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我慢の女神

私は、スフィア

作者: 櫻塚森

書いてみたかったスフィアの独白。本編と食い違いがありませんように。色々、痛い人でした。

見直してないので、誤字脱字ウェルカム。

本編読むともっと分かりやすいけど、長いから、読む気は失せるかもしれません。

私はスフィア。

この国の王妃だ。

しがない役人の父は伯爵位を持っているけど、領地なんかない。堅実に仕事をして、上司からの信頼も篤いらしい、後継ぎの兄も縁故採用か同じ役所に勤めていた。兄は頭が良く、父と同じ役人として就職したが、私の結婚を機に官吏と言う更に上の職業についた。噂では父の勤勉さも評価が良いらしく近々、部署は違うが官吏になれるらしい。


でも、私は知っている。

兄が官吏になれたのも父が男爵位から伯爵位になれたのも私のお陰である。

私がライオネスと出会い、恋をして王妃になれたから、彼らの生活が成り立っているのだ。

私は、愛と美の女神様の加護を受けた、人に愛されるために生まれた特別な存在だ。たぐいまれなる美貌(と、言っても愛らしい方)を持つ私は、人族である母のせいで魔力保有量が少なかった。せめて、魔族である父の血統が強ければ学園で劣等感に苛まれることはなかったのに。この国にいる上位貴族の方々は魔力がとても強い。魔力保有量は時に子を成す能力に影響を与えるらしく、父が母を見初めたのはきっと魔力が弱いことで子が容易に成せるからだろうと思う。だって、父は一人っ子だから。母は、希望通り兄や姉を含めて5人の子宝に恵まれた。兄も姉、弟2人も父に似て魔力保有量が多かった。兄弟の中で私が一番魔力保有量が少なく、学園に入った時も爵位持ちの子沢山だとバカにされていた。上位貴族のラーゼフォン公爵家やグランハイム侯爵家も子沢山なのに、あちらはバカにされているのを聞いたことない。二学年上にいたグランハイム侯爵家のご令嬢は、頭も見た目も良いらしく、卒業と共に国王の第二王妃になることが決まっている。よぼよぼのおじいちゃんに嫁ぐなんてお気の毒さま!って思っていた。彼女は絶対ヤな女だろうと思っていた。私みたいに取り巻きも多かったみたいだけど、それは彼女が侯爵令嬢で陛下に嫁ぐのが理由だろう。何かと便利をはかってくれそうだもんね!私の回りにいる人達は違う。本当に私のことを愛してくれているのだ。私には愛と美の女神様の加護がある。

優しく微笑めば皆が助けてくれたし、愛してくれた。特にダグラム伯爵家のミハエルは、私に夢中だった。麗しい男達。婚約者の令嬢達は煩わしい存在だったけど、もっと大物を捕まえてやるって決めていた。

私が社交界デビューの出来る16歳になった時、父と兄に無理をいって上位貴族のデビュタントに出席出来たのは、ほんとラッキーだった。だって、ライオネスに会えたんだもの!

国王陛下があんなに若くて、カッコいいとは知らなかったの。あのいけずな侯爵令嬢はずるいと思った。意地悪な令嬢達から助けてくれたライオネス。ああ、この人に愛されたい!そう思ったら、女神様が叶えてくれた。やっぱり私は選ばれたのよ!神の祝福に!

ライオネスは、それはもう優しくて、私を離さなかった。コレなら直ぐに子供が出来て国母になれる!

正妃にだってなれて、あの侯爵令嬢も、今現在正妃と名乗っている勘違い女も私にかしずくのよ!そう、ボトムズ公爵家から嫁いだアルビナって女が今は正妃とされているけど、あの女には子供がいない。嫁いで、5、6年になるって聞いたけど愛が足りないから身ごもらないのよ!そして、あの高慢ちきなエマージェン妃にも子供はいない!チャンスよ!チャンスだわ!

