扉の前で告げられた真実
魔王がいる扉の前に辿り着くとメイド服を着たエリスが待ち構えていた。
「エリスさんそこを通してもらいます」
「ええ。いいですよ」
エリスは戦闘態勢を取っていなかった。
「今回は彼等にお任せします」
そう言うとエリスの後ろから三人の影が見えた。
「よく来たな。勇者」
「・・・お前達は・・・」
俺はこの三人を知っている。
「我が名は白騎士」
「黒騎士」
「無騎士」
『我等三騎士が御相手致す!!』
「・・・・・・」
「魔王様の所へは行かせん!」
三騎士は一斉に仕掛けてきた。
「てい」
が、一瞬で勝負が決した。
「ば、馬鹿な・・・」
「我等三騎士が」
「一瞬でだと・・・」
「貴方達は・・・」
溜息を吐き頭を抱えるエリス。
「エリス様」
「成長してなくて残念です」
『!!?』
手に持っていた武器が地に落ちた。
膝を屈指絶望する。
「あ~・・・大丈夫ですか・・・」
『・・・・・・』
返事がないこれはもう無理そうだ・・・。
止めはエリスさんの言葉だな。
もう戦意損失してるよ。
「あの~エリスさん」
「申し訳ありません勇者様。こんなゴミ同然のザコを相手にさせてしまいまして」
「い、いえそんな事ないですよ!」
エリスさんやめてあげて、彼等が本当に死にそうになってますから。
「あの時に比べたら各段に強くなってましたから」
どうにか彼らのフォローをしないと。
敵なのに・・・。
「そうでしょうか?まったく息切れもしておりませんし手を抜いていたように見えましたが・・・」
「そんな事ないですって!・・・ただ俺も成長してますから」
「そうだったんですね。さすが勇者様です竜の如く急成長されて敵ながらお見事です。それに比べ・・・まったく芋虫・・・いえノミは成長しても変化なしですね」
「エリスさんその辺にしてあげて下さい!!彼等が可哀想です!」
どうして俺が頭を下げないといけないんだ・・・。
「で、何でお前等がいるんだ?」
戦いも終わりいつものように扉も突破できずにいた勇者はまだ立ち直れていない三騎士に話しかけた。
「我等は魔王様から受けた任務を終え戻ってきたのだ」
「任務って何だ?もしかして人間を襲ってたのか?」
剣を抜く。
「ま、待て!話を聞け!!」
三騎士は必死に勇者をなだめる。
「じゃあさ。どんな任務だったの?」
「そ、それは・・・」
「エリス様」
「言ってもよろしいですか?」
三人はエリスに視線を向ける。
「・・・いいですよ」
「助かります。・・・勇者よ我等の任務は・・・・」
三騎士から内容を聞いた。
「・・・反魔王軍を殲滅してたのか・・・」
俺は驚いた。
魔王軍はこの戦いに一切関係なく、今まで村や町を襲っていたのは反魔王軍だったのを。
その反魔王軍を殲滅するために彼等は戦っておりその最中に俺と出くわし俺に負けた。
そして今に至ると。
「だけどよく君達で勝てたね」
『それはお前が強すぎるからだ!!』
「・・・ごめん」
「謝らないでくれ。これ以上惨めになったら消滅しそうだ・・・。話を戻そう。魔王様の軍はこの城から出ていない。すべては反魔王軍の軍隊だ」
「反魔王軍は魔王様の名を名乗り戦争を始めた」
「魔王様は温厚で争い事が嫌いな方なのです」
『すべては反魔王軍の独断だったのだ』
「・・・・・・エリスさん。本当なんですか・・・」
「・・・・・・はい」
「じゃあ俺のしてきた事は無駄だったんだな」
「そんな事ありません。魔王様はこの扉を打ち破る者を待っているんです。自身を倒してくれる方を」
「なら扉を開けてくれればいいじゃないですか」
「それは無理です。扉を開ければ世界は一瞬で崩壊の道へと行きます。魔王様が望まなくても力の性で・・・。その力が漏れない様にこの扉にはとても強力な防護魔法が幾重にも付与されております。魔王様でも破壊するのは無理ですし触れる事も出来ません」
「扉を打ち破れる方は魔王様よりも強い方」
「その方なら世界を救える」
扉の前まで近づき、
「魔王聞こえているか!」
『・・・聞こえている』
「話は聞いた。・・・お前もそれを望んでいるのか」
『もちろんだ。私がいなくなれば世界は平和になる。反乱もなくる。それしか道はない。私がいれば世界は永遠に平和になれないのだよ』
「・・・・・・・・・今日は帰らせてもらう」
『わかった。ではまた会おう』
扉から去り来た道を戻る際エリスと三騎士が道を塞ぐ。
「すまない。どいてくれないかな」
「勇者様、どうかこの扉を打ち破って下さい。私は勇者様なら出来ると確信しております」
「そして、どうか魔王様を救って下さい」