エピローグ そして続く明日へのステップ
荒野を三台の乗り物が走っていた。
一台はカボチャを模した大きな乗り物。
そして残りの二台は――
「まだ着かないのかよ。ガクラン隊の本部ってのは」
「ぼやかないで下さい。もう少しですから」
「え? そんな、アタシのために金貨のプールを用意した? そうまでしてアタシの水着が見たいの? もう、貴女って本当に……ってちょっと、電波女。アオハルに近づき過ぎ、離れなさいよ!」
「あら。もう妄想から帰ってきたのですか。そのままずっと妄想の海に沈んでいれば良かったのに」
「何ですって!」
「懲りないねお前らも」
併走する三台の乗り物。真ん中に黒い自転車を挟んで、左右に並ぶ少女たちが言い合いを続けている。
それはもう、すっかり見慣れた光景になっていた。
「大体アンタ――っ!」
「どうした?」
突然声を止めたリアルに、アオハルが目を向ける。
「もしかして」
彼女の様子から察しが付いたらしい撫子の言葉にリアルは頷き、震える指先で、右斜め先を指さした。
「あっちで遺跡が、動いてるわ。結構近い、かも」
途切れ途切れに言う撫子だが、いつかのように気を失うことはなく、一つ深い息を吐くともういつも通りに表情を引き締める。
「よし! 俺の出番だな! 任せとけ」
急に自転車のペダルを回す速度を上げ、自転車は二人を抜いて加速して行く。
「あ、ちょっと待って下さい、アオハルくん、今度は私も一緒に壊します」
「アタシを置いて行くなんて、良い度胸してるじゃない。今度こそ住人から金巻き上げてやるわ」
遅れていた二人もまた、アオハルを追いかけて速度を上げ始める。
「待ってろよ遺跡ども。お前らは全部、俺がぶっ壊してやる!」
自転車を尚も風を裂きながら加速を続けて行く。
荒野を駆けるアオハルの自転車は、流星のように真っ直ぐに前へを目指して進み続ける。
「ガクラン隊のスター。アオハル・三上がな」
ペダルを踏む足に力を込めながら、アオハルは誰かに与えられたものではない、自分で決めた自分だけの道をただ真っ直ぐに突き進む。
その両隣にいる大切な女の子達と共に。
愚直なまでに真っ直ぐに突き進んで行く――
終わりです。
バトル物で敵が人やモンスターではなく、無機物が敵と言うコンセプトで書いたものです。
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