目覚め
どんな経緯でこの場所にいるのか
何も思い出す事が出来ない
目を開けたら、知らない部屋のベットの上にいて
途方にくれている最中なのです。
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豪華な部屋の天蓋付ベッドの上で少女は一人きり。
誰かが来る気配も無し、聞こえるのは時計の音のみ。
目を開けて、気の済むまでボーっと5時間ほどしてから
漸く、ベッドから右足を下ろしてみる。
が、力がうまく入らないのか、足の使い方が分からなくなってしまったのか、その場で少女は前のめりに倒れてしまった。
足元に敷いている高そうな絨毯が衝撃を吸収してくれたのであまり痛さを感じることはなかったが、少女は自分の足を凝視して、なぜ歩けないのかが分からないと首を傾げる。
それから少女の歩く訓練が8時間ほど続いた。もちろん休憩を挟みながら。
始めは立つことも困難であったが、歩くコツを思い出したのか、最後は壁に手をつけば歩けるようになっていた。壁伝い、物伝いにして部屋を1週出来た時は満足そうに淡い笑みを浮かべて一つ頷く。
そして、最終成果だ、と少し真剣な表情をしてまた一つ頷く。
壁に手をつくのはやめにして、直線でベッドへ向かった。少し躓きながらも無事にベッドへ戻った少女は安心したように息をついた後、笑みを浮かべ、眠りについた。