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扉の先に魔王の居る気配がする

「邪魔だ!退け!!」


勇者の一閃。道を塞いでいた魔物が吹き飛ばされる。


「魔王様の所へは行かせるな!!」


背後から敵の追っ手が近づいてくる。


「ソニック!」


『ぐあーーー!!』


風の魔法で追っ手を吹き飛ばす。


「いたぞー!いたぞー!!」


「勇者を見つけた!援軍を呼べ!」


「勇者覚悟ー!」


次々と現れる魔物達。


それをを次々と倒す勇者。


目指すは魔王が居るであろうあの場所へ。


「御待ちしておりました」


扉の前に何者かが佇んでいる。


「・・・人か?」


メイドの服を着た人間がいる。


「いいえ。私はエルフです。汚らわしいて醜い人間と一緒にしないで下さい」


「怪我をしたくなかったらそこをどいてくれ」


「ご冗談が上手ですね。魔王様の側近で食事係りで身の周りのお世話をさせて頂いている私が退くとお思いですか?」


嬉しそうにいうナルカ。


「説得は駄目そうだな。なら、力ずくで通らしてもらう!!」


「魔王様の所へは行かせません!!」


二人の譲れない気持ちが物理的にぶつかり合う。


凄まじい攻防戦が繰り広げられていた。・・・が、


「・・・魔王様。・・・申し訳・・・ありま、せん」


勇者の攻撃を避けきれなく重い一撃を受けたナルカは力なく倒れていった。


「・・・手強い相手だった」


戦いに勝った勇者も無傷ではなかった。所々手傷を負わされ負傷していた。


「だけど、これで後はお前ただ一人だ」


魔王が居る扉の前で言った。


「聞こえるか魔王!!」


『・・・・・・・・』


返事はないが気配は感じる。


「もうお前を守る仲間はいない!辛く長い道のりだったが今日でその日は終わる!人々が笑って暮らせる世界をこの手で勝ち取る!!」


『・・・・・・・・・・・・』


「魔王!聞こえているか!!」


『・・・・・・・・・・・・』


・・・様子がおかしい。


居る気配はするのに反応がない。


「聞いているのか!!」


もう一度叫んでみた。


『・・・・・・・・・・・・』


やはり反応がない。


勇者は耳を扉に当ててみた。


「・・・・・・・・・」


『・・・スゥ・・・スゥ・・・・』


微かだが聞こえる。


安らかな寝息の音が・・・。


間違いない。


魔王は寝ている。


「どうかされましたか?勇者様」


ナルカが話しかけてきた。


「ああ、ナルカさん。もう動いても大丈夫なんですか?」


「はい。大丈夫ですよ。怪我も完治しております」


確かに。


勇者はナルカの姿を眺めた。


怪我をさせた腕や足の傷がなくなっていた。


回復魔法で癒したのか。


「所で、どうかされましたか?」


「ああ。実は魔王が寝ているみたいなんだ」


勇者そう言うと、ナルカは勇者がしたように耳を扉に当てる。


「・・・確かに。寝ておられるようです」


ナルカは扉から離れると


「申し訳御座いません。折角勇者様が来て下さったのに、このような醜態を晒してしまい、魔王様に変わってお詫び致します」


深々と頭を下げて謝罪をする。


「あ、いや、ナルカさんが謝ることないですよ」


意外な展開になり、動揺しながらもフォローする。


「いえ、こういう行いはきちんとしませんと、他の者への示しが尽きませんので」


「俺は気にしてないからいいですよ。それに敵同士なのに謝るのおかしいでしょ」


「・・・ですが」


「本当に大丈夫ですから」


「・・・・・・わかりました」


渋々だが勇者の言葉を聞き入れてくれた。


「では、私は魔王様とお話がありますので」


そう言って、ナルカは扉を開け魔王の部屋へと入って行った。


『・・・魔王様』


『・・・・・・んぁ?・・・ナルカか。おはよう』


『おはよう御座います。今何時だとお思いですか?』


『へ?・・・・・・・・・あ』


『あ、ではありません。折角勇者様が魔王様を倒しに来られましたのに魔王様が寝ているとはどういう事ですか。勇者様も忙しい中態々出向いて下さり、部下の皆も配置に付いて出迎え倒され・・・。皆やる事がある中時間を作ってくれているんですよ。わかっているんですか?大体最近の魔王様だらしないですよ。仕事もあまりされずに遊んでばかりで食事を取る時間もバラバラで夜も夜更かしをされて・・・。扉が壊される事がないから怠けていいとは限らないんですよ。もし扉が壊されてしまいましたらどうするんですか。準備が出来ていない無様な姿を勇者様にお見せするつもりですか?私はそのような事絶対に許しませんよ。いついかなる――――――』


「・・・・・・・・・」


部屋の中でナルカさんが魔王を説教している声が聞こえる。


多分魔王は正座して聞いているんだろうな・・・。


「お。勇者じゃないか。まだいたのか?」


偶々通りかかった魔物が勇者に気づき声をかけて来た。


「今日も駄目だったのか?」


「いや、今日はちょっと違うんだ」


勇者は扉の方を指差し聞いてみろと魔物に促した。


魔物は勇者の言うとおりに扉に耳を当てた。


「・・・あ~なるどな」


魔物は理解した。


「勇者。今日はもう帰った方がいいぞ。多分この調子だとかなり時間がかかるぞ」


「どれくらいだ?」


「そうだな・・・・・・早くて夜中だな」


「・・・・・・わかった。今日は出直すよ」


「はいよ。お疲れ~」


「お前もな。怪我治しておけよ」


「はいよ~」



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