第2章 第5話 【被害の元】
僕らは今村に戻っている道中である。
「私たちが調査した結果で言うと、ドラゴンはここから少し離れた山の上に鎮座しているらしい。そこの山にはワイバーンや図体のでかい魔物や動物がいたらしいんだけど、ドラゴンが来て生態系が狂ったと推測される。その皺寄せが今回の村に来たと言うわけだ」
「そう考えますとその周辺も逃げ来たでかい魔物とかがうろちょろしてそうですね」
「そうなんだよゴウ副団長。だから私は今その山に居座っているドラゴンを見るために、もしもの戦力が欲しいなと思っていたんだ。そしたら」
君がいたわけだ。と僕に微笑む団長様。笑顔が輝いている様に感じるけど、これがお金をかけて来た貴族スマイルか?
『どうするのセイバー?』
助けを求められれば問答無用で行くだけですね、神様。
『ぶれないでござるな。さすがセイバー殿ですぞ』
「もちろん手伝わさせていただきます」
僕も全力爽やか笑顔で返してみる。
「それはよかった。ありがとう、とても助かるよ。とりあえずは村に戻って騎士団のみんなと来ている冒険者たちとも話をしようか」
▽
「あれ!?団長じゃないですか!何してるんですか、こんなところで」
村に戻ってくると、壮年の騎士がちょうど色々と終わったのか出迎えてくれる。
「やあロウク。目処が立ったんだよ。今回の原因の元にできれば早く向かいたいんだが、復旧率はどうだい?冒険者とも連携を取りたいんだけど」
壮年の騎士はロウク、と言うらしい。隊長とロウクさんは昔からの付き合いなのか、すごく親しそうだ。
「村の復旧はだいぶ終わってますよ。もう村の方達だけでも大丈夫と思いますが•••まあ、あまり荒らされてはなかったですからね。我々の人手もありましたし。あとは甚大な被害ぎりぎりのところでその隊長の横にいる者がワイバーンを棒切れで倒したらしいですからね。あれ?なんで団長その者と一緒にいるんですか?」
「それは成り行きかな?村の復旧はご苦労だったね。ありがとう。さすがロウクだよ。よし、ならば少し休息を取って移動するか、それとも疲れもあるだろうから今日はここに泊まるか話し合おうか。あ、あとこのセイバー君も連れて行くのでよろしく」
「え?えっと、え?」
ロウクさんがゴウの方をみる。実力を見る云々のくだりはどうなったのだと訴えかけている。
ゴウはビッと親指を立てて応答する。
「はあ、まあ団長と副団長が良ければいいですけど•••」
ロウクさんはなんというか、しっかりしていると思いつつ自由奔放な団長と若いゴウという副団長、そしてその部下たちとのその間を取り持つ苦労人なようにみえる。
この騎士団はロウクさんが取り持ってるのかもしれない。
なんだか大変そうなロウクさんに同情してしまう。恐らくこれからも大変になりそうだから心の底からあらかじめ感謝をしておこう。ありがとうロウクさん。そしてこれからもよろしくお願いします。
▽
「ふむ、結局私たちだけになってしまったね」
あれからそれぞれの冒険者パーティの代表と話し合った結果、さすがにドラゴンのところに行くのはリスクと考えられ他の冒険者パーティは参加せずとなってしまった。
「まあ急過ぎましたかね団長。案件も案件ですし。報酬も今回はワイバーン討伐を想定しての報酬ですから、リスクが高すぎると判断されたのでしょう」
ロウクさんの分析通りだと、僕も思う。冒険者の生活もあるし、得体の知れないドラゴンの元にこのまま向かうのは相当の実力者かジャンキーくらいだろう。ワイバーンの元が龍種であろうともドラゴンは知性もあり膂力もそれをさらに凌ぐ強さ、ワイバーンの群れでもドラゴン1つの足元に届くか怪しいと言った規格外の案件だ。
こう考えて思うけど、普通の感覚を持つ冒険者なら準備をしていないならどれだけ協力者がいても近づきたくもないんじゃないかな•••。
「どうします?緊急クエストとして冒険者ギルドに要請しますか?」
「うーん。規模がわからないからね•••やっぱり見に行こう」
ロウクさんがまじい?って顔している。でも規模がわからないってのも本当で、どれくらいの人を集めればいいかもわからないし、その人件費で報酬も変わってくるから否定できないっていうのもまたロウクさんの顔に現れている。
「ドラゴンは言葉を司るという。ならば話し合いで解決できるかもしれない。まあ見に行くだけこの騎士団で行ってみよう。あと、セイバー君もついて来てくれる様だし。ならばすぐに行こうか。ただ今は夕暮れ前、何があっても陽が落ちるくらいには戻ろう」
腹を括るかあと言ったため息がロウクさんから出される。
「団長の、言うことも一理ありますね•••。いきましょうか」
みんなにも伝えて来ます、とロウクさんは他の騎士団のところへ行ってしまった。
「俺はいつでも準備オッケーですよ団長!」
ゴウもやる気満々だ。
相手はこの世界でも最強格の1つ龍種ドラゴン。僕もなんだかワクワクしてきたぞ。
「よし。では向かおうか。ドラゴンの元へ」




