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レールウェイボーイズ  作者: 王將 モリオ
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ムーンライトながらの旅 その5 (品川~東京)

お久しぶりです。僕の都合で探偵部もこっちも少しお休みさせていただきます。

ちょうど去年の今頃初めてムーンライトながらに乗りました。

その記憶を頼りに物語を進めていこうと思います。

定刻通り午前4時57分にムーンライトながら号は品川駅に到着した。

車内の三割の乗客が降りた。新宿方面へ行く人たちだろうか。

そんなことを考えていたら不意にコクテツがしゃべりだした。

「ここでも結構降りるなあ。タマデン、どうせ鶴見線に乗るんだしここで降りないか?」

「いや、せっかく東京駅まで指定席とったし、なにより終着駅の旅情を味わいたい。」

「ふーん。ま、僕も東京駅の赤レンガの駅舎見てみたいし。そうしようか。」

そう言って車内に留まった。

列車は品川駅を出てまだ暗い夜明け前の空の下を走った。しかし、東京は眠らない街だ。ビルの広告や店のネオンはギラギラ光っている。

「やっぱ都会だなあ。眠らない街って感じだ。」

と僕はつぶやいた。

「タマデンの住んでた町もこんな感じなのか?」

「いや、汐留市は郊外の町だからここまで明るくはないよ。」

「僕は都心より君の故郷の方が落ち着いてていいと思うよ。」

「まあ、確かに一晩中こんなに明るかったらひとたまりもないもんなあ。」

そんな他愛もない会話をしているうちに列車はどんどん終点に近づいてくる。

車内の乗客は網棚の荷物を下ろし降りる準備を始めている。

こういう風景に旅情を感じる。そして、もうすぐこの列車の旅が終わるんだなあ、というさびしさも感じる。

そうこうしているうちに東京国際フォーラムの楕円形のビルが見えてきた。ここを過ぎればもう東京駅だ。

「皆様、長い時間のご乗車お疲れ様でした次は東京、東京。終点です。お手荷物のお忘れのないよう…。」

アナウンスも流れ、多くの人が席を立ってデッキへ向かっている。

あの鉄道父子も一眼レフと荷物を持って席を立っていた。息子は父や隣の老夫婦の看護の甲斐があったのか顔色が少し良くなった。

「おじいちゃん、おばあちゃん、アメちゃんありがとう。またね。」

「坊やも元気でね。」

「うん。」

そのやりとりを見て僕は思わずコクテツに言った。

「なあ、コクテツ。あれが旅情だよ。僕らも高校生の人とふれあったようにこの列車の中で生まれたつながりはみんな美しい旅情なんだ。」

「また、タマデンはロマンチックなことを…。まあ、でもこの旅でなんとなくわかるようになったよ。タマデンの言う「旅情」ってやつが。」

「僕もスーパーレールカーゴは新しい発見だったよ。コクテツが車両にこだわる理由がわかった気がする。」

そう言うと僕らも荷物を下ろしデッキへ向かった。

午前5時5分。列車は定刻通り終点の東京駅に着いた。

僕らは同時にホームに降り立った。

「よいしょ!着いた!東京に!」

「僕はただいまって感じだな。」

2人で東京駅のホームを踏みしめた。とても充実感、達成感、そんな言葉じゃ表せないくらいの喜びがあった。

「いい旅だったな。」

僕がそう言うとコクテツが

「いいや、まだ旅はこれからだ。まずは海芝浦に行こう。」

と付け足した。

「そうだな。でもその前にとりあえず朝飯食おう!」

「おう!駅舎も外から見たいしな。このコクテツの名に懸けて。」

「いや、大正時代の駅舎だからまだ国鉄の前の鉄道省時代にできたんじゃない?」

「ム、よく知ってるな。じゃあ今日から僕はテツドウショウに改名する。」

「長いし言いにくい。コクテツでいいよ。」

「はっは。そうだな。テツドウショウ。」

「僕に押し付けるな。僕はタマデンだ!」

僕らはまだ暗い早朝の赤レンガの駅舎の中を歩いて行った。

今回でムーンライトながらの旅は終わりましたが、まだタマデンとコクテツの旅は終わったわけではありません。

また鉄道系の話は書きたいのでよろしくお願いします。

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