横浜港
みなとみらいに隣接する横浜港は、貿易が盛んである。
あまり潮くささはない、観光名所ゆえか・・・。
高崎海南斗は、慶応義塾大学を二浪して入った。
予備校は、代々木ゼミナールである。
昨日、中村あつしからSOSが入り、中村がやるはずだった積荷の検査を、海南斗がやることになった。
横浜港は、数年前と変わらない。
だがしかし、ここのところ増えたユーチューバーがうろうろしていた。
横浜中華街は、中国人が多いと思いきや、東南アジアが、ショバをうろついていた。
「夜に合流したいのはやまやまだ」と、中村あつしは言った。
海南斗は、「無理すんな」と答えたのだが・・・。
(や、やばい)
海南斗は、その積み荷を開ける前からすぐにわかった。
八戸経由で来たその荷物のせいで、船底は異様な匂いになっていた。
札を見ると、札幌からとなっていた。
「ああ、それか」と、通りかかったマフィアが言った。
そして、「もう、公安部隊が札幌を調べている」と続けた。
今年は、妙な虫がここよこはまみらいに発生したと言う。
ふと気が付くと、海南斗のガラケーが鳴っていた。
ー至急帰れ。
テロップは、そう告げていた。
花は、中部国際空港内のホテルの中で、黒澤と一緒に寝ていた。
ぬくもりは誤解を与える。それは、まるで、二人でひとつのようだ。
黒澤が咳をしたので、花は目を覚ました。
しーんと静まる部屋の中では、皆伐の寝息が響いていた。
生理の周期ごとに、女は女になるようだ。
けれど嘘ではない、花は、黒澤の寝顔を見て、かわいいと思った。
尿意を催して、花が起き上がると、楠木が起きて、動画の編集をしていたのが目に入った。
暗がりの中電気もつけない。
花がトイレに行き、戻って来ると、楠木はすでにベッドに入っていた。
(何だか、どうでもいいな)
花がそう思いながらベッドに入ると、黒澤が、「愛してる」と、花を抱きしめた。
(京に戻れるやろか)
花は、その切なさを、ただの哀愁だと早々に見抜き、黒澤の体に身を寄せた。
(終わり良ければ総て良し)
花が目を開けると、谷田がトイレに立ったようだ。
「明日のモーニングが楽しみじゃけ」
それは、蛍の言葉だが、何だか花には、妙に真実だった。
トイレから出てきた谷田が、冷蔵庫を開け、ビールを開けた。
降りそうで降らない雨だが、昨今あまり霧雨などなくなった。
体がしびれて重くなる。
意識を失う前に、皆伐の「眠れないの?」という言葉を花は遠くで聞いていた。




