食事
ご主人様の家に着くなりご主人様はいきなりこう言った
「シャーリー、腹減ってないか?」
...奴隷にこういう事を言うのもご主人様くらいのものだろう
「いえ、私は大丈夫です」
「?なにが大丈夫なの?」
「私は残った物を頂きます」
「いや、そーゆーの良いから、なんか食べたい物ある?」
「...でしたらご主人様と一緒の物を頂きたいです」
「おっけ、今ご飯作るから待ってて」
ご飯を作るのは奴隷である私の仕事では無いだろうか、しかし、奴隷の身でまともな食事をたべられるとは思ってもみなかった、あの監獄ではカエルや残飯が主な食事だったものだ
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さっきの反応、やっぱり奴隷商にいた時はまともな食事をとって無かったのだろうか、いや、とらされなかったのだろう
...シチューにしよう、シャーリーは途中まで布切れ1枚で外を歩いてたんだ、暖かい物を食べさせてやろう
そして俺は、シチューとサラダを作り始めた
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目の前にはとても暖かく美味しそうなご飯が並んでいる、こんな豪華な物を奴隷であるが私が食べていいのかと少し恐縮する
「シャーリー、食べようか」
「は...はい、頂きます」
こんな美味しい野菜はいつぶりだろうか、それにシチューはとても暖かくて美味しかった
「味はどうかな?」
「はい...とても美味しいです」
私はサラダを隅々まで、シチューを一滴残さず食べた
「ねぇシャーリー、ちょっと話があるんだけど」
「...はい、何でしょうか?」
「俺はエルフが嫌いだ、それで、お前は人間が嫌いか?」
いきなりな質問だったが、私の答えは一つだ
「...正直に言うと、私は人間が嫌いです」
「理由を教えてくれないか?」
「はい...私は人間の兵士に家族を全員殺されました、そして、私達エルフを道具として使っている人間が嫌いです」
「そうか、俺もエルフが嫌いだ、俺の父さんと大切な妹を殺したエルフが嫌いだ」
「...俺たちは、お互いにお互いの種族の者に大切な人を奪われている」
「...そうですね」
「けど、俺はお前と仲良くしたいと思ってる」
「...どうしてですか?」
「一つは、シャーリーとこれから生活する上で、お互いの事を知り、お互いが分かり合える様な存在になりたいからだ」
「あと...いや、何でもない、だから俺はシャーリーを傷つけないし、ご飯だって一緒に同じものを食べさせる、お風呂にも入らせて床じゃなくて布団で寝かせる、だから、もうちょっと俺に対して砕けた対応をして欲しい」
...ご主人様は、私を家畜とも道具とも思わず、私に対して仲良くなりたいと言ってくれた、こんな人間、本当にご主人様くらいなものだろう
「...はい、よろしくお願いします!ご主人様!」
私は、本当にいいご主人様に拾われたものだ
続く