表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

扉の先からのお詫び

今日こそ魔王を倒す!!


その意気込みと共に舞おうが居るであろういつもの扉の前に到着した。


「また来られたのですが」


メイドの服を着たエリスが現れた。


「魔王様には指一本触れさせません」


「俺には果たさなければならない使命がある!悪いがそこは通らせてもらう!!」


互いのキメ台詞を言い終わりバトルが始まった。


エリスはスカートを捲り上げナイフを抜き取り投げる。


それを斬り払いで払いのけ懐まで接近した。


「かかりましたね」


妖艶な笑みを浮かべる。


罠か!


俺が来る事を予測していたのか。


エリスは接近した俺に魔法を放った。


爆炎と身に纏、轟音が響き渡る。


「勇者ともあろうお方がこの程度とは、少々失望いたしました」


炎の中にいる勇者に丁寧なお辞儀をし別れを告げる。


「さて、お仕事の続きをしなくくては」


「よかったら俺が手伝いますよ」


後ろを振り向くと勇者がいた。


「あなた・・・いつの間に・・・」


一瞬だが、驚きの表情をしたがすぐにいつもの冷静な顔へと戻る。


「・・・いえ、あれだけで倒せたと勝手な判断をした私の慢心。・・・私の負けです」


戦う意欲をなくし、自身の敗北を素直に受け止めた。


俺は勝利した。


エリスとの戦いに勝利し魔王が居る扉の前に立つ。


剣を構え魔法を唱える。


「連刃!!」


各属性を付与した剣を扉に振るう。


爆音・轟音・衝撃波が響く。


強力な技だと感じさせる。


しかし、


「・・・・・・駄目か」


扉は傷一つ付かなかった。


今回も魔王に会う事は叶わなかった。


「勇者様」


タイミングよくエリスが話しかけてきた。


「あ、エリスさん。すみません。今回も駄目でした」


苦笑しながら扉を見つめる。


一体どれほど強力な力でこの扉は守られてるんだ・・・。


あの技だって防御を無視したものなのにまったく効かないとは。


まだ俺の技が未熟なのか・・・。


強さが足りてないのか・・・。


「勇者様」


「・・・あ、どうしました?」


「大丈夫ですか?」


「何がです?」


「いえ、先ほどからお声を何度かお掛けしたのですが返事がなかったので。どこか悪いところがおありですか?」


そんなに考え込んでたんだ。


「いえ、ちょっと考え事をしてただけから大丈夫ですよ」


「そうですか。ならこれをどうぞ」


エリスさんは大きな箱を俺に渡した。


「これは?」


「前回のお詫びです」


「お詫び?」


何かしたかな?


「はい。前回は伝達をし忘れ、私情を優先してしまい・・・」


思い出した。あの時か・・・


「そういえば魔王は大丈夫ですか?扉越しまですすり泣きが聞こえていましたが・・・」


「はい。問題ありませんあの後はいつも通りでしたよ」


「そ、そうですか」


「それで、貰ってくれませんか」


再び箱を見て考える。


「いえ、遠慮しておきます」


「なぜですか?これは勇者様にとっても悪い品ではありません。爆弾や毒など命を奪うものは入っておりません」


「疑っていて断ったわけではないですよ。ただ俺は何もしていないのに貰うわけにはいきません」


「ですが・・・」


「その言葉だけで十分です。ありがとうございます」


『勇者よ。貰っておけ』


「・・・魔王」


扉越しから魔王の声がした。


『これは私からの謝罪なのだ』


「・・・魔王の・・・?」


『そうだ。あの後みっちりと説教されてな・・・思い出しただけでもまた涙が・・・。まぁその話はおいといてだ。勇者にも迷惑をかけてしまったお詫びだ。頼むから受け取ってくれ』


あの後エリスさんに何を言われたのか非常に気になるが、黙っておこう。


それにしても魔王がここまで下手に出るとは・・・。


このまま扉を開けてくれれば一番のお詫びなんだけどな。


「・・・・・・」


「どうかお受け取りください」


『頼む勇者。受け取ってくれ』


「・・・・・・わかりました。受け取ります」


『感謝する』


エリスさんから箱を受け取った。


「開けてもいいかな?」


「どうぞ」


許可を貰い箱を開けると


「・・・これって」


「お気に召しましたでしょうか」


箱に入っていたのは剣だった。


今まで見てきた剣とはまるで違った。


持ってみると非常に軽い。


振るってみると聞いた事ない風を切る音。


「・・・・・・」


魔王がいる扉に向かって全力で振るう。


「・・・凄い」


扉には相変わらず傷一つ付いてなかったが、剣にも刃こぼれ一つせず手に痺れも感じさせなかった。


『気に入ってくれたか?』


「・・・いいのか、こんなものを貰っても」


『構わん。この城では誰も使いこなせぬ品だ』


「だけど、こんな一級品の品なんて、本当にいいのか?」


『よい』


「・・・だけど・・・」


『・・・なら一つ提案をしよう』


「提案?」


『その剣で一日でも早く扉を壊し我を倒してみせよ。どうだ?』


「・・・わかった」


『いい返事だ。では勇者よまた来るがいい!!』


「ああ。待っていろ魔王!エリスさんありがとうございます」


「いえ、私は何もしておりません」


「ではまた来ます」


「はい。いつでも準備はしておりますので」


魔王から貰った剣を身に付け城を後にした。





「よかったですね受け取っていただけて」


魔王のいる室内入りお茶の用意をするエリス。


「うむ」


エリスからお茶を受け取り一口すする。


「嬉しそうですね。魔王様」


「・・・そうか?」


「ええ。頬が緩んでいます」


「・・・・・・」


「今更表情を変えても遅いです」


「むぅ・・・」


「・・・早く来てくれるといいですね」


「・・・そうだな」


「失礼します」


扉を開け何者かが入っていた。


「あなたたちは・・・」


鎧を着た三人の騎士はエリスの手前で一礼をし


「遅くなりましたエリス様」


「いえ。それよりも魔王様の前ですよ」


「・・・・・・」


「失礼しました。魔王様。只今帰還いたしました」


魔王の前で膝をつく。


「うむ。よく帰ってきた。無事で何よりだ」


「いえ。我らにとってはあの程度のこと容易い事」


「そうか。では今後はエリスと共に護衛をしるように」


「畏まりました。我ら三騎士今後はエリス様と共に魔王様を御守りいたします」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