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第2章 第3話 【信念と覚悟】

「ちょ、ちょっとお待ちください!副団長、まだ村のことが終わってないですよ!」 


「もちろん、村の復旧が先だ。その後で、だ」


 さっきまで壊れてハジけてたゴウから一瞬にして副団長のゴウになる。でも、今さっきのハジけてる顔をしているゴウはなんだか昔みたいで懐かしいな•••あの時のことを思い出す。最後に面と向かって会ったのはスキル授与式。スキル授与式で判明したゴウのスキルは『聖騎士』だったかな。圧倒的レアスキル、手強そうだ。


『『聖騎士』でござるか!戦闘系のスキルで文句なしの上位スキル、言うなれば武神である拙者と剣神であるタケミカヅチのいいとこ取りのスキルでござるからな!それは手強いですぞ〜セイバー氏〜』


『なんでちょっと嬉しそうなのよ』


『それはもちろん、拙者の弟子同士の手合わせみたいで武神の血が騒ぐってやつですな』


 師匠から直接聞くと、改めてとんでもスキルですね•••。


『ふっふっふ、そう言って、セイバー氏の顔は笑ってるでござるよ』


 いやだなあ師匠、そんなん戦闘狂みたいじゃないですか。ただ、ワクワクはしますね。


『セイバー、そう言うのを戦闘狂って言うのよ』


 いやいやフォトゥナ様、僕はあまり争い事は好きじゃないよ。

 ただ、今の自分がどこまでなのかは知りたいんです。


『ふふ、そうね。成長した姿を幼馴染にみせてやりなさい!』


『お互いもののふ同士、手加減なしでござるよ!』


 もちろんです!

 でも、とりあえずは、復旧ですね。



 村の復旧はスムーズに終えることができた。

 僕の後に来た騎士団や冒険者の面々が結構いたのもあって、マンパワーに不足はなかったし、パーティとして来ているためにヒーラーや支援系の人材もしっかりしていたために怪我人などの対処も滞りなく済んだ。


 ただ、被害がゼロだったわけではない。


 ワイバーンによって捕食され、死者も出ている。

 決して、ワイバーンの群れを退いてよかった、というムードではない。復旧された村には少なからずとも悲しみが漂っている。


 今の状況が、悪いことであると、立ち止まってしまう。


「セイバー殿」


「村長さん•••」


 立ち止まっていると村長が僕に話しかけてきた。


「この度は大変でしたね•••」


「いやはや、本当大変ですよ•••。ただ、あなたにお礼が言いたくて」


 僕は、ただワイバーンを倒しただけだ。被害をゼロにしたわけじゃない。仕方ないのはわかっているけど、悲しむ人がいる以上、もっと何かできたんじゃないかと思ってしまう。


「僕は•••ただワイバーンを倒したにすぎません」


 犠牲者と関わり深い残された人たちの悲しみも大きいはずだ。


「我々の村を憂いて下さりますか•••セイバー殿は優しいですね。なんだか気持ちが少し軽くなりました。こんなにも強いお方が我々について想ってくださるなんて•••改めてありがとうございます」


 深々と礼をされる。


「セイバー殿がいなければこれだけの被害ではすみませんでした。犠牲者は出ましたが本当に最小限だったと思います。そりゃ、もちろん悲しくないかと言われれば悲しいです。今も悲しみが襲ってきて何もできなくならないように現実を受け入れないようにしてます。ですが、生きていればなんとかなります。あなたがいないとそれすらも叶わなかった」


 村長さん•••。


「だから、本当にありがとうございました。悲しみは後でしっかりとみんなで味わいます。それで、みんなでゆっくりと前を向いていこうと思います。この悲しみも忘れたくないですからね、亡くなった人たちと共に歩んできた証ですから」


 そう言って、村長さんは僕の前から去って行った。

 悲しみは共に歩んできた証、か•••。悲しむほど、思い入れがあった。だからこそ、その悲しみは忘れたくない。その人を想っているから。


 ぽん、と肩に手を置かれる。


「セイバー、強さっていうのは人の期待だけじゃなく、人の悲しみや苦しみも背負わなければならない」


 ゴウが僕と村長さんとのやりとりを見ていたらしい。

 副団長のゴウがそう言うと、重みがある。その若さでの出世だ。色んなことを経験してきたのだろう。


「そして時には憎しみだって背負うことがある。お前にその覚悟があるか?」


 覚悟?ゴウ、それは違うよ。

 

 僕はゴウの目をしっかり見る。


「ゴウ、覚悟とか難しいこと考えるんじゃないよ。困ってる人がいる、困難がある、そこにダンジョンがあれば体が勝手に動く。その後のことはその後で考えればいい。僕は、やらなければならない時に限界を超えてもやることをやるだけだ」


「ハッ!全くお前は変わってないみたいだな!スキル『なし』の癖にそんな大口を叩いて、だがあるわけだよな?お前をまだそこまでたらしめる力が!じゃあさっきの続きだ。お前のその”信念”を見せてみろ。俺の”覚悟”をもって確かめさせてもらう」



 僕ら2人は村から離れた場所にある森の中に来た。村のことは、壮年の騎士が残って対処してくれている。


「すまんなセイバー、こんなところで」


 僕らは今対峙している。


「いいよ。ゴウも副団長なんでしょ?色んな制約があるでしょ。この実力確認みたいなことも、本当は手続きとかしないとダメなんじゃないの」


「ご名答。全くよ、組織っていうのはなんでこんなに通さないといけないことがたくさんなのかね」


「それだけ責任がある大きな組織ってことさ」


「ハッ、聞こえはいいな」


 ふざけているゴウ。昔みたいだ。ただ、そんなゴウももう立派な副隊長だ。今後もどんどん出世していくだろう。ゴウにもやらなければならないことがある。ずっとふざけあっていたいが、そういうわけにもいかない。

 

「さて、ここらへんでおしゃべりは終いだ」


 ゴウの顔つきが真剣なそれとなる。ゴウは帯剣している剣を抜く。


「構えろよセイバー」

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