なのに、何で?

何で、あの侯爵令嬢の方が先に子供を作れたの?ライオネスが愛しているのは、私だけでしょ!手を上げた先にいたのは、私のために存在していた侍女、私が好きにしていい道具を壊そうとして何が悪いのよ!!

侍女長も駆けつけてきた侍従長も生意気すぎる!

侍女長を殴ろう!そう思ったら体が動かなかった。

初めて近くでみるアルビナ……。凛とした姿がカッコいい!こんな人となら、お友達になってもいいわ!絶対私とライオネスの邪魔はしないもの…。なのに、何故、お願いが届かないの?アルビナは、何を言ってるの?


目を覚ますとライオネスがいた。頭を撫でてくれて、そこが初めてみる部屋だと気付いた。ライオネスは、私を自分の宮に連れてきてくれた。

そうか、私の部屋はあのバカな娘の血で汚れているものね。ありがとうライオネス。やっぱり、あなたは私だけのものよ。


近頃、ライオネスが新しく清掃された私の宮に来てくれない。この前来たのは、デイビスの婚約を決めた時。号外も鳴らして、お祝いムードになるはずなのに、宰相さんが襲われた大事件が起きてライオネスはその処理に追われているらしい。

宰相さんよりも、大切なのは私でしょ!って伝言を伝えてきたテセウスの顔が歪む。

何故、そんな目で見るの?

私のデイビスより先に生まれたライモンが許せなくて愛と美の女神様に祈ったら毒を盛られたって聞いた。やっぱり、女神様は私のことを愛してくれているんだと思った。

私の将来の安定のためにラーゼフォン公爵家の娘をデイビスのお嫁さんにしたい!って願えばライオネスは叶えてくれた。ダグラム伯爵が婚約を確かにするためには号外が必要だって言ったらミハエルが叶えてくれた。城の警護が薄くなり、城内は混乱するから、その隙に号外を上げてくれるって、本当にミハエルはいい人だわ。私の願いをな~んでも叶えてくれるんだもん。まぁ、その結果、死んでしまったってきいたけど、私のために死ねたなら、本望よね!だって、私は、愛と美の女神の加護を受けたこの国の王妃なんだもの!!


重い病気が分かって離宮に引っ越した私は、ラーゼフォン公爵様から今までのことを聞かれて話したの。この人もとっても素敵。なのに、ちっとも靡かない。なんで?

この離宮は、とても暇だけど綺麗なドレスや宝石が毎日ライオネスから届くし、王妃の煩わしい仕事なんかしなくていいから素敵なの。

でも、ライオネスは、週に一度しか来てくれない。以前のような潤んだ瞳で見てくれないの。

そう言ったらフィンネルは大きなため息を吐いたわ。そんな表情も素敵。ねぇ、もっとお話しましょう?

どうして、私はこんな寂しい離宮にいるのかしら?

最近では、デイビスも来てくれなくなった。

ドレスや宝石も届かなくなった。ねぇ、私は、愛されるために生まれてきたのよね?


ある日、何処かで見たような娘がやって来た。侍女の服を着ていた。

右の頭から頬にかけてざっくりとした傷のある侍女だった。可哀想に、彼女は魔法耐性があって回復魔法が利かない性質なんですって、魔法なしでは、あの酷い傷は消えないわね、あぁ、だから、こんな離れの宮に来ることになったのね!いいわ、可愛がってあげる。私は優しいから。あなたを側に置けば、ライオネスや、テセウス、フィンネルは私を美しいって再確認するはずだもの!


あらっ?

何故かしら、瞼が重たいの。息もしにくいわ……。

苦しいわ、ねぇ、お前、ライオネスを陛下を呼んできて?

あら?声が、枯れてる……。

頬に当たるのは毛足の長い絨毯。見上げる先にいたのは、笑ってる侍女。

ねぇ、何が可笑しいの?

答……え……てよ。


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