彼女の部屋
「もう、大変だったのよ」
たっちゃん、いえ、星野主任によると、酔いつぶれた僕を彼女が介抱してくれたらしい。
僕がタクシーの中で眠り込んでしまったため、止む無く彼女の部屋に泊めてくれんだって。
なんて失態だ。
学生時代でも、ここまで悪酔いしたことなんてなかったのに。
僕は、土下座で謝った。
これからしばらく、彼女には頭が上がらないな。
でも、何も無かったとはいえ、ここまでしてくれるなんて、ひょっとして僕に気があるのではないかな。
うん、そうで無ければ、自分の部屋に男なんて入れないよな。
「やだ、土下座なんて、そんなに謝らないで・・・うふふ、でも先輩って、よく似合ってるのね」
改めて自分の格好をみると、僕は寝巻きとして、彼女のネグリジェを着せられていた。
なんだか、恥ずかしい。
「もう、先輩なんて言わないでくれ。今では、僕は君の部下なんだから。呼びつけにしてくれ」
僕は照れ隠しもあって、咄嗟にそんな言葉が出てきた。
でも、会社の組織から言って当然のことだし、彼女ともっと親密になるには、具合がいい。
「う~ん、そうねぇ、でも、呼びつけなんてできないわ」
その時、彼女の目が怪しく輝いた気がした。
「じゃあ、ミサちゃん」
僕はちょっと驚いた。僕の名前は操夫。
子供の頃はよくミサちゃんって言われて、女の子に混ざって遊んでいたことを思い出した。
この名前って、女っぽくて、ちょっと恥ずかしいいんだ。
でも、この状況では断れない。
「ミサちゃん」
「はい、主任」
僕は素直に応えてみた。
うん、そんなに悪くない。
いや、彼女に呼ばれると、子供の頃に戻った気がして、むしろ心地いいかも。




