに捉えていた。

真っ直ぐ孫堅に向かおうとする華雄の前に一人の将が立塞がった。

「我が名は祖茂!華雄よ、殿を狙っているようだがそうはさせん。」

華雄は心の中で笑っていた。

さっきの二人は逃げられたがこいつを殺して憂さ晴らしをしようと考えた。

二人は数十合に亘り打ち合ったが、まともに戦っては祖茂に勝ち目は無く討たれるのも

時間の問題だった。

事実、祖茂の動きが段々と鈍ってくるのを華雄は見逃さなかった。

華雄は一気に決めようと剣を祖茂の心臓目掛けて突き出した。

祖茂の体から血が流れ出し、ふらつかせた。

その状態から繰り出された刃を華雄は片手で防げると思い、だした。

華雄の腕に剣が突き刺さった。

驚く華雄に祖茂は兵士から渡された槍を突き出す、その槍は華雄の乗馬と本人を貫いた。

血を吐く華雄、剣を引き抜こうとするが祖茂はしっかりと柄を握っていた。

その背から刃が突き出た、抜けないと思った華雄が逆に剣を押して刺し貫いたのであった、

さらに力が弱まったのを感じ、振り上げる、祖茂の片方の肺と腕を切り裂いた。

二本の腕が地面に落ちる、華雄は信じられないという顔つきで落ちた剣の刺さっていない

腕を凝視した。

祖茂の最後の抵抗は華雄の自尊心を大いに傷つけた。

祖茂が馬から落ちたのにも気付かず、ただ呆然と落ちた腕を見ていた。

馬の足音に気付き顔を上げた華雄が見たのは、怒りとも取れる表情をした孫堅の姿だった。


華雄の首を落とした孫堅は殲滅を命ずると、自分は祖茂の遺体の所まで戻った。

「祖茂、お前のおかげで我らの勝利は近そうだ・・・・。お前の見たかった天下、

 争いの無い天下を、私が、我らが築いてみせる。約束だ。」

それだけ言うと、孫堅は配下に遺体を安置して、戦が終わり次第長沙に運ぶように命令して

自分も戦場に戻ろうとした所で報告を受けた。

「伝令!曹操軍から猛将を一人貸して欲しいと言われ孫策様が応じて周喩様と共に!」

孫堅は苦笑いして、周喩がいるから大丈夫だろうと言い戦場へと駆けた。


虎牢関前で呂布と曹操軍の戦いは続いていた。

夏候惇だけでなく夏候淵、曹仁、李典の四人で挑んでいたが、それでも呂布に敵わなかった。

夏候惇と曹仁の必殺の一撃をあっさりとかわし、夏候淵の弓を打ち落とし、李典の死角を

付いた素早い連続攻撃も防いで見せた。

それどころか一瞬の隙を突いて放たれる一撃は李典よりも速く、曹仁より重い一撃で、

並の将では反応もできず、運良く受け止めたりしても腕の骨は砕かれ二度と戦は出来なくなる

ような一撃だった。

四人がすでに満身創痍に近いのに対し呂布は疲れている素振りも見せない。

「ひゃーひゃひゃひゃひゃひゃ!楽しませてくれるねー、今までで一番面白い戦だ。」

夏候惇は正面から素早く打ち込むが呂布はそれを受け止める。

そこへ大刀に持ち替えた夏候淵と李典が左右、そして大斧を振り上げた曹仁が後ろから

それぞれ攻撃を加えようとした。

”勝った”

四人がそう思った時三つの影が割り込んだ。

夏候淵の大刀を槍でで受け止める黒い鎧を着た男。

曹仁の大斧をエン月刀で受ける青い鎧を着た男。

そして李典の剣を同じ剣で受け止める黒い鎧を着た女。

驚く四人は弾き飛ばされ、追撃に対応出来なかった。

一瞬にして勝利が死に変わったのを知った四人が目の前の死に抗おうとした時、

再びその間に入り来む影があった。

「我が名は関羽!主劉玄徳の命により助太刀に参った!」

呂布の方天画戟を防ぎながら関羽は叫んだ。

「俺は張飛!同じく義兄劉備の命により推参したぜ!」

エン月刀を受け止めさらに押し返しながら張飛が叫ぶ。

「孫堅が息子孫策!要請に応じて来たぜ!」

剛槍を弾きながら叫ぶ孫策。

「この周喩!曹操殿の援軍要請に応じ参戦させてもらう!」

剣を細身の刃で受けながら叫んだ周喩。

素早く立て直した夏候惇達はそれぞれ目の前の敵を押し返し、再び相対した。

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