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16.選択の時

「良かったね、落ち着いて」


 イオルは最近休みが合わなかったリコルと久しぶりに食事に出かけて、そこでズールのことを報告した。


「うん、本当に」


 ズールの今までのことを聞けて、また姉弟に戻れたような気がしていた。ズールもシャロク家で楽しく過ごせるようになったらいいな、と願うばかりだ。


「それでイオルさん?」


 リコルがニヤニヤとしながら顔を寄せてくる。


「その後、ルシェとベルロイとはどうなの?」


「どう、って……」


 ルシェと手を繋いだこと、ベルロイに肩を抱かれたことなどを思い出して、必然的に顔が赤くなってしまう。


「見てると最近は二人の前でも自然なイオルに戻りつつある気がするよ? だから何かあったのかなって」


「うっ……」


 リコルの恋の話を散々からかったり問いただしたイオルだったが、自分のこととなると恥ずかしくて口が重くなってしまう。


「別に、何も……」


「そうは見えないけどねぇ」


 ニヤニヤ顔のリコルにからかわれる。


「もう! うるさいわね!」


「まぁ言いたくないならいいけどさぁ、どちらの告白を受けるか決まってきた?」


「それは……」


 イオルの表情が曇る。ズールのことで頭がいっぱいだったけれど、考えていないわけではなかった。ただ、自分の気持ちがよくわからずにいる。


「じっくり考えたらいいと思うけどさ、待たされてるのもキツイ時あるから、早めに考えてあげた方がいいと思うわよ」


「うん……そうだよね」


 どちらかを選ぶということは、どちらかを傷つけることになる。それを思うと気が重くなってしまう。


「まぁどっちも選ばないって選択肢もあると思うけど?」


「それは……」


 あまり考えられない、と思う。イオルは三人でいる時間が好きだ。二人のことは人間として好き。それだけでなく、今は告白をきっかけに二人を異性としてだって意識してきている。だから、たぶんどちらかを選ぶのだろうと漠然と思う。


「私はどちらかというとベルロイが心配」


「ベルロイ?」


「そう。押しが弱いもん」


 リコルは肩を竦める。


「どっちに肩入れするわけじゃないけどさ、ベルロイって恋愛下手だなって見てて思うよ」


「そう……なのかな」


 イオルにはいまいち理解できないが、リコルはやれやれとため息をつく。


「あ、そうそう、ベルロイといえば! ベルロイの誕生日が近いの知ってた?」


「そうなの?」


「うん、話してる時に聞いた。祝ってあげれば?」


「そうね……」


 ベルロイにはお世話になったし、何かしたいと思っていた。


「そうしようかな」


「きっと喜ぶよ~」


 早速誕生日プレゼントを買わなくちゃ。何を買ったらいいだろうか。イオルは早速頭の中で考え始めるのだった。


***


 数日後の夜。イオルがリコルとベルロイと寮の食堂で話しているとルシェがやってきた。


「イオルさん!」


 ルシェはイオルに声をかける。


「あの、少しお話が……」


「あ、私達お邪魔?」


 リコルがルシェにニヤニヤしながら問いかける。


「別に大丈夫です」


 ルシェははにかみながらそう言ってから、


「イオルさん、俺と一緒にパーティに参加していただけませんか?」


 と、イオルに尋ねる。


「パーティ?」


「はい。父の昔からの友人の結婚20周年記念パーティがあって、俺も守護兵団に入る前にお世話になった方なので誘われたんですよ」


「そんなパーティにあたしも行っていいの?」


「もちろんです! 良ければ……ちゃんとエスコートもしますので」


 ちゃんとしたパーティに一緒に行くということは、周りに恋人なのだと思われるだろう。イオルは表情を変えないベルロイをチラリと見る。


「日にちは10日後。急な話で申し訳ないのですが」


「10日後……!?」


 イオルはさらに愕然とする。その日はベルロイの誕生日だからだ。


「何か用事がありましたか?」


「えっと……」


 どう答えるべきかわからずに視線を泳がせる。


「すぐにはわからないですよね、すみません。予定がわかったら教えてもらえますか?」


「うん……わかった」


 イオルが頷くと、ルシェは礼を言って部屋へ戻って行った。


「それじゃあ俺もそろそろ戻るよ」


 何も言わずに成り行きを見守っていたベルロイも続けて立ち去った。


「どうするの? イオル」


 二人がいなくなるとリコルが尋ねる。


「その日って……」


「わかってる」


 固い表情でイオルは頷いて頭を抱えた。


「それにパーティって……」


「うん」


 イオルもこの誘いに乗るかどうか、きちんと考えなければいけないことをわかっていた。


「どうしよう。どうすれば……」


「イオルはどっちといたいの?」


「え?」


 リコルの問いに顔を上げる。


「あんまり難しく考えるんじゃなくて、シンプルに考えなよ。イオルがどっちと一緒にいたいか。それだけだと思うよ」


「どっちと……。それが、あたしが好きな人ってこと?」


「そうかもね」


 イオルの頭をポンポンと軽く叩く。


「例えば、イオルが美味しいお店を見つけた時、一番に誰の顔が浮かぶ?」


「ズール、かな?」


「あー、それは置いておいて」


 リコルは苦笑する。


「次に浮かぶのは誰?」


「次……」


「美味しいお店じゃなくてもいい。素敵な景色を見た時でもいいの。そういう時に教えたい! って、一緒にこの感動を味わいたい! って思う人が、イオルが大切に思ってる人なんじゃないかな?」


 イオルは頭の中で想像する。楽しいことがあった時、誰に伝えたいと思うだろう。会いたくなるのは誰?


 ポッと顔が浮かんで、イオルはゆっくりと顔を上げる。


「思い浮かんだ?」


「……うん」


「誰?」


「それは……」

これにて共通ルートは完結、ルート分岐します。

ルシェとのハッピーエンドはルシェルート、ベルロイとのハッピーエンドはベルロイルートで読むことができます。

お好みによってどちらかのみ読むのもありですし、どちらも読むのもありです。

まずはルシェルートから更新、完結後にベルロイルートを更新しますので、ベルロイ推しの方はしばしお待ちくださいませ。

引き続きお楽しみいただけますように。

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