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第1章 第4話 【そのために】

 ふうむ•••ダンジョン誕生の起源がそういう理由だったとは。正直、規模が大き過ぎて1週回って飲み込むことしかできない。

 

「最悪の事態もって武神様は言ってるけど、それは?」


『封印された『悪魔』が外に出つつあるわ』


 ふぁ!?


『ダンジョンアイテムって言うのは悪魔が倒され、私たちの魔力によって魔道具に落とし込まれた姿なの。ダンジョンに封印していて、最終階層主を倒すと同時に、そのダンジョンは役目を終える。つまり、それはダンジョンとして封印していた悪魔自体の消滅を意味するわ』


『そして、その消滅した悪魔のエネルギーを拙者達の魔力で置き換えたのがダンジョンアイテム、ということでござる』


 さすが、神様達です。神様たちが授けてくれる『スキル』が悪魔をちゃんと倒しているしっかりとしたシステムのように思うのですが?


『この”ハーデスの黒巾着”を見るまではね。この巾着からは意思を感じるわ。貰い手の精神を乗っ取ろうとする意思が』


『拙者たちの魔力による封印も段々と薄まっているのやもしれませんな。そして悪魔たちは、こうやって魔道具に悪魔の残留思念を宿して、人類を介し、またしても現世の悪魔復活を企んでいそうですな』


『予兆はあったんだけど、まさかここまで自分の精神を残しているとは思わなかったわ』


 まじですかいな。え、じゃあこの巾着袋は触らない方がいいの?


『いや、そんなことはないわ。なんならセイバーが持っていた方がいいわ』


 なんで?


『あなたは私たちの加護で護られているの。だから侵食もされないし、むしろあなたが持った方が直接浄化できるわ』


 なるほど。じゃあこれからはダンジョン攻略、兼悪魔祓いですね!


『こんな事態になってるなんてごめんね•••セイバーには普通にダンジョン攻略をやって貰いたかったんだけど•••』


「全然。それは気にしてないよフォトゥナ様」


 だって、僕は英雄になるんだぜ?むしろその時のために、強くなったんだ。


『セイバー•••』


『本当に、頼もしくなりましたな』


 僕は黒巾着を手に取る。すると、禍々しい黒色の魔力が僕の中に伝播していく。精神が、書き換えられていくような感覚————でも、負けるわけにはいかない。

 僕は踏みとどまる。自分が自分であることを強く肯定する。なぜなら、僕は、英雄になるから————!!


『よく耐えたわセイバー!本当にあなたってかっこいいわ!』


『あとは拙者たちに任せるであります!』


 今まで身体が侵されてきた感覚が徐々にひいていく。それに連動するかのように、真っ黒だった巾着は真っ白に変わっていく。


「ッ•••!•••ふぅぅぅ」


 やっばかった•••()()()()()()()()を根こそぎ取られるかと思った•••。あのまま神様たちの対処がなかったらどうなっていたか•••自我はなくなり、体を乗っ取られる、それはもう僕という存在の消滅だろう。こんなのが、今世界に蔓延っているのか•••えぐい。

 ていうか!神様たち!全然侵食されるじゃないですか!


『そこまで強い悪魔だったってことね』


『残留思念はなくなったでござるな』


 それはよかった!!


『ただ、かなり弱い残留思念だわ。冥王と言われるくらいの格だから、もしかしたら本体じゃない可能性が高いわ』


 え?あれで、本体じゃないの?


「神様たち、あれがただの1部でしたら本体にあたったら一溜りもない気がしますよ?」


 ただの1部であんな侵食具合•••。本体となると想像を絶するぞ。


『まあ、普通の人間なら無理ね』


 そんなものが、世界中に•••。


「神様、一刻も早くダンジョンを巡りましょう」

 

 こうしてるうちに悪魔に乗っ取られている人達がいるかもしれない。僕がなんとかできるなら、早くなんとかしないと。


『さすがセイバー氏であるな』


『あの悪魔の侵食を体験してそんなことを言えるなんて、さすが私が惚れた男だけあるわ!』


 そんな、神様たちに言われると照れるよ。

 でも、そのために強くなったんです。


「さあ、行きますか。ダンジョンへ!」

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